衝撃の真実

  新しい朝が来た。

 まさにその言葉がぴったりなぐらい気持ちのいい朝だった。


「誕生日おめでとう」


 美人なお姉さんもといお母さんがギゅ~と抱き着いてくる。いい匂いがしてとても温かい。何か凄く安心して癒されて体がポカポカしてくる。凄く良い気持ちだ。

 というか、お母さん本当に美人だな。

 銀色の髪に赤と青のオッドアイ身長は160センチ位で少しとがった耳の優しそうなおっとり系美人ってやつ。でも何故だろう、どうしてもメイドさんに少し似ている気がする。いや、流石に気のせいか。うん。気のせいだな。


「おはようございますおかあさん」


 あれ?今言葉を発するつもりがないのに言葉が自然と出たぞ?

 もしかしてレイラとしての自分が言ったのかな?

 う~~ん、分からん?まっ、今考えても仕方ないか。


「おはようレイラ、それじゃあ、今から朝ご飯食べに行こうか」


「うん」

 そう言ってお母さんに連れられ居間まで行った。

 居間には、アホみたいに長い机に料理が並べられていて。

 そこに、クソごますり野郎もといお父様とその正妻の子供もといお兄ちゃんの3人が座っていた。しかも、そのお兄ちゃんが金髪イケメンだからウザイ、性格腐ってるクズなんだし、不細工でええやろ。

 そんでその、隣に20人程度なら楽に座れる机が置いてあった。

  そこには、俺とお母さんを除く兄弟姉妹とメイド達が座っていた。

 ちなみに、この5年間でメイドが1人3歳の5男2歳の5女が2人出来た。どんだけだよあのクソ野郎。それも、子供のいないメイドから別々に、まあそれはさておき、というか、その理論で行くとお母さんも・・・・・いや、止めよう。これは考えては駄目だ。俺の心が死ぬ。

 そんでまあ、お母さんに連れられて俺はその机に座った


 その瞬間


「5歳の誕生日おめでとうレイラ!!!」


 皆から祝福の言葉と盛大な拍手を貰った。<父、正妻、長男を除く>

 というか、あの三人黙々と朝食取ってんな。

 隣で誕生日会してるのに、もはや凄いだろ。いつも。ああやったけ。

 俺はそう思い、自分の記憶を探ってみる。


 ・・・・・・・・・


 うん、いつも、ああだ、俺らにはマジで殆ど関心が無くて、誕生日会を開こうが喧嘩しようが、基本的には不干渉だったな。

 まあ、でもそっちの方が気は楽でいいな。

 因みに皆に祝ってもらった誕生日会はとても楽しかったです。

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ゴメンね、レイラ本当は一緒に遊んであげたいんだけど今日は無理なの、だから、今日は他の皆と遊んでね」

 そう言ってお母さんが頭を撫でてくれた。

 そして、俺はメイド2人と兄弟姉妹に連れられて庭まで遊びに向かったのだった。

 メイドと兄弟姉妹に連れられて庭に行った。

 記憶の中では行ったことがあるが記憶を取り戻した状態では初めてだった。庭は驚くぐらい広く花が美しく咲いており木や草も整えられていた。

 そこで、兄弟姉妹と一緒に鬼ごっこやかくれんぼをして遊んだ。

 昼になるとメイドがお弁当を持って来てみんなで食べた。

 そして、また楽しく遊んでいると、いつのまにか夕方になっていた。

 その後は、また居間に戻りご飯を食べて、お母さんと一緒に部屋に行き布団に入った。

「あ~~、今日も幸せだったな」

 そんな事を一人呟いて思った。俺このままでいいのかな~と、今日、一日の様子と過去の記憶を見る限りここでの生活は非常にいいし、ある程度大きくなればこの力を使って冒険者として十分大成出来るだろ、神様の話では後5年で勇者召喚が行われるらしいがそれをガン無視してこのまま幸せに生きるのもいいかもしれないと思う。 


 そう、考えた時、どうしてもあのメイドさんと一緒にいるお母さんが重なった。

 見た目はそこまで似ていないのに、やはり面影が纏っているオーラいや雰囲気が重なった。

 そして、俺は気になり聞いてしまう。


「お母さんって、妹かお姉ちゃんいる?」


 と。そして帰ってくる答え、俺はその答えを聞いてしまった。それはどうしようもなく残酷な真実であり。知らなければ良いことだった。


「いるよ、スレラっていう私のお姉ちゃんが一人、だけど、色々合って今は何処にいるか分からないんだ。でも、とっても優しいお姉ちゃんだったよ」


 スレラだと、その名前はあのメイドさんの名前だ。てことは。もしかして、いや確実に俺の母親は勇者召喚の生贄にされる。ていうことはあのメイドさんは今の俺の伯母さんということになるのか。それってヤバくないか?つまり俺のお母さんは今から5年後に生贄にされて死ぬという事か。・・・・・・・・そんなのは駄目だ。


「どうしたの、レイラ難しい顔して何か不安なことでもあるの」

 そう言って優しく俺をいや私を包んでくれるお母さん、そのぬくもりを味わったときに俺は思った。というよりも心が叫んだお母さんを絶対に守らねばと。俺は絶対にお母さんを悲しましてはならない、幸せにしなければならないと。それは、まるで。俺であり俺ではない不思議な感覚、だけど、俺が心から決めた決意だった。


 ―――――――――――

 そしてお母さんが寝た後に俺は一人考える。

 俺の力は絶大だ。それこそ、その辺の人とは比べ物にならないくらいある。この力を上手く使えば魔物でも適当に倒して簡単に楽な楽しい人生が送れるだろうと。

 だけど、もし俺が勇者召喚に首を突っ込めばそれは分からなくなる、俺の命はもちろんのことお母さんにも危険が及ぶ、お母さんが生贄にされるのは最悪睡眠魔法とか適当に覚えて眠らせたのち安全な所に避難させるなりすればいいだろう。そうして後は楽しく生きればいい。そうすれば、あのメイドさんもといお母さんのお姉ちゃんもあの国に首を突っ込まないだろうし、死ぬこともない、そして、後は適当に探して二人を再会させればいい。

 でも、本当にそれでいいのか、俺は勇者召喚を見逃していいのか。お母さんの生贄が回避されたとしても、絶対に別のエルフを攫って勇者召喚をするだろう。そうなったら勇者召喚されて俺がまた死ぬ未来が創られることになる、いや待て、そうなると俺が2人いることにならないか。

 俺は何だ、本当に俺なのか。分からなくなってきた。落ち着け、それは今は考えるのを止めておこう、その考えは確実に泥沼にはまる。俺という存在が分からなくなる。俺という存在を否定し不安定にさせる。

 深呼吸をしよう。一旦落ち着こう。


「ふーーー、はーーー、ふーーー、はーーー」


 よし、落ち着いた、そして決めた。

 情報を集めよう、今考えたって答えなんて出ない、勇者召喚を止めるべきなのか止めないべきなのかなんて分からないし、お母さんを救ったとしても歴史の強制力で無理やり引きはがされるかもしれない、今の俺には情報と力が圧倒的に足りない。

 その為には何をすればいい、ここから離れて情報収集と魔物を倒してのレベリングを、し、し、し、出来ない、【ここから離れては駄目だよ、お母さんの側にいてよ】いきなり声が頭に響いた。

 理由はわからないがこの家から、いやお母さんから離れようと考えるだけで気分が悪くなり、強烈な嫌悪感に襲われた。


 これは一体どういうことだ。俺の身に一体何があった。分からない、でも、少なくとも普段から屋敷で働き外にめったに出ることの無いお母さんの側にいないと俺は自分を保てそうにない。そうなると。俺はこの屋敷から出ることができないんじゃないか?じゃあ、どうする、この屋敷の中で出来ることはなんだ。どうやって強くなる?情報を集める?


 ・・・・・・・・・・・・


 そうだ、取り敢えず本を読もう、別に外に出なくたって本から情報を手に入れればいいんだ。

 そうと決めたらすぐ行動だ。それにスキルの方も、暇な時間を見つけて自分で特訓をしていけばいいんだし。

 そう、結論を出したら俺は記憶を頼りに本が置いてある書斎に向かった。


 ―――――――――――


 補足説明

 今の主人公の精神はめちゃくちゃ不安定です。

 一応の設定としては、生まれた時から主人公の精神は存在していた。

 しかし、5歳になるまではその精神は眠っており、5歳になって覚醒した。

 その為、元々あった精神が強制的に眠りにつかされた。だけど、元々あった精神がかなり強かったため、身体の主導権こそ主人公の精神が持ってるものの、強い思いで主人公の精神に影響を与えある程度は自分の思うように動かせるって感じです。

 後でこの元々の精神はしっかりと出します。

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