第2話 召喚獣を召喚してみたら凄かった

 ――――――――――――――――


 【下級獣召喚】


 下級獣を召喚する。(全四種)


 ・ウルフ


 ・イーグル


 ・クラブ


 ・ゴーレム


 【下級精霊召喚】


 下級精霊の精霊を召喚する。(全四種)


 ・火の下級精霊『サラ』


 ・水の下級精霊『ウン』


 ・土の下級精霊『グー』


 ・風の下級精霊『シル』


 ――――――――――――――――



 これが【召喚士の加護】を持った僕が召喚出来る召喚獣リストである。


 全部で八種類の召喚獣を召喚出来る。


「よし、では早速召喚獣を召喚してみるよ!」


 僕はウィンドウから【下級獣召喚】を召喚する。


 取り敢えず、全種類一種ずつ召喚して見る。


 特に詠唱は全く要らないんだな…………なんか寂しいな。


「あれ? お兄ちゃん? 無詠唱で召喚してない?」


「へ? そうだね」


「はぁ、お兄ちゃんって実はすごく強いのかな? でも、召喚士ってこんなに強いはずないんだけどな…………」


 エリーがなにかをぶつぶつ言ってるけど、それってもしかして、【エクストラスキル】のせいなのかも知れないな。



 ――――――――――――――――


 【召喚士の心】


 エキストラスキル。


 全ての召喚スキルに対して、絶大な効果をもたらす。


 ・召喚スキル効果絶大上昇


 ・召喚スキル詠唱破棄


 ・召喚スキル制限解除


 ・召喚獣心話


 ――――――――――――――――



 あっ…………。


 エリーが言っているのは、この事だったのか。


 どうやらエキストラスキルのおかげみたい。


 それにしても、この内容だけ見ても、既にチート過ぎるのが良く分かる。


 こんなチート過ぎるスキル内容って、向こうから来た僕なら直ぐに気づく。だって、今まで沢山のゲームをして来たからね。


「お兄ちゃん? 召喚士がダメダメなハズレ加護だと言われている理由って、召喚獣を召喚する為には、魔力と魔石が必要なの」


「ふむ」


「なのに、お兄ちゃんはどうしてそれを使わず召喚出来るの?」


 エリーの鋭い質問に心が痛む。


 エキストラスキルを伝えるべきだろうか……。


「まあ、でもお兄ちゃんがこれで心置きなく冒険者になれるなら……いいけど……」


 少し寂しい表情をするエリー。


「なあ、エリー」


「うん?」


「…………一緒に旅をしないか?」


「え? 旅?」


「ああ。僕は冒険者にはなれない。だから一人・・で冒険者になろうと思う。何にも縛られないで、世界を冒険したいんだ。そこにエリーが一緒に来てくれたらすごく力になるんだけど、どうかな?」


 エリーが少し潤んだ目で僕を見る。


「私、弱いよ?」


「いいさ、僕が守るから」


「――――――うん! 行く!」


 僕の胸に飛び込んで来たエリーのほんのり温かな体温が肌から伝わって来る。


 これならエリーと離れ離れになってまで、冒険者を目指さなくても良い。


「ただ、まずは召喚獣がどんな感じなのかを調べてからだな。手伝ってくれる?」


「うん! 手伝う!」


 僕とエリーは、召喚獣を一通り観察して、色々仮説を交えた。




 ◇




 目の前にぷよぷよと飛んでいるのは、最弱モンスターとして有名な『スライム』だ。


「お兄ちゃん頑張ってね!」


 エリーの応援を受けながら、僕は召喚していた召喚獣四体を見回す。


 狼の召喚獣のウルフ。


 大鳥の召喚獣のイーグル。


 カニの召喚獣のクラブ。


 土人形の召喚獣のゴーレム。


 それぞれ得意な戦い方があって、この子達で連携を取れば、強いんじゃないか?


 まずはゴーレムで防御して、ウルフで攻撃して、クラブで援護しつつ、イーグルで迎撃する。


 何となくだけど、その作戦で行こうと思う。


「最初にゴーレムがスライムの攻撃を受ける! 行け! ゴーレム!」


 ゴーレムの大きさは1メートル。


 人間より一回り小さいが、スライムよりは大きい。


 そして、ゴーレムはゆっくり歩いて――――――スライムを踏んだ。


 踏んだ。


「お兄ちゃん? ゴーレムちゃんがスライムを踏んだよ?」


「そ、そうだね…………」



 - 経験値1を獲得しました。 -



「…………倒したらしい」


「…………うん。見れば分かるわ」


 エリーの言う通り、見ているだけで分かるね。


 ゴーレムは自分の足をあげて、足元を覗く。


 スライムが消えたので、そのまま僕を見つめ、申し訳なさそうに頭を下げた。


「え!? い、いや、君が悪い訳じゃないからね!? 大丈夫!」


『マスター、感謝……』


 ……。


 ……。


 ……。


「えええええ!? ゴーレムくん!? 今、喋った!?」


「???」


 隣にいるエリーが何言っているの?みたいな顔をしていたけど、僕の耳にはしっかりゴーレムくんの声が聞こえた。


『マスター、僕達、意思が伝えられます』


「っ!? も、もしかして!」


 急いで、もう一度【召喚士の心】を詳しく見る。


 【召喚獣心話】という部分。


 これで召喚獣と会話というか、念話というか、心話を交わせるようになったのか!


「って事は、みんなも話せる?」


『はっ、マスター、命令を』


『マスター、話せます』


『マスター! 何でも言ってください!』


 おおお~!


 召喚獣達が喋ってくれる!


「では、みんな。このまま一緒にモンスターを倒して来て貰えるかな?」


『『『『かしこまりました!』』』』


 すると、四人が陣形を組み、森の中に入っていった。


「あ、もし他の冒険者とかに攻撃されたら、決して反撃しないでね?」


『はっ!』


 お~、姿が見えなくても、こうして伝えるとちゃんと伝わるんだな。


「お兄ちゃん? そろそろ教えて貰ってもいいかしら?」


 隣でジト目で見つめているエリーが、しびれを切らして聞いて来た。

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