15話 謎の妹
謎の妹
「このフィギュアだけど、船内に動かしたいのよ。けど人手が足りなくて、お願いできるかしら?」
「うん、いいよ任せて」
「分かったよ~」
4人のエルピスと僕たちで何とか動かして、食堂の片隅に置いた。そして、皆部屋に帰り、夜になって数時間たった頃。
「ねえ、奈波~。食堂から音がするんだけど~、もしかして、目覚めたのかな~?」
「そうだね。行ってみよう」
二人でコソコソと食堂に入ると、
「モグモグ」
鬼が、金髪の鬼が、冷蔵庫を漁っていた。
あ、さっきのフィギュアみたいだね、多分アミって子だよね。でも関連性が分からないかも。
「アミ、この船にどうやって入ったんだい?」
「目が覚めたらここだったんだよ。めちゃくちゃ重い、フィギュアを置いてなかった?」
「うん置いていたよ。でもそれとこれの関係が……」
「あのフィギュアがこの肉体なんだよ。この鬼の肉体に、私の魂が宿って動いているんだ」
「成程?」
「よくわかないかな~」
「まあ、夜にだけ、あのフィギュアが私になるってことだよ」
「で、なんで、冷蔵庫を漁っているんだい」
「ご、ごめん。お腹がすいちゃって」
そこに、飯野師匠が走ってきて、
「すまんが、奈波、光、来てくれないか? ホーネット夫妻が、少しおかしい状態になっているんだ」
「「「え」」」
とりあえずついて行くことにしよう。って何故か、アミもついて来ているし。
「アミも来るのかい?」
「うん、ホーネット夫妻に興味があるんだ」
「まあいいけど」
3人で、ホーネット夫妻の部屋に行くと、夫妻は、
「なあ、煙はもう消えたか? 2隻の船と煙が現れた時から、頭が痛いんだ」
「え、船は3隻あったけど……」
「そ、そう皆言うけど、私たちは皆が指さしたところに煙しか見えなかったわ」
ど、どういう事? でも確かに3隻いたから、間違いはないよね。
「ちょっと、二人ともいい?」
アミが私たちを引っ張って、外に出る。
「おかあさ……、いや、夫妻は多分いも……、いやフラワー・ホーネットに会ったんだと思うよ」
「え、ホーネット夫妻はアミちゃんの親なの~?」
「あ、バレたか。そうだよ、私の名前はアミ・ホーネット。それで、敵にホーネットって居なかった?」
「あ、居たよ。たしか、藍井 ホーネットて子がいたけど、フラワーって名前ではなかったかな」
「多分それだと思う。聞いた話によると、紀光研究所に拾われた子は、なんとか井って名前を付けられるって話を聞いたし、それなら、藍井になっていてもおかしくはないかも?」
「そうなんだ、でも、なんで自分の娘を認識できないんだ?」
「それは……わからない。けど、あの日に妹の存在をお母さんとお父さんは忘れたんだ。だから……、もしかすると、認識阻害の術が掛かっている可能性もあるのかなって思ったんだ」
「……成程ね。分かったよ」
けど、どうしようもないかな。どうしたもんだろう?
「そのまま話すしかないかな~」
「そうだね」
「え、それでいいの? 二人とも混乱しない?」
「しょうがないよ~」
「まあ、そっか。じゃあそうしよう」
部屋に入ろうとすると、アミがまた引っ張って、
「私の事は伏せておいてね。まだ会えないし、この格好じゃあ、私だと分かってもらえないから」
「? ? ? まあ分かったよ」
そして、部屋に入ると、
「ホーネットさん、どうやら、あなたたちには、認識魔術が掛かっているみたいで、確認できない敵がいたみたいなんです」
「そ、そうなのか、相手は誰なんだ?」
「藍井 ホーネットって名乗ってました」
「ホーネット、同じ姓ね、いや、日本名っぽいから、名前かしら?」
「そこはわからないのですが、それでも、この子が関係しているのはたしかです」
「で、あ、えーっとその名前のホーネットには、やっぱり覚えれないわね、と私たちはどういう関係で?」
「親子らしいですよ」
「え、でもうちの子は、アミしか……」
「忘れているみたいです」
「そ、そんな、でも、たしかに記憶から抜け落ちていることがあるのが分かってしまった。なら信じるか」
「では、私たちは失礼しますね」
「ああ」
「ええ、また」
部屋の外に出て、食堂に戻ると、まだ、アミはいた。
「あ、終わったのかな? じゃあ、私の話も聞いてほしいんだけど、いいかな」
「うん、いいよ」
「なんでも~」
アミが深呼吸する。
「私と修行して!」
あら、綺麗なお辞儀。ってそうじゃない。
「うん~、いいよ~」
「あ、僕もいいよ、一緒に修行しよう」
こうして、僕たちは1か月修行することにした。
比翼のインスタントサモナー 月読雨月 @yaten666
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