2話 誘拐?

誘拐?




「あ、このチョーカーいいね! 赤い宝石が綺麗だよ」


「うん、そうだね~。あ、こっちのチョーカーもいいよ~。青い宝石がキラキラしてる~」


太陽みたいな赤の宝石、深海のような青の宝石、両方ともいいなぁ。


「ねえ、もっと奥の方も見よ~」


「うん」


本当キラキラしたものが多いね。まあ、宝石が有名なんだろうけど、けどやっぱり綺麗だね。


「あ、これなんかど~お~」


「お、すごくいいね。黄色の宝石だ! 星を散りばめたみたいだね」


ちょっと思ったけど、ここの店チョーカーしか売ってないね。いや、凄い綺麗なチョーカーばかりだからいいんだけどね。


「僕もいいの見つけたよ! ほら、赤と青の交互に付いた、やつ。凄い綺麗でしょ」


「だね~」


少しの間そうやって綺麗な物を見ていたんだけど、


「そろそろ、戻らないと、飯野さんが怒っちゃうよ~」


「そうだね、あ、ちょっと待ってて」


「あズルい~。あたしも~同じことしたい~」


「ああー」


僕たち同じこと考えているみたいだね。じゃあ、


「一緒に買おっか」


「だね~」


二人とも、プレゼントを考えていたみたいだけど、まあしょうがないよね。僕たちは笑いあいながら、最初に見た、赤の宝石のチョーカーと青の宝石のチョーカーを買おうとしたところで、店のお婆ちゃんが、


「お嬢ちゃんたち、悪いけど、この子の友達を探してくれないかね」


「ん?」


泣いてはいないけど、涙ぐんでいる、少女がいる。


「ど、どうしたの?」


「友達がね、いなくなっちゃんたんだ。ここで、待っておいてとは言われたんだけど、30分経っても戻ってこないの」


「え、なんか事件に巻き込まれたとかかな」


「そ、そんなぁ」


あ、女の子を驚かせてしまったかな?


「ごめんね~、このお姉ちゃんも驚かすつもりで言ったわけじゃないよ~」


「うん、ごめんね。じゃあ僕たちが探してきてあげるよ」


「あ、ありがとう!」


女の子は電話番号と、写真をデータで渡してくれた。あれ、髪型だけだけど、兎とそっくり。うさぎみたいに髪が跳ねているのがとても似ているね。


「これが私の番号だよ見つけたらこれに電話してね。で写真はいなくなった友達の写真なんだ」


「お、偉いね~人探しに必要なデータを知っているんだ~」


「ありがとう。これで何とかなるよ。えーっと名前何だっけ?」


「あたし、ダーシャ。宜しくお願いします」


「分かったよ。ちゃんと探してくるね。あ、因みに僕は、犬飼 奈波だよ」


「あたしは~、武備 光だよ~」


「お嬢ちゃんたちの欲しかった、商品はちゃんと取り置きしておくからね」


「うん、ありがと」


「じゃあ、行ってくるね~」


外に出て、あたりを見渡すと、あ、いたいた。


「師匠、兎さん、ちょっとこの子探してくるから、少しこの辺で待ってて」


「分かった。自分たちも姿を見たら連絡しよう」


「あ、吾輩も、人工衛星で、探してみよう」


「ありがと~」


数分後、衛星で捕捉したって話を聞いて、その座標を送ってもらって、追いかけている途中。


『二人とも、そこを右に曲がった所に、ザザッ』


「あれ、兎さん?」


『……』


返事が返ってこない。その後すぐに通話が切れた。


「あれ~兎さん通話終わったの~?」


「……うん。なんか途中で切れたような感じだけど、右に曲がれって」


「うん~分かったよ~。ってあれ女の子が泣いている~」


本当だ。写真と同一人物だ。なら、


「お嬢ちゃん大丈夫かい?」


「あ、あの、私、変な人に攫われて、お前は違う。って言われて、捨てられたの」


「何それ? まあいいや、友達が待っているよ。お姉ちゃんたちが連れて行ってあげるから、おいで。手をつながなくてもいいし、後ろを付いて来るだけで良いから、ね」


「……うん。でも、その場所ならわかるからいいよ自分で帰れるよ」


「そうなんだ、けど、私たちも買い物したいから行く方向は一緒だよ?」


「分かった付いて行く」


店に戻ると、


「ああああああー! ダ―シャちゃん! 怖かったよー! ありがとー!」


「大丈夫、怪我とかない?」


「うん、大丈夫だよー!」


「ありがとうね、お姉ちゃんたち。お礼にこれあげる」


「え、これって、僕たちが買おうとしていたチョーカーじゃ……」


「お嬢ちゃんたちのためにこの子が出してくれたんだよ」


「そうなのお婆ちゃん。ダ―シャちゃんありがとうね」


「わ、私も出しました」


「っていつの間に出したの~? 君もありがとうね~」


「き、君じゃなくて、メアリーってな、名前だ、よ?」


「そうなんだ~ありがとうね。メアリー」


「うん!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る