冒険者ギルドの受付さん(ドラフト版)(その5)
ん?なに?
始まってるって?何が?忙しいんだけど?
依頼人待ってるし。
自己紹介?
あー、いいって、そういうの気にしないから。
ドラフト版のうちに、いろいろ試しておきたい?
ちょっと意味わかんないんだが?
急がないと、また尺無くなっちゃうよ?
んー。じゃあ。
オレノナハ、サラディオール…
ビンボウキゾクノ…
棒読みやめろって?
仕方がないなぁ。
俺の名は、サラディオール・ウェルファラジオール
貧乏貴族の三男坊で、
『荒野の羊飼い団』に属するレンジャーだ。
以下略。
もう良いだろう。
さくさく、行こうぜ。
「あらあらあら、
ちょっとあなた、サラディオール君じゃないの。
お久しぶりねぇ」
「その様ですね、奥さま」
「サラディオール様、お久しぶりでございます」
冒険者ギルド近くの大広場で、怪しい電波を受信していると、聞き覚えのある声が呼び止めた。
広場に面したオープン・カフェ。
品の良さそうなご婦人。
真面目そうな黒髪のメイド。
白髪のいかにも優秀で誠実そうな執事。
「おや、チャントスルノーラ夫人。奇遇ですね。
いつこちらへ?」
「まあまあ、こちらへいらっしゃいな。
少し、お話しましょうよ」
「はあ、まあ。少しだけなら」
布に包んだ
そして、3ターン後…
チャントスルノーラ夫人の話は長かった。
旦那が事業を拡大していること。
販路拡大の為こちらに来ていること。
船旅で
知人の御者さんが体験した話。
エヴァント村で起こった不思議な話。
キリがないな。
「チャントスルノーラ夫人。
お話を遮って申し訳ないのですが、仕事中ですし、
依頼人に報告せねばなりませんので…」
「あらあら、依頼人といえばねえ、
わたくしも依頼人になっちゃったのよー。
覚えてる?猫のミーちゃん。
港で迷子になっちゃったのよー」
止まらない。
「サラディオール君にも、お願いしちゃいましょうか」
「名案でございますが、すでに冒険者ギルドへ依頼を出しておりますゆえ…」
と、執事のヨーゼフ・パストール氏。
ナイス・フォロー。
「ええ、ダブル・ブッキングになりますので…」
すかさず言葉を挟む。
「あらそうなの?いろいろと面倒なのねえ」
「荘園の管理や税の手続きと同じなんですよ」
やんわりと説得。
サイコロの目がファンブルった。
「それじゃあ、ギルドへ行って手続きしちゃいましょう!」
ん?ええ?
「さいでございますか…そうしますと」
「ヨーゼフさんは、わたくしと一緒に冒険者ギルドへ、
ツンデリアさんは、サラディオール君を港まで案内してあげてね」
「「かしこまりました」」
「あの、ミケの匂いのついた何かがあると助かるんですが…」
「それならご安心を。
こちらにミケさんの入っていた猫籠がございます」
と、メイドのツンデリアさん。
「それじゃあ、よろしくね!」
おあいそを済ませ、冒険者ギルドへ向かう夫人。
深々と頭を下げるヨーゼフさん。
「わたくしどもも、まいりましょう。サラディオール様」
「あ、うん」
全く、トホホだぜ。
***************************
「ソフィアちゃん、ホントにごめんね。
サラディオール君にも、お願いしちゃったのよー。
大丈夫かしら」
「懸賞金案件に当たりますので、問題ないかと…」
「あら、そうなの!?よかったわぁ」
え?わたし、出番これだけですか?
トホホですね!
次回は、ドボン落ち?それとも回避?
お楽しみにね!
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