第27話 別れの時ほど、つらいモノはない
「「「「かんぱいーー!」」」」
今日は僕達がヘンス町で過ごす最終日で、これからの旅路を祝ってくれるお祝い会となった。
「ホロくん。この度は本当にありがとう」
シリウスさんはそう話すが、どちらかといえば僕達の方が大いに助かっている。
何しろ、【アイテムボックス・特大】を格安で二つも作ってくれて、妹のために調理魔道器具まで作ってくれた。
さらには【アイテムボックス・大】も五つほど購入させて貰った。
「ホロくんのおかげでヘンス町の冒険者ギルドも治安が良くなったよ~」
嬉しそうにそう話すエラさん。
アインさん達がレベル35まで上がった事により、ヘンス町最強冒険者パーティーはアインさん達となった。
しかも全員がレベル35となると、この町で一番強いらしい。
それも相まって、冒険者ギルドで一番顔を利かせるようになったアインさん達は、早速冒険者達の意識改革を行ったそうだ。
弱き者を助けるのが冒険者であり、自分より弱い者をイジメるための力ではないと力説したそうだ。
おかげで冒険者達は全員が意識を変え、今では真面目に依頼をこなしたり、レベル上げに励んでいるそうだ。
その中でも【地獄の十日エクササイズ】という都市伝説があるそうで、それが多くの冒険者達を震え上がらせているとアインさんは言う。
その日はシュナちゃんと妹で作った美味しそうな料理を堪能した。
次の日。
「ホロ兄ちゃん……エリー姉ちゃん…………」
シュナちゃんが両手で自分のスカートを握り、目がうるうるとなっている。
そんな姿を見た妹が、シュナちゃんの頭を優しく撫でてあげる。
「シュナちゃん。また会いに来るからね!」
「…………ぅん」
シュナちゃんを抱きしめる妹を見て、悲しい気持ちが込み上がって来る。
ふと前世でやっていたネットゲーマー時代の事を思い出す。
ギルドを作り、沢山の仲間と遊んでいた学生の頃は本当に楽しかった。
なのに、みんな成人すると仕事でログインをしなくなり、最終的にギルドには僕しか残らなかった。
誰もこないギルドで、ずっと一人で遊んだ。
そのうちネットゲーム自体も廃れて行って、どんどんプレイヤーの人口が減っていって、プレイヤー激減により狩りも大変になった。その頃に対策として始まったペットシステムがあり最後まで一人で遊び続ける生活だった。
だから、誰よりも別れの辛さは理解しているつもりだ。
「シュナちゃん。人はいつか別れてまた出会うモノなの。だからこれからの出逢いを大切にして、別れを怖がらないで。これからも素敵なシュナちゃんを期待しているからね?」
「………………うん! これからもお父さんを支えながら、エリー姉ちゃんのように素敵な女性になるね!」
「ええ。次会うのを楽しみにしているよ」
思わず、妹にここで暮らそうかと聞こうとした矢先、ああいう事を話す妹が誇らしいと思う。
僕なんかよりもよっぽど覚悟を決めていたのかも知れない。
あの家を捨てた時点で、覚悟を決めたのだろう。
僕はシリウスさんとアインさん達と握手を交わし、最後にはシュナちゃんとも笑顔で別れの挨拶を交わした。
僕と妹はグノーくんの馬車に乗り込み、楽しかったヘンス町を後にした。
「ホロくん達は嵐のようでしたね」
「そうですな。――――――アイン殿。これからもよろしく頼む」
「ええ。こちらこそ。これほど素晴らしい【魔道具師】がこの町にいたとは思いもしませんでした」
「私なんて大した事ありません。ホロくんを見てそう思いました。本当はシュナちゃんとゆっくり過ごせればと思いましたが………………どうやら私ももう一度頑張ってみたくなりました」
「僕達もお供します! ホロくんに受けたこの恩義、少しでもお返ししたいので」
「ええ、よろしくお願いします!」
シリウスとアインが固い握手を交わした。
◇
「それにしても、ヘンス町は良い町だったね~」
「そうね。そういえば、アインさん達が表通りの【魔道具屋】ではなく、裏通りの【魔道具屋】に通っていたのが噂になっていたみたいよ? 多分表通りの【魔道具屋】は近々潰れるんじゃないかな?」
「あ~あのブタか! あのブタには感謝しなきゃな~おかげでシュナちゃんに出会えたんだから」
「え~、でも私は感謝したくないな~」
「いや、俺だって感謝してないよ」
「「あははは~」」
そんな馬鹿話をしながら、僕と妹は次なる街【カートース街】を目指した。
――――――――――――――――――――
【名前】 ホロ
【年齢】 15歳
【加護】 召喚士
【レベル】 40/100
【近接能力】 D-
【魔法能力】 B
【エキストラスキル】 召喚士の心
【加護スキル】 召喚獣超強化
【スキル】 下級獣召喚
中級獣召喚
中級集団召喚
中級精霊召喚
中級竜種召喚
【特殊スキル】 アイテムボックス・特大
――――――――――――――――――――
――――後書き――――
いつも『チートスキル転生召喚士~召喚士はハズレだから冒険者になれないらしいので、一人で最強パーティーを組んで無双します~』を読んでいただきありがとうございます!
ヘンス町は通り過ぎる予定(プロットでは)だったんですが、まさかシュナちゃんやシリウスさん、アインさん達が出てくるとは思いもしませんでした。
思いのほかヘンス町に愛着が湧いてしまった作者なので、もしかしてこの先、彼らがまた登場する日もそう遠くないかも!?しませんね~
それはそうと、一つ情報を書いておこうかなと思います。
本文ではあまりつっこんでいない召喚士ですが、将来詳しい説明をする予定ですが、ホロくんじゃなければ、召喚士は最弱クラスだと思ってください。
本来なら召喚獣を一体召喚するのにとても大変なのに、強さもイマイチです。
それについてはまたいつか!
次の街でホロくんを待ち構えている強烈な出来事にも注目しつつ、楽しんで頂けたらなと思います!
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