第31話 ドラゴンと、竜人族の姫
オレはスーツを装着し、飛ぼうとした。
「バイクに飛行できる機能を取り付けた。キミが飛ばなくても、バイクで飛行ができるよ」
ニョンゴのヤツ、バイクを追加武装にすることまで考えていたらしい。バイクがゴツイマシンに変わっていた。追加装甲はもちろん、シールドをサイドカーにできるようになっているではないか。
「お前、めちゃくちゃだな!」
「これくらいしないと、タキには勝てないよ!」
「だろうな! よし、出発だ!」
シールドをバイクに装着して、上昇する。
三〇メートルはあろうドラゴンと、荒野へ向けて並走した。
ドラゴンの頭の部分が、半透明になっている。黄金色のクリスタルを、はめているかのようだ。あそこが、操縦席になっているらしいな。
「いた。タキだ」
やはり、あのドラゴンはタキの作ったものか。
そんな気がしていた。
「それとあの女は?」
タキの隣に、偉そうな美人が座っている。目にハイライトがない。目の下にはクマができている。レクシーと違って、全体的に細い。赤黒いドレスは、竜のウロコを思わせた。
「あれは、レッドドラゴンのマーゴットじゃないか。魔王の娘の一人だよ」
魔王ミルドレットは、複数の女性との間に子どもを設けている。その一人が、あのマーゴットらしい。
「どんな奴だ?」
「見ての通り、ヤバイ子だよ。一番ミルドレッドに似てなくて、子どもたちの中でも最大レベルで好戦的かも。実力も高いから、厄介な相手だよ」
速度を上げて、タキに追いつく。
「タキ、ご覧になって! 青い騎士が、こちらに向かっていますわ! 王都へ行く手間が省けましたわよ!」
赤黒いドレスを着た女が、操縦席のハッチを開けた。席の縁にガンと片足を乗せて、おしげもなく内モモをあらわにする。
「ハーイ、ごきげんよう! 我こそはマーゴット。魔王ミルドレットが一子の一人! お手合わせ願いましょう!」
腰に手を当てて、風を全身に受け止めていた。
その姿は、まさに豪傑そのもの。
ドラゴンの血を引いているだけあるようだ。
マーゴットが、腰に当てていたてから火球を発動させる。
「こちらは、ごあいさつ代わりですわ! それ!」
二つの火球を、マーゴットが投げつけてきた。
「うわっと!?」
バイクを操作して、弾を回避する。
しかし、まだ火球が追いかけてきた。
「ヤバイ。シェリダン・スラッシュ!」
サイドカーのシールドに取り付き、刀で火球を斬り裂く。
ここで、大技を使わされるとは。
「なかなかやりますわね、ウワサどおりの強さですこと!」
マーゴットは、オレの強さをお気に召したようだ。
「あっぶないねんて! 着陸するさかい、じっとしといてや!」
タキが、荒野へとドラゴンを下ろす。
「どないや? ワシの開発したドラゴンは? ごっついやろ?」
おもちゃを自慢するかのように、タキが得意げに語った。
「スーツのデータと、ウェザーズのデータを元に開発したんや。こっちにおる竜人と魔王の子である、マーゴットはんの知恵も借りて、できるだけドラゴンに近い造形にしてみたんやで」
どうやらタキは、オレのパワードスーツの構造を読み取ろうとしていたらしい。ウェザーズの死体から。
「それと、ドワーフのダンジョンからパクった宝玉で、このマシンの完成や! 名付けて、ブラックドラゴンのラファロや!」
機体名を名乗ったタイミングで、ブラックドラゴン・ラファロが雄叫びを上げる。
どこまでも様式美を忘れない辺り、タキが作ったものだなと実感した。
「お前も、ウェザーズのように街を壊さずにはいられないのか?」
「アホぬかせや。ワシは破壊神になりたいんやない。不死身にはなりたいけどな。せやかて、ウェザーズみたいに手当たり次第にケンカを売るマネはせん。ワシのターゲットはお前や、
「オレだけを狙う?」
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