怒り
僕は肉体的ダメージもあるけれど、それ以上に生まれ変わって強さをもってるはずなのに、自分の母親一人守れない自身の弱さとふがいなさに心を痛めて気絶した。
そして、普通は気絶したら暫くは目が覚めないがレイラ否コウスケは違った。
――――――――――
「ここはどこだ、そして俺はなぜこんなところにいる」
そう、レイラの肉体を持つコウスケが呟いた。
次の瞬間、レイラの5歳~9歳までの記憶が走馬灯のように流れ込んできた。だが、しかし、その記憶は俺であるが俺でない、そう、別の人が俺を見ているような、そんな感じの記憶だった。
そして、俺はいや、コウスケは確信する自身に2つの魂があると。
そもそも、落ち着いて考えれば、コウスケは虐めという過去から感情が高ぶってない限り用心深く疑心暗鬼で基本的には他人を信用しない性格だった。友達は本だけのオタク。それが俺だ。
そんな俺が無条件に兄弟姉妹やメイドさん達を信用し「大好き」などと言い信用しきっていたという事。これ自体がまず、おかしい。有り得ない。もちろん記憶の中では5年間一緒にいた人ではあるが、俺の記憶が戻った時は、一言で言えば他人のようなものだ。それなのに、あの信用度合い。
それに、外に出た時に知らない人に「おじさん」「おばさん」「おっちゃん」などと馴れ馴れしく会話したこと、あまつさえ何の計画も考えもなしに格上である謎の男に戦いを挑んたこと。
今の俺ならどれも考えられないようなことばかりだ、そこから予測するに俺には、コウスケつまり地球で16年間過ごし異世界に召喚されて殺された魂とレイラつまりこの世界で9年間母親とメイドさん達それに兄弟姉妹にたくさんの愛情やを注いでもらいながら、家の中以外の人とは関わらずぬくぬくと育ったため純粋で優しくて人をすぐ信じて情に流されやすい魂。
この、2つの魂がこの体には宿っているのだと考えた。
そして、普段は魂が絶秒に混ざり合って、俺は俺であるがレイラの魂に一部思考が引っ張られている。そんなレイラの魂が気絶した今、もう1つの俺の魂が完璧な形で出てきたということか。
まあ今、俺の目の前にいる謎の男が俺のいや、レイラの母親を抱きかかえてどこかに連れて行こうとしている。このことは絶対に許せない。阻止しなければならない。
というか、今すぐにでも謎の男を殺してやりたいという欲求に襲われている。
怒りLV1を獲得しました。
スキルを獲得するぐらいに殺してやりたいと思ってる。
俺の母親ではないけど今まで俺を育ててくれて愛してくれて命がけで俺を助けようとした。そんな人を見殺しにできるほど薄情ではない。
ただ、どうやって助けるかが問題だ。
少なくとも謎も男は9999というステータスを持つ母親を赤子の手を船るがごとく倒したのだ。
最低でも9999以上のぶっ壊れステータスが必要だ。いや、別にステータで優ってなくても弱点をつけば勝てるかもしれない、しかし、それには情報が必要だ。この謎の男の情報が。
そう思いながら、謎の男にダメもとで鑑定をしたが失敗した。まあ、そりゃそうか。こんだけ強いんだ、俺の鑑定がすんなり成功するわけがないか。
そんな時だったふと謎の男に見覚えがあるなと思って注意深く謎の男を見てみた。
あ、まさか、まさか、まさか、アイツは・・・
思い出した。あの謎の男は俺を殺したクソ魔導士と全く同じ顔をしている。いや、似てるとかではないクソ魔導士本人だ。
そして、俺の称号にある殺されし者の効果が発動した。
怒りのLVが上がりました。
怒りのLVが上がりました。
怒りのLVが上がりました。
怒りのLVが上がりました。
【スキル怒り・効果
怒りを持つ相手に対してステータスが大幅に上昇、その代わりバーサーク状態になる。怒りを持つ相手と殺し合いをするときだけ最適化行動が出来る。】
あいつは俺を4年前に殺した。いや正確には1年後に殺すクソ魔導士だ。
あ、あああああああ、そう考えると憎い、憎い、憎い、憎過ぎる。俺をよくも殺しやがって~~~~あのクソ野郎。
怒りのLVが上がりました。
心の奥底からどす黒い狂気じみたものが溢れてくる。
ヤバい、このままじゃ怒りに任せてクソ魔導士に斬りかかりそうだ。それは不味い冷静になれ、俺の方が弱いんだ。怒りに任せて戦えば確実に負ける。
深呼吸だ深呼吸いったん落ち着こう。
ス~ハ~ハ~~~~ス~ハ~ハ~ハ~~~~~
負担軽減LV1を獲得しました。
ハ~~~~~~
だいぶ落ち着いた。
多分スキルを手に入れたからだろうかな。やっぱり深呼吸は大事だ。
でも、あれだな、謎の男が俺を殺したクソ魔導士だったとはな。驚きだ。まあでも落ち着いて考えてみれば生贄を捕まえる為に自ら行動って考えれば納得だ。
しかし、困ったな相手は少なくともチートじみた俺とイトをたった一人でいなして殺した化け物なのだから。もちろん、前よりかはスキルは強くなっているが、ステータは相変わらず制限がかかっている。
今挑んだ所で確実に殺されるのが落ちだな。
そうなるとクソ魔導士を殺すにはステータスが必要だな。
ステータス、ステータス、ステータス・・・
あっ、そうだ何もスキルを手に入れたりLVを上げてステータスを上げることにこだわらなくてもいいじゃん。
今、この時だけクソ魔導士を殺せるステータスがあればいい。
そうなると、いくらでも思いつく。早速ステータスを上げていこう。
まず、俺はエクストラスキル魔導の中にある、補助魔法と1万のMPが入った魔石10個を使い、攻撃力、魔力、防御力、俊敏を10倍まで上げる。
更に、付与魔法を使い身体にありとあらゆる魔法の力を20個程の魔石を使い付与する。
これにより、攻撃力が10倍、魔力が20倍、防御力が10倍、俊敏が10倍になる。
ダメ押しに最上位神聖魔法の「悪滅聖領域」を魔石10個で発動する。
全ステータスはこれで100倍以上になるはずだ。よし、確実に後々身体痛めるが今戦えればそれでいい、やってやる。
覚悟しろよ、絶対に殺してやるからなクソ魔導士。
俺は気配完全支配を使い気配を消してから生長剣と進化剣を取り出してクソ魔導士に斬りかかった。
スパ
クソ魔導士の腹に当たり血が流れる。これで勝てるとは思ってはいないが。それなりにダメージもあるとは思ったがしかし。
「痛いですね~」
そんな一言を言った瞬間傷が治ってく。
再生系のスキルでも持っているのか?それにしても化け物だな、腹を斬られても平然としてるなんて、だけど、再生系スキルはかなりのMPを消費するしその内再生限界が来るだろ。
そう考えて斬りかかる。
斬る斬る斬る斬る。
だが、全て避けられる。
しかし、諦めず斬りかかる。
斬る斬る斬る斬る斬る。
どれだけ頑張って剣を振り回しても当たんない。
斬る斬る斬る斬る斬る斬る。
武器王のLVが上がりました。
当たらない、全然当たらない、でもLVは上がった。
更に、斬りかかる。行ける。
斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る。
全て当たらない。避けられ、いなされる。
武器王のLVが上がりました。
レベルが上がった。もっとだ、もっとレベルを上げろ強くなれ。斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る。
なぜ、当たらない・・・・・・
武器王のLVが上がりました。
もっと、もっと、もっと斬る。
斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る。
武器王のLVが上がりました。
ハアハアハアハア
ヤバい、疲れてきた。身体が悲鳴を上げている。流石にステータス100倍以上も上げたのは身体に負担がかかり過ぎだ。
というか、何で当たらないんだよ。俺のステータがまだ足りていないのか、いや、違うな動きには追い付いている。多分技術が経験が足りてないんだ。経験は流石に成長補正でどうにかなるものではない。
なら次は魔法だ。
俺は火の魔石と結界の魔石を1つずつ出し魔法を行使する。
火魔法と結界魔法のオリジナル複合魔法「一点集中極火砲」を放った。
この魔法は基本、空中に散布する為どうしても威力が低下してしまう火魔法を結界魔法で閉じ込めて威力が下がらないようにして、ぶっ放すオリジナル魔法である。
流石にこれを食らって平気ということはないだろう、少なくとも火傷位は負うと思っていたが。
「弱いですね~、こんな魔法で私を倒せるとでも」
そう言って俺の魔法を片手で受け止めて握り潰す、いや、消滅させた。まさかここまで強いとはな、こんなに簡単に防がれるか。
なら、数で勝負だ。雷の魔石を3個と使い上級魔法「雷30連弾撃」を放った。
その名の通り雷の弾を30個創り出して当てる魔法である。
ズバババン
30もの電の弾全てがクソ魔導士に当たり、土煙が舞う。「よし」と思ったが煙が晴れて確認したら、まさかの無傷だった。
その後はただひたすらに何十という魔石を使い魔法を繰り出したが全て躱され消され当たっても無傷という化け物っぷり。
魔導王のレベルが上がりました。
魔導王のレベルが上がりました。
魔法を撃ちまくってたおかげが魔導王のレベルが上がった。でも、全然魔法を使い勝てる未来が見えなかった。
本当に化け物だ。どうやって勝てばいいんだ。いや、でも、諦めるな。諦めたらその時点で敗北だ。俺はお母さんを守るんだろ。俺は俺を殺したこのクソ魔導士に復讐するんだろ。頑張れよ俺。
鼓舞LV1を獲得しました。
よし、スキルも俺の事を応援してくれている。頑張ろう。このまま攻め続けてスキルのレベルを上げていこう。そしたらまだ勝てる希望はある。
「飽きました」
俺が頑張ろうと気合を入れ直した時だった。
クソ魔導士が一言そう言って詠唱をしだす。俺はその詠唱を邪魔しようと思ったが何故か恐ろしいまでの恐怖を感じて身体が動かなかった。
「滅ぼせ 消せ 終わらせろ 無にしろ 消滅させよ 神をも殺す禁忌 【滅消終無】」
ヤバいヤバいヤバい、この魔法は俺を殺したあの魔法、しかも無茶苦茶速い、今からじゃ避けられない。このままだと死ぬ、こうなったら一か八かだ。
俺は無詠唱で超簡単に発動できる、空間魔法・ランダム転移を慌てて発動した。
そして、光に包まれて俺はどこかに転移した。
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