第16話 ワイバーンは群れる習性があるらしいので、一度に沢山狩れる
現在、僕達はとある山に来ている。
ここはヘンス町から南に進んだ先にある山で、飛竜の山として有名だ。
名前からして飛竜――――ワイバーンが住んでいる山だ。
「お兄ちゃん。ワイバーンって群れるけど大丈夫かな?」
「まあ、全力召喚で当たるしかないね。いざとなったら…………」
「なったら?」
「
「あの気持ち悪いのって強いの?」
「うん。一応破壊力抜群らしい」
「…………最悪の場合は仕方ないけど、使う前に言ってよね!?」
「危なくならないと使わないよ。そもそもワイバーンの心臓を取らないといけないから、生け捕りにしないといけないし」
【魔道具屋】の店主である
ただ、この山に大量に生息しているワイバーンから、生きているうちに心臓を抜き取ると【ワイバーン心臓】が手に入るらしく、それを十個ほど持ってきてくれたら、他の素材は町で買って作れるらしい。
ワイバーンの心臓を抜く前に倒してしまうと、心臓が硬くなって、ただの石になってしまい使えなくなるそうだ。
高速心臓摑み取りは精霊達にお願いするとして、とにもかくにもワイバーンを見つけなくちゃね。
僕達は暫く道の先を歩いた。
現在、下級中級獣召喚獣を全部召喚して、精霊達も召喚しているので、傍から見たら立派なパーティーに見えるかも知れない。
僕はウルフくんに
召喚獣達は移動時も便利だねー、因みに乗せてくれるのもベアくんの希望だったりする。
「あ! お兄ちゃん! 向こう!」
妹が空に向かって指をさした。
「眩しっ!」
「そこじゃなくて、左!」
妹が斜めを指さしているように見えたから、太陽を直視してしまったよ。
「えっと……お! 黄色いのが沢山飛んでいるな~」
「あれがきっとワイバーンだよ!」
『主、ワイバーンの群れでございます』
「そうか! さて、どうやって生け捕りにしようかな~」
その時、風の精霊のシルフィくんが声をかけてきた。
『主様! 私に任せて!』
「ん? シルフィくんが何とかしてくれるの? 頼んだ~」
『わ~い! 任されました!』
大人びたサラマくんとは違い、幼い姿のシルフィくんは両手をあげ喜びを身体で表現すると、凄まじい速度でワイバーンに向かって飛んで行った。
遠目だが、シルフィくんがワイバーンの群れに風魔法を使って、空中でワイバーン達をぐるぐる回らせて一か所に固めて持ってきた。
「うわ…………ワイバーンが団子みたい…………」
「どちらかと言えば、変色したおにぎりだな」
「お兄ちゃん、おにぎりに失礼でしょう!」
いや、団子にも失礼だろう。
『主様! 全て生け捕りにしたよ~!』
「お疲れ様!」
喜ぶシルフィくんが僕の前に来て、何かうじうじし始める。
えっと……これって…………。
そっとシルフィくんの頭を撫でてあげる。
『えへへ~私に出来ることならいつでも言ってね! 主様!』
「ああ。また頼むよ。それはそうと今度は心臓を取らないとね」
『主様、心臓はわたくしめに任せてください』
今度は水の精霊のウンディちゃんが一歩前に出てくる。
下級の時は名前が【ウン】だったから、実は呼びづらかったのは内緒だ。だって名前的にあれを想像させてしまうから。
ウンディちゃんが両手を前に出すと、水魔法が大きな水の玉を一つ作る。
まだ死んではいないが力尽きて倒れているワイバーンの口の中に水の玉を入れる。
ほんの数秒後、ワイバーンの心臓部分から水の玉が皮膚を突き抜けて外に出ると、水の玉の中にワイバーンの心臓と思われる赤い心臓が入っていた。
ウンディちゃんが次々水の玉を作り、ワイバーンの心臓を40個抜き取ってくれて、僕の【アイテムボックス】の中に格納させた。
- 経験値800,000を獲得しました。 -
- レベルが39に上昇しました。 -
「あ、ものすごくレベル上がった。ワイバーンって強いの?」
「お兄ちゃん……ワイバーンは単体でも上級モンスターだよ?」
「上級……?」
大きなため息を吐いたエリー先生は、モンスターのランクについて教えてくれる。
モンスターはその強さでランク分けされていて、下級、中級、上級、最上級に分類される。
以前戦ったマーナガルムは最上級モンスターの一種で、Aランクパーティーでやっと倒せるらしい。
あの時は、あれだけの人数で攻めたから何とか勝ったけど、Aランク冒険者でも一人ではまず勝てないらしい。
それと上級モンスターはBランクパーティーが、中級モンスターはCランクパーティーが、下級はレベル1からDランクパーティー、Eランクパーティーで倒せる強さだそうだ。
ワイバーンは単体で上級であり、普段は群れで行動するので群れの状態だと最上級モンスターとして判定されるらしい。
シルフィくん一人で殲滅出来たんだけど…………。
エリー先生曰く、モンスターには弱点というのが存在していて、ワイバーンのように飛んでいる相手なら風精霊であるシルフィくんの強力な風魔法で簡単に対処出来たのかもとのことだ。
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