万能者
大広間に到着すると、よくアニメとかで貴族が食事の時に使う長い机が置いてあった。初めて見たけど思ったよりも凄くてちょっとばかし感動した。
そこに、30人分ぐらいのナイフとフォークと豪華な料理が盛り付けられてた。いや、普通に美味しそう。つか、凄い漫画肉置いてあった。流石異世界だな。
まあただ、悲しいことに既に10人ほどが座って喋っており、ラノベ好きで本が友達みたいな少々ぼっち気味の俺はその輪の中に入ることが出来るほど心が強くないので気付かれないようにそっと席の端っこに座った。
それから15分ほど目を閉じて今後の展開について考えながら待つと王様と姫様が現れた。
ほんで、王様は皆の前に立つと偉そうに言った。
「それでは、勇者よ。今日は勇者の為に豪華な料理を用意した。存分堪能するが良い」
何か腹立つ言い方やったけど、王様のその言葉をかわきりに、皆が料理にがっついた。まあ、あれだけ美味しそうな料理を目の前に置かれて我慢しろと結構酷いことされてたからな。
かくいう俺も豪華な料理に待ちきれなかったのでがっつく、料理はめっちゃ美味しかったです。まじで、今まで食ったものの中で一番おいしいかもしれない。流石異世界の料理だな。
一応言うけど、皆は喋ったりして食べてたけど、クラスメートとあまり仲良くない。言い方変えれば、ぼっちの俺は1人で食べた。まあ別に一人でいることには慣れているのでそこまで辛くはなかった。
後、イトにお前も食うかと聞いたら、私はご飯を食べません。強いて言うならご主人様の、MPがご飯です。
と、言われたのでMPを200ほど与えといた。
そうやってご飯を食べている途中だった、姫様が立ち上がり裏ありそうな笑みでこう切り出した。
「勇者様、わが国の為、魔王討伐を請け負って下さり誠にありがとうございます。つきましては、その、報酬として私共からプレゼントがあります」
姫様がそう言うとメイドさんがワゴンに豪華な指輪を大量に乗っけて俺達の前に現れた。
俺は早速その指輪に鑑定をかける。
探知の指輪
この指輪を嵌めている場合、嵌めている者の位置情報が登録した者に送られる。
・・・・・・・
え?思ったのと違う鑑定結果が出た、てっきり洗脳の指輪とか強制の指輪とか、そういうのが出ると思ってたのに、いや、待てよ、もしかして俺の鑑定レベルが低いから見えてないとか?取り敢えず、ひたすらに鑑定してみるか。
俺はそう結論を出すとひたすら指輪を鑑定していく。そうやって鑑定している途中に姫様が話始める。もちろん、話は聞きながら鑑定を続ける。
「勇者様この指輪がプレゼントです。この指輪は付けているだけで、勇者様の身に危険が迫った時にすぐに私共が駆け付けれるようになっています。それと、この国でこの指輪をしていれば勇者様であると認識され最上級の対応をしてもらうことが可能です。絶対に指に嵌めておいてください」
あれだな、言ってることはまともだけど、わざわざ、最後に絶対に指に嵌めておいてくださいって言ってるのが凄く気になるな。少しずつだが鑑定のスキルレベルは上がってるし、何かわかりそうやな。
そっから、皆に指輪が配られた。俺は取り敢えず、嵌めるふりして、指輪をアイテムボックスに仕舞った後、速攻で創造魔法を成長補正を使って覚えて、かなり魔力を食ったが似せた指輪を作って嵌めた。
「では、勇者様食事をお楽しみください」
姫様は全員が指輪を嵌めたのを確認して王様と一緒に去ってった。
そっから、まあ、楽しい楽しいご飯タイムが再開する。何だかんだで一人で黙々と美味しいご飯を食べ進める。ほんで、ある程度食べ終わったら。アイテムボックスから探知の指輪(仮)を取り出して鑑定作業を再開していく。
30分後
鑑定レベルが7まで上がった、そんで鑑定して出た本当の指輪の効果がこれだ。
監視の指輪・改
監視の指輪に優秀な魔導士が付与魔法を施して強化された指輪。
効果
この指輪を嵌めている者の場所を常に監視することが出来る。
この指輪をはめている者は人を疑いにくくなる。
この指輪をはめている者は人の言葉を信じやすくなる。
なるほどね、直接的な洗脳とかではなく、その補助をする指輪か。うん、なるほど、よく考えられているな。これなら、状態異常ではないから、スキルの効果で無効化もされにくいし、この国と敵対している鑑定能力の高い人に見られても何とかなる。うん、上手いな。
そう一人で納得していたら。
皆がご飯を食べ終わっていたため、メイド長と名乗る人が来て、メイドさん&執事とともにクラスメート全員ザ、神殿のような所に連れられました。
そこに副騎士長と副魔導長と名乗る人が現れて。ここで、ジョブを決める儀式に入ると言われた。
そして、ジョブ水晶の前に並ばされて1人ずつジョブを決めさせられてった。
ある者は、勇者のジョブ、ある者は賢者のジョブ、また、ある者は聖騎士などなど、皆が皆格好良くて強そうなジョブを手に入れていく。うん、思った以上に皆凄そうなジョブ貰ってんな。凄いな。
そして、遂に俺の番が回ってきた。
さて、俺はどんなジョブをてに入れられるかなというワクワク感と俺のこの力がバレないようにしようという緊張感に怯えながらそっと水晶玉に手を触れる、その瞬間。
身体に万能感が宿り、力が溢れて来た。
ジョブ万能者を手に入れました。
万能者か強そうだな。どんなジョブなのかはおいおい確認していくとして。
取り敢えず、誰かに鑑定される前にジョブから成長補正スキルとユニークスキル人工魔石生産を隠蔽してと。よし、終わった。これで多分大丈夫やろ。
俺は満足した気持ちで、列から抜けようとしたら。
副魔導士と名乗っていた人が。
「すまんが、ジョブ決めが終わった後少し残ってくれないか」
と言ってきた。
まさか、バレた、ヤバいヤバいヤバい、いや、本当にバレたのか?ただ純粋に何か用事があるだけじゃ、いや、それは考えにくいそうなると、多分俺がステータスを偽造しているのにバレてるのか?
確かに、俺は今スキルを隠蔽した、もし、副魔導士がジョブ鑑定前から俺の事を鑑定していたら。
・・・・・・・
有り得るな、その可能性、そうなると、俺は故意にスキルを隠した。やましい人ということになる。クソったれ、それは不味いな。
しかし、どうする、逃げ出すか。いやそれともこのまま戦うか、クソったれ、どうすればいい。よし、決めた逃げよう。ここで戦うのは得策ではないし、どうせ逃げるつもりでいたんだ、ここで逃げても大丈夫だろ。
「どうしたのかね、勇者殿よ、残ってくれるのかくれないのか早く返事をしたまえ」
「はい、分かりました。でも、その前にトイレに行かせていただいてもよろしいですか」
この言い訳ならば、確実にトイレに逃げ込める。そして、そのまま城から逃げる。
「生活魔法・体調管理、これで、トイレは大丈夫なはずじゃよ」
クソったれ、やられた、どうする考えろ。クソ無理だ。思いつかない。時間が足りない。スキルが足りない。レベルが足りない。この最悪な状況をどうすれば打破できる。
・・・・・・・無理だ。やっぱり思いつかない。
「あ、ありがとうございます」
俺はただそう言う事しかできなかった。
そして、この状況を打破するため必死に考えたが思いつかず3分立った。その間にクラスメートは全員ジョブ鑑定が終わり、この神殿から出ていっていた。そしてふと、思った。別にこの魔導士の事を無視して逃げればよくないって。
そうだ、逃げれば良いんだ。何で馬鹿正直に俺は待っていたんだ。普通に逃げれば良いだろ。俺にはイトのおかげでこの国の不正書類を持っているんだし、この城に残っているメリットなんて一ミリもない。
よし、そうと決まったら逃げ出そう。
俺はそう結論を出して逃げ出そうとした時だった。
ぐサ
いきなり、メイドさんの胸から刀が生え、大量の血が噴き出た。
そして、そのままゆっくりと床に倒れる。
「あ~あ、あっけなく死んじゃった、妹はもっと抵抗したのに」
血塗られた刀を持ち不適に笑う副騎士長。
「さ~て、次は君だよ、勇者様、君はどれだけ抵抗出来るかな」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今、何があったメイドさんが死んだ。
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その時、身体に頭に駆けた感情は両親を殺されてような怒り、殺意、いや、それよりも上、自分の身を切り刻まれて殺されたような痛み、それに対して復讐しようという恐ろしいまでの怒り、殺意、憎悪、たかが1日しか会っていない喋っていない、メイドさんを俺はここまで愛していたのか。俺はここまで大切にしていたのか。自分のその感情の違和感を少しだけ抱きつつも。俺の中にある怒りと殺意と憎悪は変わらない。むしろ増えていく。増えてく。増えてく。増えてく。そして肥大化し、大きく大きくなり。
弾けた。
そして、俺は叫んだ。
「クソが~~~~~~~~~~~~」
叫んだ、メイドさんを守れなかった弱い自分に叫んだ。
「クソが~~~~~~~~~~~~」
いつの間にか、血の涙を流しながら俺は目の前にいるクズを必ず殺すと誓った。計画なんて知らない、自分の安全なんて知らない。この命が消えてなくなっても。俺は必ずメイドさんの敵を取る。
「クズが、俺はお前を殺す」
「やってみろ、勇者様」
エクストラスキル【復讐鬼】を強制的に獲得されました。
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