第11話 昆虫採集ダイエット

『熱帯雨林で貴重な昆虫を探そう』陳腐だが少年の頃に昆虫採取の経験がある中年の男性をターゲットにした企画が持ち上がる。俺は社員としてコース確認をする。社内では昆虫採集ダイエット?みたいな陰口が叩かれた。


「おい山田、ここどこだ」

俺が知るわけがない、GPSが正確じゃない。場所が判らない。そして昆虫は見つからない。俺は空気が日本とまったく異なる事に気がついた。酸素が濃い。やたらと頭がすっきりしている。


「鈴木、蛇が居たぞ」

地面を這う長い蛇がうねっていた。こんな危険な場所を客を連れてこれない。安全な地域なのに俺たちは帰る道を探す。


「山田、これ虫だ、ムカデだ……」

鈴木がかすれた声でつぶやく、そんなでかいムカデが…居た。幅が人の体くらいあるそいつは、頭を持ち上げた。人の背丈を超えた。そうだ昔の古生代の図鑑で見たアースロプレウラだ。全長が三メートルを超える。


俺たちはいつのまにか古生代の森に居る。酸素濃度が高いせいで巨大化した昆虫が俺たちを追い回す。誰かタスケテ……

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