消滅した町 §3 蟻塚にて
オーガ、オーガ、オーガ、オーガ、オーガ、オーガ、オーガ、オーガ、オーガ、オーガ、トロル、オーガ、オーガ、オーガ、オーガ、オーガ、オーガ、オーガ、オーガ、オーガ、オーガ、トロル。
「キリが無いな」
サラディオール・ウェルファラジオールはうんざりしていた。
ただひたすら斬る。斬る。斬る。
「うはははは!サラディオールもうバテたのか!?」
「だらしないぞ!
赤髪の
そして甲冑に身を包んだ男が、ガラハド・ブルグンド卿。
この2人が今回の連れだ。
「10体目!お前らは?」
「「6体だ…」」
「ペース配分を考えろ。休むのも戦術だ」
通称『
マルサルドール市に程近いこの蟻塚は、探索し尽くされ、ダンジョンとしては、もう何年も前に終わっていた。
地元では、解体、観光地化、放置、再利用などいろんな案が喧伝され始めた矢先の事だった。
濁ったマナと濃ゆく乱れたエーテルの影響で地形と空間が歪み、秘境〜すなわち、より危険な類いのダンジョンとして蘇った。
「して今回の戦術、何か提案があるのか?」
とブルグンド卿。
そう来たか。
「…休んだら、進む。見つけたら、斬る」
「うはははは!」
「悪くない戦術だ」
「それと重要なのは、秘境化の原因となった何か突き止める事」
「ぉぅ」
「さすれば外に待機している司祭たちの出番となるや」
「その通り」
『
しかし、強力な奇跡は授かっている。
儀式によって、マナを浄化し、エーテルの奔流を安定化させる事が可能だ。
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最深部。かつて白蟻の女王が鎮座した空間。
そこには、古綺麗な出立ちの人々が居座っていた。
その数3名。
冷酷な美しさを醸し出す一番長身の女が、恐らく首魁だろうか。
「なんだあ?ニンゲンかあ?」
とオグムンド。
いかにも怪しい3人は聞き慣れぬ言葉でひそひそと言葉を交わし、そして怒りを露わにする。
地を揺らす様な呻き声と共に彼らは正体を表した。
「オーガメイジか」
「うははは!やりあおうぜ!」
オグムンドはそう叫ぶと、いち早く女オーガに襲いかかる。
左右の男が守りに入るが、サラディオールとブルグンド卿がそれぞれ引き受ける。
わずか3ラウンドで勝敗は決した。
ともがらの男たちは地に臥し、残すは首魁と思しき女のみ。
地を揺らす様な叫び。
その刹那、女オーガの姿が霞の様にぼやけ、霧状に
逃げられてしまった。
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あらかた討伐を終えて地表に戻った頃には、夕暮れ時だった。
ひたすら数が多いだけだったが、それでも駆け出しには脅威だったろう。
「楽勝だったな!」
「親玉には逃げられたがな」
「全くである!」
「皆さん、お疲れ様でございます」
司祭たちから治療を受ける。
修道士の1人がサラディオールに伝言を伝える。
「ウェルファラジオール卿。王都からお客様がお見えです」
「どなたでしょうか?」
「儂じゃよ」
「お久しぶりねー。サラディエル君」
顔見知りのノームの老人と上エルフの女性。
同じ『荒野の羊飼い』団に属するドトンタ翁とエレンディエルだった。
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