第17話 中二心くすぐる名前の新たな召喚スキル
ワイバーンの心臓は一つで銀貨50枚もするらしい。(エリー先生談)
なので、シルフィくんとウンディちゃんには悪いけど、ワイバーンの殲滅を頼んだ。
たまに町にワイバーンが現れて困っているって話を聞いていたので、とにもかくにも殲滅していこうと思う。
それと、ワイバーンのお肉と爪、牙も高く売れるらしいので、全て格納していた。
ワイバーンを一頭丸々売るだけで、金貨一枚になるらしい。(エリー先生談)
エリー先生は、いつの間にこういう価格を調べていたのだろうか。
一足先に町に戻った僕達は真っすぐシュナちゃんパパのシリウスさんの下に向かった。
「ん? ホロさん? 忘れ物ですか?」
店のカウンターに座っているシリウスさんが不思議そうな顔をしている。
「いえ? 集まったから持ってきたんです」
「へ? 集まった? 何がですか?」
「何がって、シリウスさんがワイバーンの心臓を取ってこいって言ったじゃないですか」
「え? 言いましたけど、また数刻しか経ってませんよ?」
「そうですね。まだ日も暮れてませんけど、必要数分は取れたので持ってきました」
僕はテーブルの上にある素材置き皿にワイバーンの心臓十個を取り出して置いた。
「…………」
「…………」
「えええええ!? もう持ってきたんですか!?」
「だから、さっきから持ってきたって言ってるじゃないですか!」
「えええええ!?」
ひとまずシリウスさんに心臓を押し付けると、ソワソワしながらシリウスさんは【アイテムボックス】に仕舞いこんだ。
「シリウスさん、十個で足ります?」
「…………まさか、もっと持っているんですか?」
「群れが四十頭だったので、あと三十個くらい?」
シリウスさんの悲鳴が木霊した。
◇
「ん~! 美味しい!」
僕は目の前に置いてあるステーキを一口食べ、思わず叫んでしまう。
ワイバーンのお肉が大量に余っているし、お金にも困っていないのでシュナちゃんにおすそ分けしてあげたら、一緒にご飯を食べたいと言われ、夕飯にお邪魔した。
シリウスさんのご厚意で、部屋が一つ余っているらしく、【アイテムボックス・特大】が完成するまで泊っていいというので、暫く厄介になる事になった。
シュナちゃんとすっかり打ち解けた妹は、一緒に料理を作ってくれて、美味しそうな料理がテーブルに並んだのだ。
「シュナちゃんもお料理が上手だね」
「えへへ~」
褒められると嬉しい笑顔を見せるシュナちゃんが可愛い。
「ホロさん」
シリウスさんが僕を呼んだが、まだ口の中にお肉がいっぱいで、もぐもぐしながら返事は出来ないから、頷いて目線で返事をする。
「ワイバーンの素材が余っているとの事でしたから、よろしければワイバーンの爪を数個譲って貰えませんか?」
「いいへふよ」
うん。やっぱり口にモノを入れたまま喋るのは行儀が悪いね。
ちゃんと伝わったらしく、シリウスさんも喜ぶ。
食事後、宿屋代の代わりとしてワイバーンの爪を十個ほど譲ると、とても喜ばれた。
ついでに牙も十個、心臓も五個譲ってあげた。
その日の夜。
ワイバーンを倒してくれている二人にコンタクトを取ると、山に住まうワイバーンを半分ほど殲滅したそうだ。
休みながらでいいよと言うと、精霊は疲れるとかないので心配ないみたい。
…………無限自動遠隔狩りシステムかな?
その時。
- レベルが40に上昇しました。 -
- スキル【中級竜種召喚】を獲得しました。 -
- 加護スキル【召喚獣強化】が【召喚獣超強化】に進化しました。 -
- スキル【下級召喚スキル無詠唱】を獲得しました。 -
おお~さらっと39まで上がったレベルだが、39から40に上がるまで随分と長いなと思ったらやっと上がった。
やっとと言っても数時間だけど。
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【召喚獣超強化】
一体の召喚獣を600秒間3.0倍強化する。
――――――――――――――――
【下級召喚スキル無詠唱】
下級召喚スキルが無詠唱で使用出来る。
――――――――――――――――
まずスキル【下級召喚スキル無詠唱】も例のごとく灰色に表示されていて、僕には無用なスキルらしい。
この下級召喚と言えば、ウルフくん達の下級獣召喚しか存在しないから、ここまでたどり着いた召喚士ならウルフくんを乗り物用に使うかも知れないね。まあ、魔石とかは必要だろうけど、【アイテムボックス】があれば、魔石を沢山持ち運び出来るだろうから。
そして、加護スキルが進化した。
今回は【強化】から【超強化】になり、効果は持続時間も性能も二倍増。
恐らく、僕の召喚獣達は…………30倍強くなるのかも知れない。
これは要確認だね。
そして、最後に新たなジャンルの召喚スキルを得た。
その名も【中級竜種召喚】。
あ~この中二心くすぐる名前に、ワクワクせざるを得ないよな!
ただ、ここまで来た僕としては、今すぐ召喚して町を混沌に陥れてしまうかも知れないという自重心が芽生えているので、試すのは明日にしようと思う。
明日、妹をう~んと驚かせてあげようと思う。
――――――――――――――――
【中級竜種召喚】
中級竜種を召喚出来る。(全一種)
・ドラゴン
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