絶対に序盤で手に入れたら駄目そうな武器を手に入れた

  これからに備えてスキルを鍛えている途中、ふと、この世界の常識について気になったのである程度メイドさんに聞いてみた。


 結果


 大体の常識がラノベと同じだった。迷宮や冒険者ギルド、奴隷や貴族階級、時代は中世ヨーロッパなんだけど、魔法の魔道具と他の異世界転移者・異世界転生者によって変に日本の知識が入っていたり。進んだ技術が合ったりするって感じだった。後どうでもいいかもしれないがメイドさんの名前も聞いた、スレラというらしい。まあメイドさんの方が言いやすいからメイドさんって言うけど。

 話がそれたな、まあそんな、ありふれた感じの世界観というか異世界常識の中で1つだけ気になるものがあった。


 それは、ジョブシステムである。

 もちろんジョブシステムというのはラノベによってはあるシステムの一つだ。

しかし、絶対にあるというわけでもないし、システムもラノベによって大分異なったりする。

 というわけで結構気になったのでメイドさんに聞いてみたところ。


 こう、返ってきた。


 ジョブというのはその人のステータスに応じて現れる職業で、神殿もしくは冒険者ギルドに設置されているジョブ水晶を使うとジョブを獲得できるようだ。因みにジョブ水晶はかなり厳重に管理されており製造方法は一切不明で買い取ることも不可能らしい。

 まあ、ほんでもって、ジョブを選ぶとジョブ水晶にその人にあったジョブが表示された後、ステータスに現在のジョブとジョブLVというのが現れる。

 ジョブLVが上がるとステータスが上がったりスキルを獲得出来る。

 ジョブLVは魔物を倒すかジョブにあった行動をとるかすると上がっていく。

 剣士だと素振り、料理人だと料理などをするとレベルが上がるらしい。もちろん一番効率が良いのは魔物殺しもとい生命を奪くことらしいけど。おっかないね。本当。

 ジョブLVが100になるとそのジョブの上位のジョブにクラスアップ出来る。


 これが、俺がメイドさんから聞いたジョブについての情報だ。


 ほんでもって、こっからが更に大切というかいきなりサラって流すようにメイドさんに言われてヤバかったというか驚いたのが、そのジョブ獲得の儀式を今日やるらしいってことだ。

 まあ、もちろん最初それを聞いたときは、もの凄く興味がわいたしウキウキわくわくした、そりゃ、ジョブ獲得とかいう神がかったようなイベント、オタクの俺の心が躍らないわけがない。

 だけどさ、もの凄く、そう、もの凄く落ち着いて考えたとき思ったんだ。


 あれ?俺ヤバくない?って。

 だって、俺の今のステータス、自画自賛だけど、化け物だぞ、せっかくステータスを偽造できるようになったのに、ジョブでとんでもないものが出たら一発アウトだ。

 ほんで鑑定したら、スキルもステータスも平凡っと。

 いや、無理でしょ。無理がありまくりの絶望展開でしょ。絶対に疑われて、奴隷コースまっしぐらじゃん。


 うん、どうしようか?


 ・・・・・・・・・・


 よし、決めた。発生したジョブに合わせてステータスを偽造していこう。

 例えば、魔法使いとかのジョブが出れば、四代元素魔法と混沌魔法はそのままで、武器マスターみたいなスキルというか他のスキルは全て隠し、ユニークスキルに魔石生産を加える。

 逆に武道系統のジョブが出れば魔法もとい武器系統以外のスキルは隠す。武器マスターは出す。みたいな?

 もし、万能者とか出れば、器用貧乏と武器マスターと四代元素魔法と混沌魔法は出すが成長補正スキルは隠し感じで。

 ・・・・・・そうやなうん、決めた。成長補正スキルは絶対に隠しておこう。このスキルが俺の最大の武器であり能力だ。それがバレると何かとよろしくない。逆に成長補正さえバレなければ基本大丈夫やろ。


 俺はそう結論を出した後、思いのほか眠たくなかったので。他にやることもないしスキル特訓を開始した。そうやってひたすらに武器を振ったり、魔法を行使したりした。


 身体強化LV1を獲得しました。

 魔法強化LV1を獲得しました。

 混沌のLVが上がりました。

 混沌のLVが上がりました。

 四大元素魔法のLVが上がりました。

 四大元素魔法のLVが上がりました。

 武器マスターのLVが上がりました。

 武器マスターのLVが上がりました。


 そうやって、気が付いたら朝になっていた。


 ほんでまあ、スキル特訓の途中にメイドさんから後30分で勇者全員とこの国の王に姫が集まって朝食をとるって伝えられた。そこで、今後の予定について話し合われるらしい。


 うん、あれだな、多分この話し合いで上手くクラスメート全員唆される、いや、まとめられてより簡単に利用されそうやな。集団意識ってのはかなり強いしね。クラスメートの大半が魔王討伐に協力するって言っていたら、少数のこの国を疑っている連中の肩身は狭くなるのはもちろん、下手したらこの国に従うって選択を取るかもしれない。そうなれば、この国から逃げ出そうとしている俺の肩身は狭くなるし、同じクラスメートの協力者を募ることも出来なくなる。いやまあ協力者を募るつもりはないけど。

 しっかし超めんどくさそう。行きたくないわ~、でも朝食後にジョブ判定があるらしいし、それに、ここで下手に休んで目立つのも厄介だしね。しょうがない、というか行かないとまずいか。


 ハア、めんどくさいけど行きますか。

 俺がため息をつきながら行くことを決意した時だった。


「ただいま、戻りましたご主人様」

 イトが声をかけてきた。というかいつ帰ってきたんだろ。一切気が付かなかった。

 でもベストタイミングだ。

 イトが帰ってきたということは、敵の情報と武器を持って来てくれたってことだ、マジでありがたい。少なくともあるのとないとじゃ大違いだし、取れる行動も増えるからな。


「ご主人様、これが戦利品です」


 そう、言ってイトは大量の書類と武器をどこからともなく出してきた。俺はいきなりの現象に驚きつつ。


「イトこれはどこからだした」

 と聞くとイトは骨をカタカタと動かしながら念話で伝えてきた。


「あっはい。ご主人様、それはアイテムボックスから出しました。ご主人様がスキルアイテムボックスを獲得したため、私もアイテムボックスを獲得及び使用することが出来るようになりましたから。それと、どんな敵の情報・どんな武器を持って来ればいいのかよく分からなかったので、取り敢えず、適当に良さそうなもの全て持ってきました」


 なるほどね、マジで感謝ですな。というか命令が大雑把だったな少し反省しよう。

 まあいいや、取り敢えず30分以内にイトが手に入れた戦利品を確認しようか。


 ―――――――――――――――


 結論から言えば。


  イトが見つけた戦利品、かなりヤバいものだった。というか凄すぎた。イト優秀すぎやろ。いや、この国の警備がガバガバ過ぎるのかな?

 後、メイドさんには俺の眷族が見つけて来たものと説明し、一緒に書類と武器の整理を手伝ってもらった。流石に一人はきつい。

 それと、ありがたいことに勇者の能力と説明すると案外すんなり受け入られた。勇者の能力、万能な言葉ですな。


  まあ、それはそれとしてまず、最初は書類だ、書類。


 国の予算、国の税金、国の貴族の情報、騎士や魔導士や兵士の情報などのちゃんとしたものから賄賂、違法奴隷、殺人、脱税について事細かに書かれた書類等々。

 挙句の果てに、他国との戦争の企画書や、その戦争に勇者を使うもとい利用しようとする計画書類、その上勇者が重い通りに動かなければ洗脳魔法を使い利用するとまで。更に更に国が秘密裏にやっていた人体実験、獣人や魔族、エルフを捕えての奴隷牧場や非道な実験等々。一つでもヤバそうな資料が出るわ出るわのオンパレード。


 どれも、胸くそ悪くなるようなものばっかり、半端じゃない。この国一体どこまで腐ってんだよ。

 というか勇者を兵器利用ってテンプレ過ぎるだろ。つ~か、魔王は何処に行った、魔王とか殺させるつもり一切ないじゃん、完全に勇者達を兵器にするつもり満々じゃん。何なら、この書類に魔王は特に害もないので放置で良しって書いてあるんだけど?え?ヤバいだろ。


 まあ、いいや次は武器だ、武器。これもやばかった。というか絶対に序盤で手に入って良い武器じゃない&どっからこんな武器持ってきた。怖すぎるわ。


 大体武器の数は30個位だが。全ての武器またはが異様なオーラを放っていた

 片っ端から鑑定をしてくと。

 魔剣、妖刀、聖剣、邪剣、神剣やらやらやらのヤバそうなののオンパレード。オンパレード。国の宝物庫か武器庫からか盗ってきたかは知らないけど?何で城に置いてあるんだよ。こんなものが。

 その中で最も強かったというか危険度が高そうな武器はこれだ。


 聖神剣・エクスカリバー


 ゴットスキル

 まだ解放されていません。


 使用条件

 真なる勇者であること。


 効果

 全ステータス+100000

 破壊不能

 状態異常無効

 敵対スキル無効

 魔物に対するダメージ10倍

 最終奥義【聖光破邪斬】が使用できるようになる。

 一部能力が封印されています。


 なにこれ・・・・・・・・


 チート過ぎるだろ。


 ゴットスキルって何?真なる勇者ってどういう事?というか何だよこのイカレタステータス補正アホなの、そんで最終奥義って何。カッコよ過ぎない。というか一部能力が封印ってまだまだ、強くなるのこの武器?え?ヤバいだろ。もうすでにチートやん。


 まあ、そんなわけで、武器30個の内訳はこんな感じだ。

 勇者専用とか暗殺者専用とか魔法使い専用とかの武器が20個・・・ジョブ制限とかスキル制限とかの武器が多かったが、聖神剣・エクスカリバーみたいに真なる戦闘狂であることとか、誰にも負けない熱い心をもってるとか何か抽象的というか、どういうこと?みたいな武器もあった。まあ、能力はめちゃくちゃ強かったけどね。

 後はまあ、呪いの武器が5個・・・能力はかなり強いけど代償がエグすぎる。使用するごとに寿命が消えていくとか。血液量が減っていくとか。不幸が訪れるとか。うん、流石に使えないわ。

 ほんで特に制限もなければ突出して強くない武器が3つ。

 そして、残った2個の武器が成長する明らかに俺と相性の良さそうな武器だった。

 どんな能力かっていうとこんな能力だ。


 成長剣

 使用した者と共に成長する剣。

 効果

 破壊不可・所有者固定


 進化剣

 魔物を殺すごとに強くなり進化する剣。

 効果

 破壊不可・所有者固定


 見るからに良さげな剣やろ、成長剣と進化剣、最初は弱いけど段々と強くなっていく剣。ロマンがヤバい、それに、破壊不可が付いているのも良い、これがかなり嬉しい。どれだけ雑に扱おうが壊れない、どれだけ激しい戦闘だろが壊れない。ゲームとかでせっかく作ったのに耐久値忘れて壊れるとかいう発狂じみたことが起こらないということだ。ほんでもって所有者固定これもかなり嬉しい。ゲームとかで武器を盗むシステムとか、あれは悪夢だった。マジで発狂もんやわ。クソッタレだ。それがないということだ。どれだけ素晴らしいことか。


 それに、これだけ希少な武器とヤバい書類を盗んだんだ。きっとこの国は大混乱だろう。ざまあみろってんだ。

 ほんでまあ、丁度書類と武器を見終わり、成長剣と進化剣をずっと使っていこうと決めた後。


「そろそろ朝食のお時間ですよ」


 とメイドさんに言われたので、慌てて書類と武器をアイテムボックスに入れて、イトと一緒にメイドさんに連れられて、朝食を取る会場である大広間に向かった。


――――――――――

補足説明

 所有者固定はその武器を実際に使用して武器に認められないと発動しません。

 イトが盗んできた武器は全て所有者がいない武器です。

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