重いわ~~~~~~~~

「なぜ、儂はこうなってしまった」


 そうカイスは一人呟いた。

 彼の姿は昔の姿とは似ても似つかないほど変貌をしてしまっていた。 

 あれだけ若々しくカッコいい赤髪のイケメンだったのに、真っ黒の老人へと身体は変異してしまっていた。何故そうなってしまったか。理由は簡単だ、彼の周りに散らばる何千という邪神を殺しその血を浴びたせいだった。

 いや、違う、原因はそうではない、全ての原因はそう、全ては、一年前の神裁判・・・いや時空神なんて言えないな、あのクソロットイのせいだ。


 ―――――――――――


 一年前


 上位スキル神のカイスが、上位時空神のロットイに危害を加えたからどう裁きを与えるかという、神裁判が起こった、そこでカイスは「ロットイが儂の妻を殺したから」と必死になって弁明したが、それは事故と判断され、カイスは時空神に危害を加えた罪で、スキル神としての資格剥奪と悪神、一万柱の討伐を言い渡された。


 そしてカイスは悪神を討伐のため悪神界に行かされ、1年間ずーと悪神と戦い、やっとそうやっと、悪神一万を討伐した。しかし、一年も悪神界に居て、悪神の血を浴び続けたカイスは身体が真っ黒に変異し皺が増えて邪神になった、その上、悪神を討伐という名の破壊をしたため、破壊神にもなり、一年間時空神ロットイを怨み続けたため復讐神にもなってしまった、その上邪神は下界に降りてくることが出来なくなるのと、他の神から酷く軽蔑されるという終わりに近い状況であった。


 だからこそ彼は答えを知っているが呟く。


「何故、儂はこうなってしまった」

 と


「儂には、もう何も残ってない、愛する我が子にも会えず、クソロットイに復讐も出来ず、かつての部下は皆裏切り儂を軽蔑した、今の儂にできることはストレス発散に悪神を殺すことぐらいしかないな」


 そう呟きな悩みながらカイスは悪神を殺すこと数十年殺した悪神は、億を超え、最上位神にも届く、いや上回る強さを手に入れた、他の神から【破壊と復讐に囚われし獣】という二つ名まで付けられた哀れなカイスは歓喜していたそれの理由は簡単だった、孫を見つけたのだ。

 下界に対しての干渉を邪神ということで著しく制限をかけられていたカイスであったがそれはあくまで下界に限ってはという話、神界や神が創ったダンジョンなんかには干渉制限は特にかけられていなかったのだ。

 そうして、ふととある神が創ったダンジョンから何故か自分と似た気配を感じて干渉をしてみた。


 そしてカイスは見つけたのだ。孫であるレイラを。


「儂の孫じゃ。パメラの娘じゃ。そうかそうかそうか孫か。儂に孫が出来ていたのか。うおーーーーーーーー。これ程嬉しことがあるか」


 そう、大声で叫ぶと、すぐさま力を強めてダンジョンにより干渉していく。そうしてレイラの姿をより鮮明に認識する。


 ポロポロポロポロ


 泣いていた、もう会えあえないと思ってた、娘の孫に会えたのだから。カイスにとってそれは本当に救いであり嬉しいことであった。そうしてカイスはレイラを認識した後。レイラの中に何か異質なものが混ざっているのが確認できた。少々嫌な予感を感じつつもカイスはそれを神の力をフルに使って調べ上げた。いや。調べたというよりその異質な魂の記憶を思考を全て読み込んだ。


 ・・・・・・・・・


「クソロットイめ・・・ぶち殺してやる」

 カイスは憤った。時空神・ロットイの行ったあまりにも憎むべき最悪な行動に。


 勝手に異世界から何の罪もない少年少女を攫い、神様同士のお遊びの賭けの対象にしたその行為に。平気で自分の部下を使って無作為に選んだ一人の少年を殺し、その魂を無理やりレイラの肉体にねじ込むという危険極まりない行為に。そして、そのついでとばかりに愛する娘を殺した行為を。


「スレラ・パメラを殺しやがって、クソロットイめ。いや、少し待て確かに儂の娘は殺されたが、クソロットイが時を戻して、ユウという魂を転生させたから、実質的にはまだ儂の娘は生きておる、そうなれば、あのクソロットイの息のかかった魔導士を殺さねば、しかし見た感じではあるが儂の孫が、あの魔導士を殺せるほど強くはないな・・・う~ん、どうしようか・・・そうだ、加護にスキルを与えればいいんだ、そうと決まったら早速、儂の邪神、破壊神、復讐神としての力の1割を使い強力な加護を創り、微かに残るスキル神の力全てを使い、スキルを生み出そう、こうすれば、儂の孫もかなり強くなるじゃろ、てなわけで、ほい。行け儂の力よ」


 カイスはそう一人呟きながら、強力な加護と強力なスキルを、自身の孫、レイラに与えた結果。


 ドッカン、グシャ、グシャ、ドッカン


 超大爆発が起こった、理由は簡単だ、加護とスキルを与えた時に漏れた力に、魔法が合わさり、通常の数百倍の力が出てしまったからである、そんなことはカイスにとってどうでもよかったが。ただしっかりと自分の加護とスキルを与えられたことが取り敢えずの一安心となった。


 取り敢えずこれから自分の孫がどういう行動をしていくか確認するため暫く観察していたら。


「俺の身に一体、何があったか~~~誰か説明してくれ~~~」


 そんな叫び声を孫があげた。カイスはすぐさま反応し、答え、少し言葉を交わした。

 それだけでカイスは満たされた、自分の孫であるレイラはクソロットイのせいで、魂が傷ついているが、幸いユウという少年がそれを守っている、それにユウという少年は肝っ玉が座って、戦い方を知っていて常に何かを考えて情もあり優しく悪いものに対してはちゃんと罰する、孫を任せるに値する男だった、その為加護とスキルを与えた状態の彼ならきっと、上手いことやって娘を助けるだろう、そう考えたらカイスは満足し世界のため悪神を殺しに、悪神界へと戻った。


 ――――――――――――――――――――


 と手紙には書かれていた。


「重いわ~~~~~~~~~」


 手紙を読み終えた後、俺はそう叫んだのだった。

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