消滅した町 §5 大都市にて

 よう!俺だよ俺!

 小人族なんとかリングのスカウト、

 ジョナサン・ティンカーフッドだぜ!

 ヒト族の都市マルサルドール市を拠点に冒険者稼業に勤しんでる。


「それでお前は何でついて来てるの?」


 このヒト族の兄さんは、サラディオール・なんとかかんとかって長い名前の御仁だ。凄腕のレンジャーだぞ。


「何でだよう!一緒に猫探しした仲じゃないか!俺にも一枚噛ませてくれよ!」


 サラディオールの兄さんたちが、金払いの良さげな依頼人と共に、都市遺跡の調査に出向くと聞いた。

 ベテランの冒険者チーム『暁の雷鳴』も参加するらしい。


「依頼人次第だな」


「やったぜ!」


***************************


「ねえねえ、この子はだあれ?」

 エレンディエルは不思議がっていた。


「勝手について来た知り合いだ」

 とサラディオール。

 え?ちゃんと紹介してくれよ。


「ジョナサン・ティンカーフッドです。冒険者稼業ではスカウトをやっていますので、どうか私めも一行に加えてもらえないでしょうか?」


「うん、サラディエル君の知り合いなら、いいわよー」


 お!やった!


「ありがとうございます」


「じゃあお主はこっち側チームじゃな」

 とドトンタの爺ちゃん。


「よろしくお願いします!」


「こっち側チームで本当にいいのか?」

 とサラディオールの兄さん。


 そんなに嫌がるなよ。『暁の雷鳴』も強いが、こっちは更に強そうじゃないか。少しでも生存率高い方について来たいんだ。分かってくれよ。


「もちろんだぜ!」


「無報酬のボランティアチームに入るとはなかなか奇特な御仁じゃ!気に入ったぞ!」

 とウォルフガング。

 え?ちょっと待って?無報酬?ボランティア?


「ちょ…まっ…」


「我々、『荒野の羊飼い』は、基本、無報酬で動く。依頼であれば、また別なのじゃがな」

 とウォルフガング。


「勿論、必要な物資は供給する。宝物を得た場合も、定石通り分配するが、今回の目的は宝物では無い」

 とドトンタ翁。


「まあそういうことだ。よろしくな」

 とサラディオール。


 言葉足らなくね?兄さんよう。

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