第6話 助けたら予想通りトラブル体質の美少女だった
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【召喚獣強化】
召喚獣一体のみを300秒間1.5倍強化する。再使用クールタイム600秒。
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僕は自然とスキル名を大声で話しながら、召喚獣達に手を開らく。
すると、召喚獣達四体が光に包まれていく。
『マスター。凄く力沸きます。感謝します』
ゴーレムくんがそう話すと、一瞬でグロウウルフを吹き飛ばす。
あれ? ゴーレムくんってこんなに早かったっけ?
空から攻撃していたイーグルくんもとんでもない速さでグロウウルフ達を殲滅していく。
クラブくんは、小さな口から湖でも作れるんじゃないかってくらい、水魔法を吐き出してグロウウルフ達の飲み込んだ。
ウルフくんは馬車を守ってくれていたので、出番なし。
一瞬でグロウウルフ五十頭が殲滅出来た。
「みんな、お疲れ様~」
四体とも嬉しそうに戻って来た。
何故か彼らを羨ましく見つめる精霊達四人は、自分達にも【召喚獣強化】を掛けて欲しいと言われ、仕方なく掛けてあげた。
300秒しか持たないし、敵もいないのに。
「こ、此度の助け、心より感謝申し上げます」
馬車を守っていた男性が深く頭を下げた。
「いえいえ、たまたまでしたから気にしないでください。それより馬がやられて馬車が動かせませんね」
「はい……もう少しで町に入れると思ったのですが、急いで馬を調達しませんと……それより、貴方様にお礼をさせてください」
「いえいえ~うちの妹が助けて欲しいというので助けたまでですから」
男性は隣でニヤニヤしている妹を見つめると優しく笑みを浮かべる。
「ですが、子爵家としてお礼はさせてください」
「ホロお兄ちゃん、どうしよう」
「ん~、せっかくだから貰えるモノは貰っておくか」
ネットゲーマーは大体貧乏性だからね。くれるって言うんなら貰っておくよ。
「ウルフくん。悪いけど馬車を引いてくれない?」
『かしこまりました』
僕はウルフくんの頭を一撫でしてあげると、嬉しそうな表情を見せてくれる。
日本で犬を飼った事はないけど、きっとこんな感じなんだろうな~1メートルくらいだけど。
ウルフくんは意外にも【召喚獣強化】で強くなっているようで、馬車を簡単に引いてくれた。
僕とエリーは助けてくれたお礼も兼ねて、人生初めて馬車に乗れる事となった。
「初めまして」
馬車の中。
やっぱり、こういうトラブルの下となりそうな美少女と執事の爺さんが乗っていた。
「初めまして、私はエリー、こちらはお兄ちゃんのホロです」
「よろしく~」
「うふふ、初めまして、私はエイミー・ストークと申します」
絵に描いたような金髪の巻き髪で、それって本当に地毛なの? と聞きたくなるような髪型だ。
引っ張ってみたくなる衝動に駆られる…………。
「ストーク様はどうしてここに?」
「うふふ、エイミーと呼んでくださいまし、命を救ってくださったのですから」
「ふむ。エイミー様はどうしてここに?」
「はい、数日後にクインズ町で開かれるダマス男爵様の舞踏会に参加する為です」
ダマス男爵というのは、クインズ町の領主様でとても偉い人だ。
数日後にそんなイベントがあるのね。
それからすぐに馬車はクインズ町に着いて、ウルフに引かれる馬車はすぐに噂になった。
◇
「こちらはお礼金でございます。ぜひ受け取ってください」
エイミーさんの執事セバスチャリさんから、中身がぎっしり詰まった袋を渡された。
「こんなに頂いても?」
「命を救ってくださったのですから、ぜひ頂いてくださいませ」
「では遠慮なく」
俺達はエイミーさんに挨拶をして、家に帰った。
家に着いて真っ先にやるのは、召喚獣達をまた狩りに行かせる。
何故か【召喚獣強化】が切れないので、そのままにして送った。
一冊の本を取り出して、中身を読むエリー。
すると。
「お兄ちゃん! 【召喚獣強化】って一体までだって!」
「知ってるよ?」
「…………でもお兄ちゃんはみんなに掛けてあげたじゃん」
「そうなんだよね~、多分【エクストラスキル】のせいかもな」
「さすがは【エクストラスキル】というべきか…………それにしてもここに書いてあるモノよりもずっと強くなってる気がするんだけど?」
「それも気のせいだと思うよ~さすがに効果時間も伸びて、全員に掛けられるのに、強化まで強くなったら反則じゃん~」
「それもそうね」
◇
◆とある地下室◆
「なに! 失敗しただと!?」
「はっ……変な召喚士が助けに入りまして……」
「は!? 召喚士ごときにやられたというのか!? グロウウルフ五十頭だぞ!?」
机を激しく叩く太った男性が怒りをあらわにする。いやもうしている。
「それが……下級獣召喚獣がめっぽう強くて……」
「くっ…………これではエミリーを手に入れられないではないか!」
「申し訳ございません!」
男性の前に土下座をして謝るが、男性は中々怒りが収まらない。
「その召喚士というやつを調べて来なさい」
「はっ、既に追っております」
「ふむ。よろしい!」
少し機嫌を取り戻す男性を見た男は安堵の息を吐いた。
「ふん! このダマス男爵も甘く見られましたね! 召喚士風情がたてつくなど! 許しません! このオール・ダマスにたてついた事を後悔させてやろう!」
太ったダマス男爵の嫌らしい笑い声が地下室に響き渡った。
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