チートスキル転生召喚士~召喚士はハズレだから冒険者になれないらしいので、一人で最強パーティーを組んで無双します~

御峰。

  【1部】

クインズ町と召喚士

第1話 転生したら死にかけた人でハズレ加護だった件

「冒険者になりたいです」


「は? お前は『召喚士の加護』を持っているんだよな?」


「そうですよ?」


「…………無理だ。お前みたいな『召喚士』など、どのパーティーにも入れない。だからうちの冒険者ギルドにはお前みたいな無能・・はいらん」


「そ、そんな…………本当に?」


「いらないったらいらない! 出ていけ!」


 ギルドマスターのヅラのおっちゃんにお尻を蹴られ、僕は外に出される。


 はぁ…………。


 まさか、異世界に転生してまでこういう風に、人に必要とされないとは…………。



 僕の名前はホロ。


 実は木口きぐちてつ


 何故、実はこういう名前かと言うと、僕は元々異世界人だ。


 異世界人ってどういう事? と思うかも知れないけど、前世とかと違う感覚なんだけど、僕は確かにあの日まで『日本』という国で住んでいた。


 その世界では科学が発達していて、機械を使った娯楽も充満している。


 その中でも、僕はずっと『ゲーム』を楽しんでいた。


 最後に覚えているのは、『パソコン』を親に取られて、ムカついて外に走って出て行ったら、トラックに轢かれる直前までしか覚えていない。


 その後、目が覚めたらこの世界で、僕はホロくんになっていた。


 このホロくん。


 凄まじく気が弱い。


 気が弱すぎて、友人も出来ず、人に使われっぱなしだ。


 この世界では、十五歳になった時に得られる『加護』というモノがあり、教会で神官様から啓示を受けなくちゃいけないのだが、その啓示でホロくんは『召喚士の加護』を貰えた。


 『召喚士の加護』は、この国ではハズレ中のハズレとして扱われているので、ホロくんが『召喚士の加護』を得た瞬間から、更なるイジメが始まった。


 だって、もしホロくんが『剣聖の加護』とか『賢者の加護』とは開花したら大変だから、そういう事は『加護』が判別してからしないと痛いしっぺ返しを喰らうのだ。


 話を戻して、ホロくんと僕はどうしてこうなったかと言うと、単純にイジメが加速した。それはもう物凄く。


 それでボロボロになったホロくんが、大怪我を負って、そのまま死ぬ間際に、何故か神様と思われる方から、「君はこれから死ぬホロくんの代わりに、ホロくんとなり異世界で生きてくれ」と言われた。


 何故?


 と聞きたかったけど、神様と思われる方は一方通行で「じゃあね~」と一言だけ残して、目が覚めたら死にかけたホロくんだった。


 上記の説明で気づいたと思うけど、既にホロくんは亡くなっていて、彼の魂は違う平和な世界に転生していると、神様から何気なく言われたので一安心だ。


 さて、僕がホロくんの代わりに異世界ライフをするきっかけとなった理由…………それは。




 ◇




「お帰り~! お兄ちゃん!」


「ただいま、エリー」


 彼女はホロくんの唯一の肉親であるエリーちゃん。


 今は僕の妹なんだけど…………僕がここにいられる理由は彼女にあるのだ。


「お兄ちゃん、あれから身体はどう?」


「全く問題ないかな?」


「それは良かった」


 エリーちゃんは、一目で分かるほどに美人で、美しい銀色の髪と綺麗な金色の瞳、整った顔をしている。


 ホロくんもエリーちゃんに似てて可愛らしい顔をしているが、それの所為もあって弱い男と言われ続けて来たのだ。


「あ、それと冒険者ギルドから追い出されてしまったよ」


「やっぱり…………ねえ、お兄ちゃん?」


「ん?」


「どうして冒険者になりたいの?」


 エリーちゃんの質問に本当の理由は答えられない。けれど、言える範囲で答える。


「――――夢だからさ」


 そう。


 これはの夢ではなく、ホロくんの夢だった。


 冒険者だった両親を早めに亡くしている兄妹でもある為、妹は冒険者を毛嫌いする。


 でもホロくんはずっと両親を追いかけたいと願っていた。


「夢……でもそれでっ!」


「エリー」


「…………」


「ごめん。でも追いかけたいんだ」


「…………お兄ちゃんはずるいよ……冒険者の事になると、エリーの言う事を聞いてくれないんだもの……」


 僕はエリーの頭を優しく撫でる。


 ホロくんの無念は、僕が絶対に成し遂げて見せる!




 ◇




 ――――と思っていた時が僕にもありました。


 まず一つ。


 冒険者ギルドに入れないので、そもそも冒険者になれません!


 …………。


 でも向こうの記憶から冒険者って、別に認定されなくてもいいんじゃねぇ?


 色んなゲームをやってても、一つの町でずっと冒険者するのは、モブのやる事だしな~。


 それに僕は『召喚士の加護』を持っている。


 つまり、召喚獣を召喚出来るはずだ。


 これなら――――――いっそのこと、一人でパーティー組んだらいいんじゃねぇ?




 ではまず召喚獣を召喚してみよう。


「召喚魔法!」


 ……。


 ……。


 ……。


 なんで召喚魔法発動しないの!?


「お兄ちゃん」


「ん!? エリー!?」


「スキルってそう使うんじゃないのよ?」


「えっ? そうなの?」


「うん。こうやって~ああやって~」


 エリーが色々手取り足取り説明してくれる。


 スキルを使う時は、心の中に『画面』を想像して、その中からスキルを選択するイメージだった。



 ――――――――――――――――


 【名前】 ホロ


 【年齢】 15歳


 【加護】 召喚士


 【レベル】 1/100


 【身体能力】 E


 【魔法能力】 C


 【エクストラスキル】 召喚士の心


 【加護スキル】 召喚獣強化


 【スキル】 下級獣召喚

       下級精霊召喚


 ――――――――――――――――



 おお~ゲームっぽい雰囲気のウィンドウが頭の中に映った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る