第35話 魔王ミルドレット
俺が攻撃をしたことによって、別働隊が動く。王都襲撃より、魔王の守護を優先したのだ。
「どけどけぇ!」
オレは大群にミサイルを撃って、数を散らしていく。潰す必要はない。隊列を乱して、連携を取らせない作戦だ。
ミサイルが効かない大型の魔物が、俺に突っ込んできた。
一つ目の巨人が、鉄でできた棍棒を振り上げる。
ロングシールドを構えて、衝撃に備えた。
「うえおップ!」
やはり、無理があったか。オレの身体は、後ろへ大きく吹っ飛んだ。
「ムチャだよ、モモチ!」
シールドから、ニョンゴがニョキッと姿を表す。
「これくらいしないと、相手に舐められる!」
受け流すのが賢明なのは、わかっていた。仮にも
ニョンゴには怒られたが、得るものは多かった。
いくら図体がでかいからって、ウェザーズに比べれば出力は低い。とはいえ、頑丈な相手な相手には変わりなかった。
「こんなヤツラは」
「転倒させるに限るね!」
巨人の足を撃って、ダウンさせる。そこへ、目潰し。
目を失った巨人が、棍棒を振り回して暴れ出す。
その勢いで、隊列がまた大混乱に。
同じような戦法を二、三度試し、敵を壊滅寸前にまで追い込んだ。
しかし――。
「ぬん!」
魔王ミルドレットの側近によって、デカイ魔物どもが破壊される。
ウェザーズ基準で申し訳ないが、そいつの三倍は強いかも。
「テメエは?」
オレは、怪物を殺した魔族に問いかけた。
そのモンスターは肌が緑色で、腕が四本もある。
「カオスデビル。主、ミルドレットの片腕なり」
こんなヤツを連れているのかよ。
「やあ、ジェラン。泣き虫ジェランが、えらい変わりようじゃないか」
ニョンゴが、魔王に語りかける。
「その声は、竜胆の魔女か。随分と丸っこくなったではないか」
魔王ミルドレットは、王冠と一体化したマスクを付けて、闇色のローブをまとっている。ローブの闇の中では、銀河が渦を巻いていた。このローブ自体が、魔力の塊らしい。
「あれ? 声色まで変えて。ヨロイなんて着るタチだったっけ?」
「ドクター・イシロウに作らせた。この身体があれば、貴様らごとき」
「その割には、部下に守らせているようだけど?」
カオスデビルとかいう巨体が、オレに殴りかかった。ニョンゴの言葉を、侮辱ととらえたのだろう。
「ジェンシャン・スラッッシュ!」
デビルが拳を振り落とす直前に、オレの動作は終わっていた。
オレが刀を納めると、デビルが斜めに切断される。
これで、ウェザーズなんざもう目じゃねえってわかった。
「おもしろいおもちゃを、手に入れたものだな。魔女よ」
「彼は、頼もしい仲間だよ」
「それをおもちゃというのだ」
今度は、オレが仕掛ける。
銃で、ミルドレットの胸に光弾を撃ち込む。
しかし、ローブの銀河に飲み込まれていった。
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