第26話 闇の科学者と再戦
オレも、内容を見せてもらう。
ドワーフが採掘場にしている山に、凶悪なモンスターが大量発生したらしい。冒険者たちで食い止めているが、どうやら魔王軍が率いているという。
「行ってくる」
「気をつけていけよ!」
試作品のシールド形ジェットに乗って、ラショーが鍛えてくれた新生の刀で現場へ。
「これ、案外快適だな!」
まるで、八〇年代のアニメみたいな冒険だ。あれも、機動の凧を使って移動をしていた。
「寝そべりならが移動できるってのがいいね!」
それもあるが、ユニットにニョンゴをセットできるのが大きい。ニョンゴの稼働時間も、大幅に上がるのでは?
前の戦闘でも思った。いくらニョンゴが無敵だからといって、長時間稼働しているとどうしても動作が鈍るのだ。
ミサイルの制御などを担当してもらっているのだが、長い時間をかけると制度が悪くなる。
やはり、適度にパワーを維持する方法が急務だろう。この充電式シールドが、突破口になれば。
ラショーに作ってもらっているのは、あくまでも試作品だ。実際に使用するのは、別の金属が必要である。
「とはいえ、貴重な金属なんだろ? オレなんかがもらっていいのか?」
「キミにもらってほしいんだ。大事に保管できるのは、今の時代dだとおそらくキミだけだろう。そう、ラショーは判断したんだ」
敵の手に渡るくらいなら、ってわけか。
「着いたよ!」
一面が岩に覆われた灰色の山脈にて、冒険者が魔物と戦っている。
「って、あれは!」
率先して、冒険者を蹴散らしている人物がいた。
自称「闇の科学者」タキだ。例のアフロ野郎である。
洞窟に入るというのに、革靴に焦げ茶色のスーツという出で立ちである。
「おう。待っとったでシェリダン! ここまで来んかい!」
配下を引き連れて、タキが洞窟の内部へと入っていく。
「待て!」
後を追おうとしたが、周りが負傷者だらけだ。しかも、敵に囲まれている。
「クソが! ディスク・アックスを、くらえ!」
オレは、ラショーに作ってもらった新兵器をお見舞いした。ディスク上の斧を、魔物たちにフリスビーのように投げつける。
こんな場所で光線やミサイルを撃てば、洞窟が崩れる可能性がある。建物の中で敵に囲まれたとき用に、開発した。シールド型飛行ユニットを開発していた際の、派生型である。
魔物たちの首や胴体をハネて、ディスクが戻ってきた。
「いいね! さすがドワーフだ。軽量な上に、切れ味も抜群だよ」
「ああ。もうワンセット作ってもいいくらいだ」
冒険者たちにポーションを配り、避難してもらう。
「あとはオレに任せろ。危なくなったら、逃げるんだ」
そう冒険者たちに告げて、オレはタキを追った。
タキが配置したオーク共を蹴散らしながら、先へと進む。
そのオークでさえ、土着のトカゲに飲み込まれていた。どんだけデカイんだ? 一〇メートルくらいはある。
「あれはドレイクだよ。正面から戦うのは危険だ」
くそ、タキは……光学迷彩だと? スーツに姿を消せるマントを、忍ばせていたらしい。
「ドレイクがこっちを見ているぞ!」
「捕まえる気だ」
丸太のような舌が、オレを拘束しようと迫る。
「クソ!」
刀で受け流す。光線を使えば楽に倒せるだろうが、鉱山だからな。
どんな化学反応が起きるか。
相手だって、条件は同じだろう。
ブレスを吐いてこない辺り、向こうも本能でわかっているんだ。
そうやって、力だけ強く進化したのだろう。
「やべえ、すばしっこいぞ!」
ものすごいスピードで、体当たりを仕掛けてきた。こんな狭い道なのに、どうしてこうも余裕で突進できるのか。
「こうなったら!」
オレは、タキの逃げた方角へ飛ぶ。
「威力を最小にして、くらえ!」
タキの足に向けて、光線銃を発した。
「うわ、アホが!」
銃撃をかわしながら、タキが飛び上がる。やはり、こちらの攻撃は通じないか。
しかし、それでいい。
「アカン。迷彩が!?」
オレが狙ったのは、タキの光学迷彩だ。
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