第22話 勤め人たちについて

~語り手・リリジェン~


落ち着いたら、冒険者ギルドに行かなければなりませんが、まだやる事があります。

今日は、城に上がって働く人を選ばないといけません。

教育自体は執事のサンジェントさんがやってくれるので、私達は人柄を見るだけ。

私の目はコンタクトレンズに『鑑定』が付与されているので、楽なものです。

皆にもそう言ってあります。おかげで皆呑気です。


村長さんが10人ぐらいの娘と女性を示し、この中から選んで下され、と言った。

私は鑑定眼で性格の悪い者、怠け者をより分けていくと、4人が残った。

予定より少ないが仕方がない。それにこの4人は働き者で性格もいいのだ。

サンジェントさんに預けた。


次は料理人。貴族に通用する腕が必要なのだが………該当者なし。

外から連れて来る事にします、と言い置いて、私達は城に帰った。


さて、皆さん、冒険者ギルドにテレポートしますので私に捕まってください。

『上位無属性魔法:テレポート!』

受付の目の前に出現してしまいました。他の人に驚かれています。

でも丁度いいので「転移拠点」の子機を、事情を告げて、邪魔にならない所に埋めてもいいか聞きます。え、実技試験場の周囲ならだれもいない?わかりました。

皆で確認して、深めに埋めます『地属性魔法:トンネル』


さて、もう一回テフィーアさんの所に行きましょう。

「ギルマスに来いって言われてるんですけどー?」

「そうなのー?聞いてみるわね、待っててちょうだい」


~語り手・フィーアフィード~


さてさて、何の用でよばれたのやら?嫌な予感しかしねえぞこら。

あ、テフィーアが帰って来た。

「ギルマスはすぐに来てくれって言ってるわよ」

ああ、こらヤバいヤツだ。嫌な予感しかしねえ。


「いつもの」部屋に入ると、ギルマスは苦い顔をしてソファに腰かけていた。

その正面にそれぞれ座っていく。クリス以外は。

「今日呼んだのは他でもない。あの2件の裏を知ってもらおうと思ってな」

ギルマスは俺達の「いらん!」オーラを無視して話し始める。

「1回目のあれだが、ヤメイルに知識と奴隷の首輪を与えた奴がいる」


「はっきりいって、悪魔崇拝は滅茶苦茶で、趣味に走った者ばかりだったが、皆身分だけはあってなぁ………頭が痛いんだが」

そう言ってギルマスは、詳細付きの似顔絵(念者だからそっくり)を寄越した。

真面目なリリジェンとクリスはそれを読み始めて

「有力貴族の子弟ばっかりじゃないですか?!」


だろうなあ………

「ギルマス、それで?」

「ここから東に行ったところに「闇市の町ワンタナ」ってところがある」

「それは知ってる。道は大体覚えてるぜ」

「なら、奴隷市場グレイプニルは知ってるか」


「知ってる。職業奴隷と性奴隷が特に売りな所だろ」

「最近な、この………」

といって似顔絵から2人の女を選びだした。あれ?こいつら終いだよな?

「そうだ、この姉妹が女の奴隷を買って行っては、傷物にして返してよこすんだと」

「受け取るのか?傷物なんて………」


「受け取りたくはないが、相場より高めで買ってくれる上にお貴族様だから文句も言えんらしい。傷物を抱え込んで、とうとう儂に何とかしてくれと言ってきた」

「………で?」

「この姉妹、両親にも手が付けられないから、傷物にしてもいいから止めてってよ」


「なら先に奴隷市場で「傷物」を見てみないとな」

「………紹介状を書いておく」

「私、人を傷つけるなんて………」

「私もですね………」


「だろうな、傷つけるのは俺とベリルでやる。お前たちは相手が本当に反省する気になるまで、回復をかけ続けてくれ」

「「分かりました」」

「なあに、汚れ仕事には慣れておるわ。お子様にはできんで当然だろう」


「良かった。頼むぞおまえたち」

そう言ってからまた真剣な顔をするギルマス。

「ベルニウ公爵のあれだがな、侯爵に悪魔召喚を教えた奴がやはり居る」

重々注意してくれ、と言われてしまった。どう気を付けるんだよ。


「おっし、皆行くぞ」

その声を合図に、全員ギルマスの部屋を出た。


~語り手・エンベリル~


妾達は「闇市の町ワンタナ」の「奴隷市場グレイプニル」に来ておった。

紹介状を見せて店主に会わせて貰う。店主は目の鋭い中肉中背の男じゃった。

「駄目にされた」商品を見せてくれたが………これはむごい。

乳房が削ぎ落されておる上、無理やり子宮口をえぐりとられており、金棒でも突っ込んだのかと思うほどズタズタになっておる。


リリジェンは悲鳴を押し殺すのに必死じゃの

フィーアは、いつもにも増して剣のある顔になっている。

内面が顔に出てないのはクリスだけじゃな。

するとリリジェンがビックリすることを言った。


「ここの娘たちっていくらですか?」

「は?そんなもんタダで良いけど………」

「なら引き取りますね。証明書下さい」

「はぁ………」


「『閃光の癒し(全体回復魔法。強力)』」

納得顔のクリスが、同じものをつかいおった。

全快して呆然としておる娘たちに

「リリジェン=ルリジオン男爵です!私の城に来て働きませんか?」


おお、やっと実感がわいたのか娘たちが泣いてリリジェンに縋っておる。

これなら、いい召使になるであろうよ。妾はふと店主に

「宮廷料理を作れる奴隷はおらぬかの?」

と、聞いてみた


呆然としていた店主が立ち直って答える

「いますよ」

ではそいつをおくれ、金はちゃんと払うから。

「リリジェン、食事係もGETしたぞ」

リリジェンはサムズアップで返してきた。


元奴隷たちは、パラケルへ保存食を持たせて送り出した。

後の処理は奴隷を玩具扱いしておる2人じゃの。

実家を張っておったら、姉妹がのこのこと馬車に乗り込みおった。

『無属性魔法:バインディング』御者と馬に見えないロープが絡みつく。

しばらくしたら解けるようにかけました、とはリリジェンの言じゃ。

姉妹には『無属性魔法:スリープミスト』じゃ。


昼間に見つけておった、放棄された炭焼き小屋に姉妹を連れ込む。

腕だけは縛っておくか。

起きたらまぁ身分がどうの、丁重に扱わないと身代金は払わないだのうるさいこと。フィーアが「反省するまで奴隷たちにしたことを繰り返す」と言ったら


「何で奴隷如きを丁寧に扱わないといけないのか、楽しみにために虐げられたのだから、光栄に思うべきだ。恩を仇で返すなんて」

とさらにうるさいこと。

 聞きたくなかったので、ナイフで乳房を刺したら、悲鳴でさらにうるさくなった。


妾は淡々と、姉の方の乳をはぎとる。妹にはフィーアじゃ。

 木に釘を打ち付けた物を、局部に差し込んだのは、妾もとして気分的に痛かった。


 2時間位で泣きながら「もうしません。発覚した場合は責任を取って自害します」

と、念書が取れたので、そこらで勘弁してやる。

回復魔法をかけ続けてたリリジェンとクリスは顔が能面じゃった。

気持ちはよく分かるがの。


~語り手・クリスロード~


その後、念書を奴隷市の店主に持って行きました。

悲鳴の余韻が耳に残るというより、冒涜的な罵声が耳について離れません。

他の人は逮捕されたことで懲りたと思いたいものです。

もう一辺やるのは絶対にゴメンですから。


プリシラは我慢してくれたのですが、他の2人はドン引きで幻獣界に帰りましたからね。私もできる事ならついて行きたかったです………。

さぁ、元奴隷たちを連れて領地へ帰りましょう。

全員の転移の石が輝きます。元奴隷たちも、もちろん一緒です。


マトモな格好にさせる前に、全員お風呂です。

そのあと村のおばちゃんが作った料理で栄養補給させて。

ようやく服の採寸です。フィリスさんお願いします。

その後、メイド候補たちはサンジェントさんへ。


コックさんには何が必要か聞くと(食材含めて)大量の要望が出ました。

道具はフィリスさんが出して下さるそうですが、食料は管轄が違うので後日「食糧屋」とよばれる方が持って来て下さるそうです。


とりあえず私は拗ねた幻獣達を何とかしないといけませんね。

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