第39話 魔王撃退……
魔王の胸部装甲が熱を持ち始めた。今にも、爆発しそうな勢いである。
「な、なんだこのパワーは!?」
「自分で言うたんやんけ。ウォリハルカニウムは絶妙なバランス調整が必要やと!」
「ぬう!?」
装備を脱ぎ捨てようにも、熱で身体にへばりついてしまっていた。
「ワレの仕掛けた宝玉で死んでまえ、魔王!」
「ごおおおおっ!」
とうとう、魔王の全身に亀裂が。
叫ぶことすら許されず、魔王は大爆発を起こす。
オレは再び、シールドを展開した。王都へ爆風が入り込まないように、空へと流す。
それでも、防ぎきれない。戦闘中だったジーンも遠くへ吹っ飛び、海に落ちてしまった。王都の建物にも、甚大な被害が及んでいる。
ウォリハルカニウム……すさまじいパワーだった。
「魔王とはいえ、これだけの魔力を制御しようってんだからね」
土煙が晴れ、ニョンゴが語りかけてくる。
「ムリがあったな。過ぎた力は、自分を滅ぼすのだとよくわかったぜ」
パパッと、ニョンゴに付いた砂ホコリを払う。
「魔王は死んだ。あとはお前だけや。どっちが強いんか、決めようやないか」
まだ、やらなければいけないことがあった。タキを倒さないと。
「お前……タキだよな?」
もはや、ボロボロじゃないか。本当にタキかと思うほど、ズタズタになっていた。
「なんで」
「自分の持っているウォリハルカニウムを、魔王のものに転送して暴走させたんだ。そのせいで魔王を破壊した。しかし、宝玉が自分の身体と密着しすぎていたんだよ」
ニョンゴは、そう解説する。
だがおそらく、それだけではない。マーゴットを守ったせいだろう。マーゴットはほとんど無事だが、タキの方はヨロイがほぼ溶け落ちていた。息も切らしている。
「タキ、もうやめにしないか? 王都の被害も大きい。お前のところの部隊もほぼ壊滅している。退いてくれないか?」
こちらも、スーツのダメージがデカい。できれば、このまま撤退したいのだが。
「やかましい! ワシは最強になるために、魔界の将軍を出し抜き、魔王を倒した。こんなになっても、気力は充実しとるんや。お前を倒して、今日からワシが最強になるんや」
「その前に、死んじまうぞ」
「ええねん。ワシは今、おもくそ生を実感しとる。予想していた展開とは違うが、これでええんや」
最低限の回復魔法だけ施して、タキが立ち上がる。
「どないしてん? お前も来いや。決着を付け――」
タキの腹が、貫かれた。
「な、魔王!?」
倒したはずの魔王の影が、実体を持ってタキの背後にいたのである。
「宝玉を媒介にして、スーツに無理やり魂を移したんだ!」
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