第10話 生贄と騒乱の迷宮2
~語り手・リリジェン~
それぞれ、頼まれた物を持って13番ボックスに戻って来た。
フィーアはさすがにまだかかるようだけど、クリスが戻ってきていました。
クリスは華美な装飾をされた手鏡を取り出して
「「遠見の鏡」です。仕掛けておいた地点の光景を、この」
と、青い、彫刻された手のひら大の石を出してきて
「受映の魔石の上、半径1.5mぐらいに投影されるそうです」
「ありがとう、クリス。」
「遠見の鏡」は真っ先に取りつけなければいけないアイテム。
フィーアが戻ってきたら、きちんと渡しておかないといけません。
「ただいまー」フィーアが、食べ物の匂いを漂わせながら帰って来ました。
「おい、フィーアの坊主。それは盗賊としてどうかと思うぞ」
「わかってるよ………起動!」
手に嵌っていた黒曜石の指輪が煌めいて、フィーアの匂いを綺麗に消し去ります。
「やー。弁当屋の周り油の匂いで凄くて。あんだけ大規模なんだから仕方ないけど」
冒険者御用達なんだから仕方ないよなと、嘆くフィーアに「遠見の鏡を渡します」
「これは………針金とか駆使して高台に取りつける感じかな」
「高台に潜むんですか?」
「でないと見つかるよ。『フォーリング・コントロール』は使えるだろ?」
「はい、使えます」
「じゃあ決まりだ」
「とりあえず今日はもう夕方じゃ。出立は明日じゃの。丸一日かかる距離であるし」
「丸一日かかるのなら、今からでもいいんじゃ?」
私はこの嫌な任務を早く終わらせたい気分で一杯です。
「戯け、個人個人の準備があるんじゃぞ?それに向こうに着くのが丸一日後ということは、昼か朝に出んと、ついたら真っ暗闇じゃ。我らエルフは暗視ができるが」
「私も実は暗視ができます」
「なんと?お主ヒューマンであろう⁉」
「人造生物としての改造をうけているんです。クリスは?」
「『視覚代行』は暗視もいけますし、プリシラはむしろ今からですから」
「リリジェン……お主の希望通りになりそうじゃの」
「みんな、準備はできていますよね?じゃあ、出発しましょう、今しましょう」
「落ち着け、皆お主の旅の目的に共感した者たちじゃ、鼓舞せんでもよいわ」
「う………エンベリルからは看護師の皆さんのような慈愛を感じます」
はっ!妾にそんなものがあるか!斬殺女王エンベリルよ!
用意を終わり歩きながら、私はベリルに問う。何故そんな二つ名なのか?
「ベリルは、なんでそんな二つ名になっているのですか?」
~語り手・エンベリル~
野営の準備中に話しかけてきたリリジェンに考え込む・
余人なら無視していたのであるが、何故かこの子娘には逆らえん。
「ワイバーン10体を魔術と剣術で共にすべて葬ったからよ」
ワイバーンはドラゴンの下位種族で、ドラゴンよりは大いに格が落ちる。
だが、その「飛んでいる」という利点を生かして、平原の住人を食料として攫っていくそうだ。牛や豚を空中にさらわれ、被害を受けている。
その村もそう言う村だった。
逃げようという他のメンバーを
「腰抜けが!今こそ冒険者になった本領を発揮するべきじゃ。といっても、そなたらは空を飛べぬ。我が氷魔法で、連中を叩き落としてやる。前線にも妾が立とう。どこまで庇いきれるかはわからぬがお前たちは、村人を守るのじゃ」
「報酬はあるのか?出ないと俺達は動かんぞ」
「期待はするな。ただ、ここの人たちを死なせたくなかったら、戦え」
空を睨みながら、妾はフリーズボルト放った。翼に確実に確実に穴をあけていく。翼に張り付き、体制も崩させる。ワイバーンの援軍もやって来た。
「ここからが問題じゃった」
なにせワイバーンは対地上戦も強い。この時のパーティでは全滅しかねなかった。
妾は戦って戦って、最前線を戦い抜いた。
「敵、味方共に、エンベリル殿以外は生き残りナシです………」
伝令を務めておった村の青年がそう言う。
「厳しく受け止めよう。妾が指揮を執った故、水編みをした後で村長に会いに行くと言っておくれ」歩を進めた。
「なにも感じんなぁ………ワイバーンにも、仲間にも。所詮妾は………壊れているのではないか?」
「落ち込んでいるの、救世主様!」
ひょこりと、藪から一人の少年。
「こわっぱ………戦いの中で死んでいったものをどう想う?」
「皆泣いてるよ!私も泣いたけど、救世主様のお仲間のお墓をを掘りに行くよ」
「!そこに連れて行け、名前を掘りたい」
「わぁ!救世主様をつれてきたぞ」
「大声で、救世主様が来たと触れて回る」
その頃の妾は、すでに今の服装であった、が。
民衆は笑顔で、泣き顔で、口々に礼をのべてくる。
「妾には礼はいらん!それは死者のみが受け取って良い事だ。」
妾は、不器用ではあるが、仲間3人の名前を下手くそだが塚に彫ってやった
「安らかにな………お前たちは妾が巻き込んだ者よ」
その後は、村長の屋敷に行く。
ぞろぞろとお供をつけてだ。報酬が出れば、”もと”仲間にもそなえてやろう。
首尾は、上手くはいかなかった。
「その村長は下位の悪魔に乗っ取られていたのじゃ。ワイバーン増加の原因よ」
「村長はいずこに」その姿は、爺のアイアンメイデンというところだった。
「儂が村長だ!」奴は、触手を出して、案内しきた少女をからめとろうとする。
それを切り払い、少女を遠ざける。
「召喚・インプ」下位の悪魔がそれはワラワラとあつまって来た。
こちらに「ウーンズ(人を切り裂く暗黒魔法)を乱射している」
「なるほど」
村人隊が、鋤や鍬で応戦する。
「ウーンズ」、確かに妾にも効く。だがワイバーンと戦っているほどではない。
しつこくウーンズを飛ばしてきたが、わらわらとやってきたところをが妾が血祭りに挙げてくれた。
なる程度。
「それが、その程度かああああ!仲間の屍を積んだ挙句が!」
妾は。氷精の加護ゆえ、空に(短時間だが)舞う
それは村長の真上に来て「落下」を解く。
妾の切り降ろしはきれいに下級悪魔を両断した。
妾は再度血まみれになった
「妾は、それでは冒険者ギルドに行ってくる」
宣言をする。その場に陣を置き、妾はその場で受付で手続きを行った。
「テフィーアっ」
妾は出来るだけ冷静に、受付に状況は話す。
手伝いを収集するには妾だけでは覚束ない。
「テフィアーは」「実技受付のリーンさんが指揮を取ってます。任せましょう。
リーンさんか………彼女なら安全だろう。実力者じゃ。
「”斬殺女王”エンベリル。敵を斬殺し、仲間を救おうと立つ。何の見返りも求めず強敵と戦い、今ここで座す、なんて。ふさわしい名称でしょう?」
「そうか、妾は「血」にまみれたな。だから「斬殺女王」エンベリルというわけか」
「卑下しない。ほとんどあなたが打ち取ってるんだから。だから「女王」なのよ」
「あなたも行ってお上げなさい。」
「妾もか?」
「殆どのワイバーンを殺したのはあなたただよう?」
「そいうわけで、いってらっしゃい」
魔法陣に蹴り込まれた。
出た瞬間から、そこからが聞こえてくる!
救世主様、救世主様…………妾はその声をふりきって、全員を領主館
に集めた。体を拭こうとする者も退けた
両断された下級悪魔(図体では最大級)の前に立ち。
「後始末は「冒険者ギルドに」まかせることができる」
「今年は豊作じゃったようだ、つつがなく、冬を迎えられるの』
「救世主様は、どうされるのですか!」
「勿論冒険者ギルドに戻るわ!我は救世主などではなく、「斬殺女王エンベリル」
「斬殺女王エンベリル」なのだからな!
「エーンベリル―」「エーンベリルー」
その声を背後に、妾は移動陣で元に戻った。
~語り手・クリスロード~
「と、まぁそれが、妾の「斬殺女王エンベリル」の由来じゃ。面白くもなかろう」
「い、いえ、ワイバーンを地に落としたとはいえ10体葬ったのはすごいですよ」
「下級悪魔を両断ってなんだよ」
私は、微笑んだま、何も言いませんでした。
エンベリルさんの昔語りが興味深いのはもちろんですが、その後のみたのじゃれあいが楽しかったのです。わたしの今までのパーティは、太鼓持ちが多かったので。
自然と無口になってしまうのですよ。
「そりゃあ斬殺女王ともよばれるわ」
「うっさいぞ、ただの腕利きの盗賊の分罪で」
「その辺はまた話すよ、うわああチョークスリーパーをかますなぁぁ」
さすがに声をかけます
「みなさん、モンスターが寄って来てますが、いいんでしょうか?」
「ああん?」
「コロス」
モンスターたちは(一部食べれないモンスターを除いて、買って来ておいた)赤いタレ(ピリ辛)で、赤い鍋を使い美味しく調理されました!
フィーアさんは、水は生命線だからと、30ℓも買って来てらっしゃったので。
朝、水を使えるのは良い事です。
次の日の皆の目覚めは爽快でした。6時です。
いえ、ゴルド商会の毛布おそるべし………寝坊しかかけました。
ああ、プリシラ拗ねないで………お前が拗ねてしまうと私はどうしたらいか………。あぁ機嫌を直してくれるのですね。
なになに、その毛布、我も暖かかったゆえ許す!とな。
ゴルド商会おそるべし。
~語り手・リリジェン~
エンベリルさんは、訓練を兼ねた演武を披露してくれています。
「野営をしたから、今日着くのは真夜中だね」
こちらは商売道具を整備し終わったフィーア。
クリスさんが心配そうにシンプリシラを宥めているのではなしかけると、どうもプリシラには毛布が癇に障ったそうですが、自分も暖かかったので許す!
と言っているそうです。
エンベリルさんエンベリルさん。
「なんひゃ、りりふぇん(キュウリを噛みながらだったのでこうなったらしい)」
「いえ、幻獣と話せるアイテムってありますか?」
「ん?それは割と出回っておるな。あっちこっちの遺跡で出るぞ」
「でしたらクリスさんとの幻獣との会話も解るわけですよね」
「ああ、あるほど。帰ったら買い集めるか!」
「ゴルド商会に行きましょう!」
「好きよなぁ、ゴルド商会」
「だって一級品ばかりじゃないですか」
「おーい!呑気してんな!さっさと出発するぞ!」
「はーい」
「ふっ、余裕のない男よの。起きるのは妾より遅いくせに」
「暗殺すんぞてめぇ。」
「まあまあまあ」
荷物をまとめて(魔法のバックパックにつめこんとだもいう)出発です。
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