カートース街と変態とデモン
第28話 カートース街への道中で見つけたモノ
ヘルス町を出て数時間。
僕達兄妹は召喚獣による馬車移動で快適に移動している。
窓から見える景色は、遠くに森が広がっており、周囲には穏やかな平原が広がっていて、窓から入って来る涼しい風がとても気持ちいい。
「お兄ちゃん! あそこに街が見えるよ!」
妹が前方の窓から正面に見え始めた景色を指す。
遠目からでも広い街なのが分かるほどに、広大な街が広がっていた。
「ここから見るだけでも凄いね!」
「うん!」
「子爵様に賄賂もたっぷり貰ってるし、高級宿屋に泊ろうか!」
「えっ!? いいの?」
「ワイバーンの素材もたっぷりあるから、お金の心配はしなくていいよ? それにエリーもアイテムボックスが繋がってるから、欲しいモノは好きに買っていいからね」
「う、うん…………」
両親が生きていた頃も遠出が多かった二人、決してお金で苦労はしていなかったが余裕過ぎる訳でもなかったので、ずっと倹約を続けていた妹。
お金を使う事に未だ抵抗感があるかも知れない。
カートース街で色々買ってあげたいね。
その時。
僕達が丁度通り過ぎた一団が視界に入る。
家族なのかは分からないけれど、お母さんが一人、子供が七人一緒に歩いていた。
「ウルフくん! グノーくん! 止まって!」
「お兄ちゃん?」
馬車を急いで止めて貰い、急いで馬車を降りる。
こちらが止まった事に驚いてか、家族のお母さんは子供達を抱きかかえて不安そうな表情でこちらも見つめていた。
僕が彼女達に近づいていく間も、子供達は不安そうに見つめる。
「あ、あの、貴族様? 私達が何か御用でしょうか? お気に障りましたら申し訳ございません…………」
子供達も酷く怯えている。
それもそうで、彼女達は衣服もボロボロなのだが、靴すら履いておらず、身体には生傷が数多く見えているのだ。
「そんなに怯えなくていいですよ? 皆さんはこのままカートース街に向かわれるのですか?」
「は、はい……」
「良かった。それなら僕達の馬車に乗ってください。子供達が素足では足が怪我して大変です」
「えっ!? あ、あの! どうか許してくださいませ!」
「はい? 許すも何もただみなさんを
「どうか許してください!」
母親が僕に土下座をする。
一体どういう事なのか。
「お兄ちゃん! また何をしたの!?」
母親の土下座を見て走って来た妹も驚く。
「いや、子供達が怪我をしていたし、裸足だから馬車に乗って貰おうと思ったら、謝られてしまってさ」
「…………えっと、本当だ。子供達に怪我が多いわ」
妹は迷うことなくアイテムボックスから【ポーション】を取り出して、子供達に振りかける。
「お嬢様!? 私達にそのような高価なモノを支払う能力はございません! どうかお許しを!」
母親がますます涙を流し続ける。
どうやら誤解があるなこれは。
「何か誤解があるようで、そもそも僕達は貴族でも何でもないです。ただの旅人です。僕はホロ。こちらは妹のエリーです。ポーションの代金もいりません。こちらの善意ですから」
「そうですよ。私達が好きにやってるだけなので、泣かないでください」
妹はハンカチを取り出して母親の涙を拭いてあげる。
「はい、みんなも足が痛かったでしょう? 馬車でゆっくりしていいからね?」
「ほ、ほんと?」
娘の一人が不安そうに話す。
「大丈夫。お兄ちゃんが変な事したら、私が成敗してあげるからね!」
「変な事しないよ!」
僕と妹のやり取りに、子供達が一人、また一人笑い始める。
次第に母親の表情も柔らかくなった。
◇
「わーい! エリーお姉ちゃん、本当にこの靴貰っていいの?」
「いいわよ~」
何故か妹の
それも全員サイズがピッタリ合う。
妹の四次元ポケット…………おそるべし!
「あの……このお礼はどうしたら…………」
「それならいつか困ってる人を助けてあげてください。僕達は生活にそれほど困っていませんから」
「はい! ありがとうございます」
みんなの笑顔を見れるだけで十分お礼になっているからね。
そのまま街に着くと、珍しい馬車なのか周りから奇妙なモノを見る目線を感じるが、気にせず中を通り、広場の前で馬車を降りてグノーくんとウルフくんを回収する。
「お兄ちゃん! 馬車が消えたよ!?」
「ああ、馬車って僕の召喚獣なんだ。この子が先程馬車に変身してくれたグノーくんだよ」
手のひらサイズになったグノーくんをみんなに紹介する。
「「「グノーさん! ありがとう!」」」
子供達に感謝され、グノーくんもご満悦だ。
それから彼女達に生活の足しにするようにと、少しの路銀を渡し別れた。
「あれがヘルス町で大暴れしたと噂の召喚士か」
「そうだ。間違いない」
「ふん。女連れか」
「女というか、妹だそうだ」
「…………ちっ、やりづらくなったな」
「はぁ、お前は妹に弱いよな。妹は元気にしているか?」
「おう! うちのマチルダちゃんは最高だぞ!」
「…………お、おう。それはいいから仕事を忘れるなよ」
「はあ!? それってなんだ! お前にはもう一度うちのマチルダちゃんの素晴らしさを教えてやろう!」
「お、おい! や、やめろ!」
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