そして俺は正当なる神へと至る

「勝った。勝ったぞ。俺は勝ったんだ。俺はあの神である。クソロットイ、いや時空神・ロットイに勝ったんだ。でももう駄目だ。流石に限界だ身体が動かないや。酷使し過ぎた。少し身体を休めよう」


 俺はそう言って更地に寝転がる。


「いや。本当に強かった。もう二度と戦いたくないな。でも取り敢えずは本当に勝てて良かった」

 俺は一人しみじみとそう言った時だった。


 目の前に奴はいた。


 俺が確実に殺した。いや、神殺しの力を使い、脳を破壊し心臓を破壊し、心臓辺りから胴体を真っ二つに引き裂いたはずの奴が何の傷も無しに俺の目の前にいた。


「何故、生きている」

 俺は絞り出すように声を出した。


 あれだけ苦労して、ようやくの殺したはずの相手が無傷で生きていたんだ当たり前の反応だと思う。


「いや。何、ネタバレしちゃうとね俺が死んだら自動でこの世界の時を戦い前の状態まで戻すように設定しておいたんだよね。いや、良かった。良かった。まさか殺されるとは思ってなかったけど。備えはしておくものだね」


「は?何じゃそりゃ?ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな。俺は勝っただろ。それでいいだろ。なのになのになのに。そんなチート見たいなのがあるのか」

 俺は発狂した。


 何故なら俺が勝てたのは運が良かったからだ。最初クソロットイが俺に舐めプをしてくれたおかげで俺は神耐性・極を獲得出来た。

 クソロットイが勝負を決めにかかった時に、俺が獲得してくれたユニークスキル【七転び八起き】のおかげで蘇生ができたから勝てたんだ。


 それが全てなくなった。


 もう。クソロットイは舐めプなんてせずに最初っから殺しにかかるだろう。俺がユニークスキル【七転び八起き】を獲得する前に殺すだろう。


 つまり俺は死んだということだ。


「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

 俺は笑った。

 今のこの絶望的な状況に大声で笑った。

 もう俺に打てる手は見つからなかった。

 俺は莫大な成長補正を持っている。器用貧乏のおかげで全てのスキルを習得できる。

 でもな無理だろうこれは。どうすればいいんだ。前の戦いで俺が神耐性・極を覚えるのにはかなり時間がかかるのは証明されている。その前に時空間を止められて殺さられる。


「さあ。やるなら。早くやれよ。今の俺にはもう打つ手がない。俺の負けだよ」


「もう諦めるのですか、最初私と戦った時はかなり諦めが悪かったのを覚えていますがね」


「いや。あの時は希望があったからな。でも今回は流石に無理過ぎる。俺の命がかかってるのは分かってるが。この状況から勝てると思うほど俺は馬鹿ではないよ。本当にクソッタれだ」


「ハハハハハ、そうですか。では一思いにやってあげましょう。神の権能発動・時空間操作・時止め」

 クソロットイがそう言った瞬間世界が停止した。


 ――――――――――

 そして俺は死を覚悟した。

 ――――――――――


 しかし。死は訪れなかった。というよりも俺は動けた。なんならクソロットイの方が止まっていた。


「どういうことだ。これは?」

「あ、どうも、どうも。どもどもどもどもど~~~。皆大好き。遊戯神だよ」

 俺の目の前で遊戯神様が浮遊しながら笑っていた。


「どうも。遊戯神様。あのう?これはどういうことでしょうか?」


「ん?あ~ね。タイト君さあ、上級時空神ロットイをたった一人で殺したじゃん。それなのに何の報酬も渡さないのはおかしいなって思ってさ」


「は?はい。つまり報酬をくれるという事ですか?それも今の状況をどうにか出来る系統の?」


「そう。流石察しが良いね。タイト君。その通りだよ。というわけで上げる報酬は正当な神へと至らすことだよ」


 ・・・・・・・・・


「正当な神?へと至らす???」


「頭の中?マークでいっぱいだと思うし、簡単に説明すると。タイト君は今の何千倍も何万倍も強くなれるという事だよ。というわけでほい、のほいほいホイ」

 遊戯神様が笑いながら。手を振りかざした。


 その瞬間。


 身体の中から力が溢れた。


 ピコン

 絶対神の干渉が起こりました。

 正当なる神へと至らせます。

 これにより。サポート機能であったステータスは消去いたします。

 ・・・・・・・・・・

 ステータスの消去が完了しました。

 今までありがとうございました。


「ステータスが消えた・・・・・・だと」


「そう。消えたよ。でも安心してタイト君はステータスなんてなくても大丈夫だから。僕が定めた君の神としての権能・成長補正と器用貧乏を与えたのだから」


「成長補正と器用貧乏の権能ですか?」


「そう。成長補正と器用貧乏の権能さ。この権能は超絶簡単。タイト君が望めばこの世界にあるほとんど全てのスキルを恐ろしい成長補正で一瞬で獲得できるのさ」

 でもそれって俺の前の状態とそこまで変わらない気がする・・・・・


「おっと。タイト君今までとは全く違うよ。まず獲得出来るスキル。これゴッドスキルとかも超絶簡単に獲得出来るようになってるからね。後はまあ単純に獲得スピードがメチャクチャ上がっているよ。まあ。そな辺は実際に戦ってみれば分かるよ。さあ。丁度今目の前に時空神・ロットイがいるね。さあ。僕を楽しましてくれよ。タイト君」


 ――――――――――


 そうして目の前にいたクソロットイが動き出した。

 俺はそれが急にゆっくり感じられた。


 クソロットイがいつもの様に時を止めようとした、一瞬。そうほんの一瞬だけ止まった感じがしたがすぐに動けるようになった。


「まさか、俺は今の間に成長したのか。ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。最強じゃないか。さあかかってこいクソロットイ」


「何をふざけたことを抜かしいるんだ。死ね。時空間切断」


「じゃあ俺も時空間切断」

 俺は今の一瞬での能力を覚え使用した。


 パリン


 同じ力なので打ち消しあう。


「は?何故お前がそれを使える?」

 驚くクソロットイ。いい顔だ。


「ハハハハハハハハハ、いや、何今の一瞬で覚えたそれだけさ、さてと死ぬ覚悟は出ているか、クソロットイ・鎖魔法・神縛拘束」

 俺は今の一瞬で神を縛る鎖をイメージして作り出し、クソロットイを拘束させた。


「は?何故私が拘束されている?何故それをお前が使える?」

 俺は驚いているクソロットイの顔面に一発パンチを入れる。

 もちろん神殺の力のこもったパンチだ。メチャクチャ痛い奴だ。


「痛い。あ、歯が抜けただと、私は神だぞ。それなのにパンチ一発でこんなダメージ有り得ない」

 困惑しているクソロットイにもう一発パンチを入れる。

 そんでもってキックを入れる。

 パンチを入れる。パンチを入れる。パンチを入れる。キックを入れる。


 段々と楽しくなってきた。

 あれだけ強く俺を馬鹿にし、陥れたクソロットイをこうサンドバッグにしてるんだ。楽しくないはずがなかった。


「痛い。痛い。痛い。痛い。何故だ何故だ何故だ何故だ。何故お前はそんなに強くなっている?何をした?何があった?」


 グチャ


 喋っている途中に顔面にパンチを入れたんで舌を噛み、そのまま舌が千切れる。

 それを見てもお構いなしに殴る蹴る。

 そうして暫くクソロットイをサンドバックにしていたら急に飽きてきた。というよりも殺そうと思ってきた。


 何故なら今こうして舐めプのような物をしていて、俺みたいに急成長、もしくは上位者からの介入があれば俺が詰むからだ。


 だから殺すことにした。

 素早く、確実に殺すことを決めた。


 俺は生長剣と進化剣をしっかりと手に持ちクソロットイの脳天と心臓を貫き切り裂き抉った。

 もちろん魔力と神殺の力をたっぷり込めてだ。


 ・・・・・・・・・・・・・


 そしてあっけなくとても簡単にクソロットイは死んだ。

 確実に100%死んだ。


 ―――――――――――――

 かなり今更な補足説明


 イトについて。

 一番最初の方でイトが神の力の欠片を持ってる的な事を言いましたが、あれはペットの死骸です。

 ようは、レイラのお爺ちゃんである元スキル神・カイスが自分の娘の為に護衛として渡していたペットの死骸です。

 ペットはまあ犬のような姿をしていますが国一つ滅ぼせるレベルの化け物でした。

 だけど、時空神・ロットイもといクソロットイが愛するペットを殺されて絶望する顔を見たいという理由で殺しました。

 二人とも嘆き悲しみ、アイテムボックスに仕舞いました。


 ほんでそっか何年も立ち、メイドさんとなったお姉ちゃんは主人公が骨が欲しいといった時に間違って出してしまいます。

 もちろん間違えて出したので気が付いていません。で、そこで実は骨の中にあった神の力が空気中に漂ってしまします。そんなものが漂ってるのでメチャクチャ凄い魔石が出来。


 イトの方も神の力のこもったペットの骨を使われて作られたので神の力の欠片を持ったという設定です。


 因みにメイドさんの持っているスキルには強制親和というのがあり、強制的に相手に対して親和的にさせるというスキルです。これは害を与えるスキルではいので一部を除きほぼ全ての状態異常耐性を無効化させます。はい。


――――――――――

次回・最終回です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る