第38話 工場を強襲してみましょう
【デモンシーズン】との激闘が終わり、エイミーさんを通して領主である子爵様が兵士を連れて【デモンシーズン】の倉庫を制圧した。
メンバーだけでなく、小麦粉と透明な袋に入っている白い粉――――通称【デモンパウダー】も回収できた。
【デモンパウダー】は摂取する事で幻覚を見せて幸せを感じさせてくれるみたい。
ただし、摂取すればするほど、依存性があり、さらに性格が乱暴になり、最終的には見るものすべてに暴力的になるそうだ。
「なるほど…………」
倉庫の掌握が終わり、子爵様から集まるように言われ、エイミーさんと妹と4人で集まった。
そして、子爵様からとんでもない事を言われたのだ。
「ホロくん。どうか我々に力を貸してはくれないかね? 報酬はしっかり払うのでよろしく頼む。領民の助けにもなるのだ」
その訳とは、今回掌握した倉庫に大量のパウダーを確保した。
つまり、これだけのパウダーをどこかで作っているのは間違いない。
さらに今回回収したのは、持って来たモノではなく、この街で作られたのではないかと予想される。
この街のどこかに
「分かりました。僕としても住民達があんな薬に冒されるのは見たくなので」
「おお! 感謝する!」
エイミーさんの推薦もあり、工場探し及び強襲も任されるようになった。
「ではさっそく、超強化ネズミワールドを発動!」
大量のネズミを作り、街の至る所に散らばせる。
いくらネズミを大量に散らばせるとはいえ、それなりに時間がかかりそうなので、僕達は一度睡眠をとる事に。
「…………エイミーさん?」
「うふふ、気にしなくていいですわよ?」
「いや、そんな触られたら眠れませんってば」
まーた僕のベッドに潜りこんで来たエイミーさん。
仮眠と取らずに大丈夫なのだろうか。
それにしても左腕に当たっている柔らかいのが気になって眠りに集中出来ない。
またぐるぐる巻きにしておこうか。
グノーくんにお願いして、まだエイミーさんをぐるぐる巻きにして眠りについた。
◇
数時間後。
目が覚めると、エイミーさんがぐるぐる巻きを解除させて、僕の腕に引っ付いて眠っていた。
静かに眠っているとただ可愛い女の子なんだがな。
それにしても、エイミーさんのお母さんには会った事ないな?
「ん……」
そんなことを思っているとエイミーさんが起きたみたい。
「エイミーさん? おはようございます」
「ん…………ホロしゃま……おはようございましゅ……」
意外にも朝は弱いらしい。
彼女の少し乱れた髪をそっと整えてあげる。
「さて、そろそろ起きましょう。妹も起きている時間ですから」
「ん…………あぃ……」
重たそうなたわわを抱えて起きるエイミーさん。
顔を洗って食堂に向かうと、予想通り妹が起きていた。
「おはよう、お兄ちゃん」「おはよう~」「おはようございますわ」
すぐにメイドさん達が食事を準備してくれる。
「お兄ちゃん? 進捗はどう?」
「ああ。場所は見つかったよ」
「意外とあっさり見つかったね?」
「そうだな。まあ最初から予想は付いてたからね」
「そうなの?」
煙は高い所になんたらと言うように、悪党は地下に潜ると言われているからね。言わないか。
食事を終え、さっそく子爵様と打ち合わせに向かう。
「この街のハズレにある孤児院から地下に降りる道があります。そこから進んだ場所に工場とやらがありますね。それにしてもこんな近くで作られているなんて、思いもしませんでした」
「そうだな。守りは手薄そうだが、どうなのだ?」
「そうですね。思っていたよりは手薄ですね。やはり幹部は倉庫にいた二人だったみたいですね」
「幹部クラスがそう多くいる訳もないからね。幹部二人を早々に捕まえられたのが大きいな」
たまたまだろうけど、普段は別々を守っていただろうね。
本当に運が良かった。
「ではさっそく強襲をかけましょう。それと孤児院のシスターも【デモンシーズン】なので気を付けてください」
「分かった。ホロくん達はそのまま地下に向かってくれ。私は兵を連れ、地上を掌握しよう」
そのまま足を急がせ、街ハズレに構えている孤児院にやってきた。
遠目で子供達が楽しそうに遊んでいたり、家事を頑張っている。
「ではこれから工場占領作戦を行う!」
子爵様の言葉に兵士達が敬礼ポーズをして、孤児院になだれ込んだ。
子供達の悲鳴が鳴り響く。
地上部がぐちゃぐちゃしている間に、僕と妹、エイミーさんはそのまま隠された入り口に向かう。
「おいおい、いくら領主とはいえ、勝手にしていいのかよ」
少し強面の男が隠れ入口の近くで悪態をつく。
「ホロ様。ここは私が」
「任せました」
エイミーさんは有無を言わせずに攻撃を仕掛ける。
「ちっ!」
男はエイミーさんの猛攻に防戦一方になる。
その間に、僕と妹は隠れ入口を吹き飛ばし、地下に降りていった。
「ちくしょ! てめぇら【デモンシーズン】が怖くないのか!?」
「あらあら、そんなチンピラなど怖くありませんわ」
「くっ、貴族の嬢ちゃんにしては強すぎるな!」
「ええ! こう見えても――――雷神姫ですもの」
「――!?」
直後エイミーは両手に雷を覆わせて、男を一瞬で制圧する。
あまりの速さに全く反応出来ず、男はその場で倒れ込んだ。
「さて……ホロ様の後を追うべきか…………それとも……」
エイミーは不安そうに後ろを見つめた。
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