8話 石襲

石襲




沈んだ都の中央の建物に入ると、その中にもう一つの棺があった。

うん、棺の中に人の気配があるね。という事は、あれが、太陽神?


「あの棺の中だね、多分きっとあの中の反応が太陽神だよ」


僕こと奈波の案内によって、雛と僕は太陽神の棺に近づいた。そして二人で、棺に手をかけて、押し開ける。すると、中から神々しい人? いや神様が起き上がった。


「我になに用か?」


「わ、わた、私たちに手、手を貸してほしい、の」


「我の力をか? それは無理な相談だな」


「え、な、何、で?」


「我は一個人に手を貸さない、さらに我は、人類に興味がない、世界を滅ぼす輩しか相手はしない。貴様らが相手をしているのはそんな相手なのか?」


「わ、分からない。け、けど、文さんが、連れてきてって、い、言ってたんだ」


「そのような理由では付いて行けぬな、だが、この大陸は浮上させてやる」


このままじゃ多分、3人とも困るんだよね? じゃあ少し余計なお世話かもだけど、


「じゃあ、太陽神さん。今戦いがこの近くで起きているんだけど、それが終わったら、他の人にも話を聞いてあげて」


「む? 成程、たしかに戦っておるな。ならば、チャンスをやろう。ここで待っているから、違う人間を近くに寄越せ。したらその者の話を聞いてやろう」


「ありがとう!」


「大陸の浮上が終わった。さあ行くがよい」


「うん」


「わ、分かったよ」


建物を出ると、空が見えた。まあもう暗くなっているけど、さっきより開放感がある。空が見えるからだけど、街灯もついたままだし、山があるけど、どの範囲まで浮上したんだろう? って言うか、そんな所見ている暇がないかも。


「おや、神を吸収しに来たが、いいところにご馳走が、君たち吸収してしまっていいかい?」


博士風の中性的なイケメンが大量にいる。はっきり言って気持ち悪いね。イケメンでもこんなに同じ顔がいると、それだけで気持ち悪いんだね。


「君たちは何者だい? というか吸収されるわけにはいかないよ」


「じゃあ、倒そう!」


雛が武器を持って突っ込んでいく。刀が当たった瞬間敵が消えていく。


「これなら倒しやすいね。僕も戦うよ」


風のサモンエッグを使って、ペガサスを召喚、飛び回りながら、土のサモンエッグや、風のサモンエッグ、音、闇のサモンエッグをばらまく。それらから召喚された、ゴーレム、ペガサス、コカトリス、鵺は敵を追いかけて、消していく。


「これ、やばいかも。この数とても倒しきれない! 悪いけど雛、式たちに連絡とってくれる?」


「分かったよ。機工、通話機能で式につなげて」


やっぱり数で押され始めている。このままじゃ……。


「式! これどういう状況!」


『雛? 御免置いて行って。何故が大陸が浮上して、その後、石が人間になって、私にもよく解らないのよ。分かることはその石だった人間は、兎と真井の仇って事。そして、機工を操ろうってしている事』


「って事は、この周りにいる固い人間は元石ってことでいいのかな? こっちはピンチだよ。敵が、大量に沸いていて、てんやわんやだよ、あ、因みに大陸が浮上したのは、太陽神が目覚めたからだね」


『! 今すぐ応援に行くわ!』


「これで、なんとかなるかな?」


「ありが……とう! けど、こいつらから生き残るのは大変そうだね」


すでに、心を折れかけているけど、でも何とか頑張らないと! 生き残るために! それにしても、簡単に消えるから、楽だけど、攻撃がいちいち殺す気満々だから、怖いし、回避に力を入れざる得ないよ。けど、僕の方は、その回避からの召喚で、簡単に反撃できるけど、雛は……って空から、弾丸の雨を降らせているよ! けど、後ろから狙われているから、召喚獣たちに雛を守るように指令を出しておこう。


「でも……!


「ジリ貧だね!」


「今は外に出れないが、まずお前たちを吸収してから、外に出よう。どこにこの防壁を作っているやつがいるかはわからんが、それからで十分見つけられるだろう」


「一体君たちは何者なんだ! いや、複数か一人かは、分からないけど」


「僕は、賢者の吸石とでも名乗ろうか。そんな事より、私の分身を消すのは、止めてもらおうか。吾輩も少し痛いのでな」


「一人称がぐちゃぐちゃだよ! でも、私たちを殺そうとする限り、分身を消すのをやめない!」


「そうか!」


なんか一体の石にエネルギーが大量に集まってはいる。何をする気だろう? でも危ないのは理解できる!


「雛! あの石を攻撃できる?」


「見えているからやってみる!」


しかしその攻撃は、すべて、肉壁、いや石壁によって防衛される。ど、どうしよう! どうすればいい!


「仕方がない、この我を目覚めさせてくれた礼だ。一回だけ守ってやろう」


「「え」」


太陽神の声の後、その石が爆発した。それはもう盛大になるはずだったけど、爆発より、大きな勢いで周りの物を吸収しだした。なにが? 解らない。けど一瞬にして、


「アッツ!」


気温が、火に触れたかのような熱さになっているよ。なんで! けど死んでないだけ儲けものだね。


「爆発が! 止まった? 何故だ、まさか! 太陽神なの? となると今のは太陽? やはりほしいわね! あの能力欲しい!」


もしかして、今のは重力で太陽を作る手前までしたのかな? いや、なんで僕たち生きているんだろう?


「お前たち以外に作用する重力だ、そして、爆風と熱はバリアを使って封じた。後は任せたぞ」


「あ、ありがとう」


なんかすごい物を見た気がする……。いや聞きもした気もする。でも敵は減ったね。なら!


『奈波、悪い! 障壁が、攻撃を受けすぎて、破壊されそうだ。今、念話でエルピスに相談して、張りなおしてもらう算段だが、それまで持たせられるように、障壁周辺の敵を蹴散らしてくれ』


「うん、分かったよ」


飯野さんからの念話が来たから、それに従って、障壁の周辺にいる石に向かってサモンエッグで召喚した召喚獣を向かわせた。


「ごめん、雛。障壁防衛に、召喚獣を少し割いたよ。これで安心して防衛できると思った矢先に申し訳ないよ」


「君が謝ることでないよ、けど分かった。慎重に、自分の身を守っていくよ」


雛の大胆な攻撃をカバーできないって事が通じたみたい。なら少し安心できるかな?

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