消滅した町 §14 野営地にて
「…という経緯です。おそらくエレンディエルとノリリンタとがあったのと同じ人物と判断していいと思います」
サラっちの報告が終わったの。
「ふむ、やはりケローニン族か。朗報じゃのう」
ドトンタお爺ちゃん。
「ケローニンよ!きっとウリューンまで案内してくれる!」
お嬢はテンションが高いのねー。嬉しいのが伝わってくるのよー。
「でも不思議なのよー」
「何がじゃね?」
「ケローニンにしてもトケークンにしても何処に住んでるのよー。幻術感知には引っ掛からなかったわよー」
「そうじゃのう…」
「もしかしたら条件付きポータルがあるのかも?」
エルザの説はありそうね。確証はないけれど、可能性はあると思うわ。
「とても遠くに町ごと
「それは儂も考えてはおったが…」
「マナ量ですよね」
サラっちの指摘。ごもっとも。
そこに思い至っても、限りある魔法力を考えると、可能性を低く見積もってしまうのー。
空中も地下世界も幻術も可能性が低いとなると、あとはそれぐらいしか思いつかないのー。
「おーーーーい!手掛かり見つけたぞー!!」
ジョナサンの声ねー。戻ってきたのねー。
「なんじゃ?」お爺ちゃんよ。
「手掛かり見つけたんだって」ジョナサンよ。
「ケローニンのケロキチか?」サラっちよ。
「え?なんで知ってるの…ですだよ?」戸惑ってるわー。
「あなたで4人目なのよー」
「えええ??!」
きちんとジョナサンの報告も聞いたわよー。
この後、マリさんからも報告があって、全部で5件になったわー。
エルフ、ドワーフ、ノーム、ヒト族、それに
***************************
ケロキチ
種族:ケローニン族/カワズビト
クラス:剣才/忍者
属性:秩序にして善良
武者修行の名目で五族連合を訪れた。
トケークン族の集落に侠客として逗留しているぞ!
気パワーの使い手でもある。
***************************
日が暮れたわー。
野営地でみんなでお食事よー。
お嬢は落ち着いてきたみたいだけれど、少し心配ね。
野営地の外れで
「お嬢、何してるの?ひとり?」
「ノリちゃん…お父さんの事考えてた」
「昔の事思い出してたの?」
「そうなの!冬至のルミネ祭。お父さんとお母さんと一緒だったの。綺麗だったよ!こんな風に!」
お嬢が呪文を編んでるわ。幻術ね。とても嬉しそう。
幻術のイルミネーションが踊り、辺りを照らす。
幻想的なのよー。
でも、そう思ったのは束の間だったわー。
この後大変な事になったのよー。
一斉に
いつもなら楽しげに
「やだ!助けて!」
もちろんすぐに助けに入ったわ。
張り付いた
すり抜けるの!この子たち、触れないのよ!
でも、お嬢には張り付いてる!
お嬢も振り解こうとしてるけど、お嬢も触れてないの!
大変なの!大声で助けを呼んだわ!
「敵襲よー!!!!特異タイプ!!!すぐに来て!!!!」
調理場にいたサラっちとパブロ、それにクラリスちゃんが駆けつけてくれたわ。
「この子たち触れないの!お嬢も気を失ったわ!どうしよう!」
「幽界ギモーヴ!厄介な奴らだ!」サラっちよ。
「対処法は?」パブロ。
「幽界の境目…あちら側へ行く必要があります」クラリスちゃん。
「その通りです。しかし行く方法が…」サラっちの焦燥感。わかるわ。このままだとお嬢が…
「ありますわ。
クラリスちゃん。
驚く一同。あちしも驚いたわよ。
直ぐにクラリスちゃんが詠唱を始めたわ。少し不思議ね。
魔力に気付いて、灰色のギモーヴ達が寄ってくるわ。
おかげでお嬢からは離れてくれたけど、今度はクラリスちゃんが、狙われてるわ。
サラっちが何かしたみたい。クラリスちゃんに向かっていたギモーヴが一斉にサラっちに群がってるわ。大丈夫かしら?平気そうな顔つきだけれど。
編み上がった空間操作術の術式で、
「行きましょう!」
「「おう!」」
「あちしも行くわよー」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます