上位スキル神カイス
神。それは様々な世界を管理し、見守る者。
そんな神は基本的に不老不死であり、とてつもない力を持つ者ばかりである。だからこそ、暇になった神は時々娯楽がてら下界に降り、下界で暇を潰したりする。
当時上位スキル神カイスもその一人であった。
――――――――――――
「暇だ~~~、世界管理の仕事も終わったし、転生者管理も終わった・・・・・・よしと、下界に降りて暇でも潰すか」
彼、スキル神カイスは真面目だが。ちょっとばかし身勝手で気まぐれなありふれた上位神だった。
そんな彼だったが部下からの信頼も厚く。
最上位神にもそれなりに気に入られていた。そんな彼は仕事が終わり、暇になったため下界に暇を潰すもとい遊びに降りた。その行為自体は特に珍しくもなくほとんどの神がやっていることであった。
しかし、この何気ない行動が、自身の最愛の人と出会う結果になり、失う事となる。その未来を予想出来たのは一部の神だけであった。
―――――――――――――
「ここが下界か。なるほどね思ったよりも発展してるな」
カイスは剣と魔法にステータスがある。とある下界に来ていた。そこで暇つぶしの娯楽の為、冒険者となり、フラフラと旅をしようと思っていたのであった。
というわけでカイスは早速ギルドに向かい、冒険者になろうと受け付けに行った。その時だった。
「か、か、か、可愛い」
一目惚れだった。基本真面目で恋愛欲求が薄い彼は神のお見合いパーティーなどには一切いかず、年齢=彼女いない歴のカイスは一目惚れしたのっだった。
ギルドの受け付けにいた彼女に、そんな彼女の名前はエメラと言った。
種族はエルフらしい彼女の肌は真っ白で髪は銀髪のストレート、身長は155センチ位、胸はやや小ぶりながらも、その綺麗な身体に調和しており、その辺の神なんかよりも、よっぽど美人で神々しかった。
そんな彼女に一目惚れしたカイスの行動は超早かった。
「儂と付き合って下さい」
カイスはつい、そうつい、感情に身を任せ合って付き合って下さい。などと口走ってしまった。
「ごめんなさい、無理です」
あっさり、玉砕した。
ただカイスは、容姿だけ見れば、身長180センチで中肉中背ながらも、筋肉はしっかり付いてて、顔は赤髪イケメンという中々に女受けしそうな感じだった。
だがしかし初めて会った人にいきなり付き合えと言って。付き合う人など、当たり前だがそうそういない、そんなわけで玉砕した後に取り敢えず彼は冒険者登録だけしてその場を去っていった。
だが、カイスは一度振られただけで諦めるような、人いや神ではなかった。その後、カイスは彼女に認めてもらうため、必死に彼女に好かれようと努力した。
冒険者として、様々なクエスト、それも人の役に立つクエストを中心にこなしていき。冒険者ランクを上げて周囲からの評判を良くしていった。又、彼女に近づく不埒な冒険者を片っ端から潰していき。彼女の安全を守ると共に毎日彼女に贈り物をしていった。
そうやって頑張ること1年
「エメルさん、儂と付き合って下さい」
カイスは出会って一年目という事で魔の森の奥にしか咲かない白薔薇という希少な花の束を抱えてに告白しにいった。
「良いですよ、カイスさん」
ようやくオッケーを貰ったカイスが絶叫したのは言うまでもないだろう。
付き合ってから、2年後
カイスとエメラは結婚した。その理由として子供が生まれたからだ。
「おぎゃあ、おぎゃあ」
二人は結婚すると同時に、受付嬢と冒険者を辞めて、辺境の村に引っ越した。
幸いなことに、村の人たちは優しく、二人の事を歓迎してくれた。二人に双子が産まれた時も、何かと家事や育児を手伝ってくれたり、どのようにすればいいかというコツを教えてくれたりと、周りの環境にも恵まれてとても幸せだった。
だがしかし、悲劇が訪れた。それは魔物の襲来であった。魔物程度だったら、神であるカイスならば簡単にひねり殺せたが、魔物の襲来が起きた時不幸な事にカイスは二人の娘と一緒に町で買い物をしていた。そしてカイスが村に戻った時そこは地獄だった。家は破壊され跡形も残ってなく、あれだけ良くしてくれた村人は原型も留めてないぐらい肉片だった、勿論、生き残った人がいるわけはなく、ただただ、残骸と異臭が漂っていた。
「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは」
彼は笑ってしまった。否、笑うしかできなかった、神という絶対的な力があり。愛する者を守れず失ってしまった。喪失感、その気持ちから逃げるように笑ったのだった。
「何故だ、何故儂は村に居なかった。儂が居れば、こんなことには・・・」
一人、そう嘆き呟いた瞬間だった。
「はっはっはっは、笑える笑える、最高に笑える。何故に神がエルフを好きになって結婚して、挙句の果てに子供まで作ってるんだが。ほんでもってそれが死んだ程度で赤子みたいに泣きじゃくって、はっはっはっはっは」
そうカイスを馬鹿にする発言とともにゆったりとしたローブを着た。青年が現れた。
「この声は時空神ロットイ、何でお前が、こんなところに・・・」
カイスは馬鹿にされた事に憤りつつロットイに向かって怒鳴った。
「それはね、この村に、魔物を襲来させたのが、僕だからだよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カイスの感情はどす黒い殺意に支配された。
「死ね」
そう一言。呟くと今出せる。全てのスキルを使い、ステータスを上げ、時空神に殴りかかろうとした。
その瞬間だった。急に鎖が現れてカイスの身体に巻き付いた。
その鎖の名前は神をも束縛する恐ろしき鎖【神捕獲鎖】であった。ロットイは事前に神捕獲鎖を地中に忍ばせておりいつでもカイスを捕えられるようにしていたのであった。
それはまさしく計画的犯行。ロットイは元々カイスを嵌めるつもりでいたのだ。そう判断したカイスはどす黒い殺意に感情を支配されている中二人の娘の事が頭に浮かんだ。
「【ゴッドスキル・輪廻魂操作】発動、儂、妻、村に関する記憶全て消してエルフの村へ転移せよ。さらに【ゴットスキル・眷族創生】発動、ポチ、タマよ。儂に変わってスレラとパメラを守れ」
ピカーーーーーーン
カイスががそう唱えると、二人の子供と飼っていたペットが二匹共光を放つ、そしてエルフの村へと転移した。
「これで、取り敢えずは一安心じゃあ。さあロットイよ。どういうつもりかは知らんが覚悟は出来ているよな」
――――――――――――――――
そして今、ここに魔王を超えし絶望と呼ばれる激しい戦いが始まった。
「周りに巻き込むものは何もなしと。これで儂の本気が出せる」
そう言い放つと同時にカイスは自身の持つ莫大な数のスキルを使い、自身の身体を壊して【神捕獲鎖】から抜け出し、身体を再構築さて戦闘特価型の肉体に変化させる。そうして更にスキルを重ねていき、自身の肉体を強化させていく。こうすることによりカイスは一時的だが神界に行かなくとも全力が出せるようになった。そして、カイスは右の拳に数多のスキルを使い強化に次ぐ強化を重ねてロットイに向かって全力で殴りかかった。
全力を出したカイスが足を踏み出したその瞬間に、グニャという音とともに、周りの空間が歪み、半径10キロメートルが更地に変わった。
「流石、スキル上位神ですね。力を解放しただけで空間が歪むなんて、化け物ですね。ハハハハハハのはっはっはっはっは」
「抜かせ、時空神よ。儂の大切な者を奪った罪。お前の魂で償わせてやる」
そしてカイスの拳はロットイに炸裂はしなかった。ロットイがあらかじめ仕込んでおいた神捕獲鎖によって体を含む拳を強制的に縛られて大きく減速しロットイにカイスの拳が届く前に止まってしまったのだ。
「なるほどね、まだ神捕獲鎖を仕込んでおったか。ならばこれならどうじゃ」
カイスがそう言った瞬間、彼の周りに何千という真っ黒な武器が現れる。
そしてその武器は、音速を超える勢いを持って時空神に襲いかかった。だがしかし時空神に触れたとたん全てピタリと停止して動かなくなった。
「アホなのかな?僕は時空神だよ。この程度のスキルの時間ぐらい簡単に操れるよ」
時空神は、そう言って嘲笑するが。次の瞬間武器が爆発した。
「アホなのはお前だ。お前が時を止めるぐらい簡単に分かる。だから、何かに干渉されると爆発するように細工をしておいた」
そう、言うとともにカイスはロットイに再度攻撃を与えようとした。その時だった。
「上位スキル神カイスよ。他の神に攻撃した罪としてお前を捕らえることとなった、大人しく捕まれ。抵抗は無駄である」
どこからともなく急に現れ、カイスにそう言ったのは最上位神の一柱・裁きの神・ウルティだった。
「何故、ウルティ様がここに・・・」
カイスにとって、ウルティは逆立ちしてでも勝てない圧倒的な力を持つ神であり、仕事も丁寧で部下に慕われている良い神であった。そんな、神がカイスを捕まえてようとしたのだ。
理由はどうあれ逆らうだけ無駄であり、逆らえばこの世界が消滅するかもしれないレベルの恐ろしい、裁きが落ちてくるだろう。そしたら娘の命も消えるだろうしカイスだって殺されてしまうだろう、だからこの時カイスにはウルティ様に逆らうということは出来なかった。
「分かりました。ウルティ様、儂を捕まえてください。だけど、どうかどうか、儂の娘にだけは手を出さないでいただきたい」
そうしてカイスは自身の持てる最大限の誠意として頭を地面にこすりつけるいわゆる土下座というものをして裁きの神・ウルティに頼み込んだ。
「分かりました。その願い聞き入れましょう。では貴方は今から天界裁判にかけられることとなりましたので、暫くの間拘束させて頂きます」
そうウルティが言った瞬間、カイスはウルティの手から生み出された最上級の【神捕獲鎖】で縛りあげられ、神界に一瞬で転移させられた。
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