冒険者ギルドの受付さん(ドラフト版)(その3)

「じゃ、じゃあ、猫探しとか犬探しでもいいです!」


「お願いします!」


「は?」


 笑顔のわたし。

 声は笑ってません。

 ドスの効いた「は?」ですよ。


 心無しか、二人が怯えてる様に見えるのは気のせいでしょう。


 どこでそんな知識つけてくるんでしょうね。


 ある訳ないじゃないですか!


 猫や犬を探す依頼なんて。

 冒険者ギルドで扱う様な案件じゃあないんです。

 (ウチでは)


 もしあっても、探してから退治しちゃう依頼です。

 ライオンとか、サーベルタイガーとか、ダイアウルフとか。


 あるいは、探してから捕まえる依頼です。

 羽の生えた猫とか、人の顔の犬とか。


 万が一、飼い犬・飼い猫探しの依頼あるとします。

 どこぞの奇特なお金持ちが依頼を捻じ込むとかですね。

 その場合、ベテランさんが犠牲になるオチしか予想出来ません。

 コメディーですし。


 え?そんなこと言って次回やるつもりだろう、ですって?


 そんなこと、わたしに分かる訳ないじゃないですか。

 ただの受付さんなんですから!


「駆け出しさんでも引き受け可能な依頼といえば…

これなんてどうでしょう?」


「あるんですか!?」

「やったね!」


「隊商の護衛。主街道外れるルートだと、たまに依頼が来るんですよ」


「それでお願いします」


「あ」


 しまった。


「どうかしたの?お姉さん」


「…これ、行き先が、エヴァント村ですねぇ……」


「ぬぉおおおっ!!」

「やぁあもう!」


「隊商の護衛で、故郷に凱旋…とは、いきませんよね?」


 悲哀に満ちた空気感ですねー。


 どうしましょう。

 あとはこれしか。


「もう一つありますけど…」


「まだ、あるんですか!?」

「もうそれでいいです!何でもします!」


 女の子が、軽々しく何でもするなんて言っちゃいけませんよー。


「………下水道の大ネズミ退治です」


「へ」

「ひぃっ」


「一匹あたりクロン銀貨1枚。手数料と税が2割ほど引かれますので、手取りはもう少しさがります」


 しばしの間。

 微妙な空気。

 微笑むわたし。


「もう、それでいいです」

「お願いします」


「それでは、詳しい説明を。市の担当者が見聞の為に同行することになりますので…」


以下略。


………


無事、お仕事決まって良かったですね!新人さん!


次回、あるの?ないの?別の話?


よろしくね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る