第40話 ラストバトル! さらばジェンシャン・ナイト!
腹を貫かれたタキは、かろうじて生きているようだ。マーゴットに抱きかかえてもらっている。
「おい、タキ大丈夫かよ!?」
タキは答えない。その代わり、空を指差す。魔王を撃てと言っているのか?
「モモチ、今は魔王討伐が先だよ!」
どうやら、魔王は実体がない。残留思念の状態となっている。
魔王の胸部にある宝玉が点滅し、魔王の声が。
「おのれ、人間ども。下等生物の分際で、我がものにならぬというなら、全て滅ぼしてくれる!」
エネルギー体となった魔王が、天へと舞い上がっていった。深夜の空を、昼のように照らす。
王都の窓から、人々が何事かと身を乗り出していた。しかし、おぞましい魔王の姿を見て、すぐに自室へと引っ込む。
「世界は、今日をもって終わりを告げる! 全人類、および魔界でさえも!」
空を登りきった魔王の肉体が、膨れ上がる。
「魔王のやつ、自分の思い通りにならない世界を破壊する気だ! 宝玉の力で自分をさらに燃焼させ、世界の中心に飛び込むつもりなんだ!」
そうなれば、王都どころかこの星もろとも吹っ飛んでしまう。
「させるか!」
ライコネンには、妻のレクシーがいるんだ。この世界を壊させるものか。
オレは、シールドのランチャーを構えた。
「ニョンゴ、二発目は撃てそうか?」
「待ってました。一応、チャージしておいたんだ。でもパワー不足だよ」
構うもんか。この世界を守れるなら!
飛行モードのバイクを起動させ、オレは上昇した。降下してくる魔王に向かって。
「体当りする気かい!」
「アホかモモチっ! 離れろやっ!」
ニョンゴに続き、タキの声も聞こえてきた。
しかし、オレは耳を貸さない。スーツを上昇させて、魔王へと近づいていく。
タダで、死ぬかよ!
「ランチャーのパワーは、充填したままだな?」
「ああ。でもこんな至近距離で撃ったら!」
オレは、バラバラになってしまうだろう。
「スーツのパワーも、オマケしてやる。ミスリル製だ! ぶちかますぜえええええっ!」
シールドを反転させ、オレはランチャーを展開した。
魔王との距離は、ゼロだ。
「くたばれ、魔王!」
オレは、ニョンゴをランチャーから引っこ抜く。
「モモチ?」
パワードスーツを脱ぎ、魔王へと直接ブチかました。オートモードになったアワードスーツが、魔王を掴む。これで魔王は、ランチャーから逃げられない。
「なにを」
「こうするんだ!」
ランチャーのトリガーだけを引いて、バイクを反転させた。オレはシールドの装甲板だけを防壁にして、バイクで降下していく。
上空が一瞬だけ、昼間の明るさになった。魔王が、ランチャーとスーツの爆発に巻き込まれたのだろう。
「うおおおおおお死ぬ死ぬ死ぬっ!」
「スーツがないだから、当然じゃないか!」
数秒もしないうちに、地面へ激突しそうだ。
しかし、落下したのはバイクだけ。
オレは、赤いドラゴンに抱きかかえられた。
「むちゃくちゃですわ。あなたたちは」
「あはは……」
魔王の姿は、もうない。
どうやら、勝てたようだ。
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