6話 逃げた少女と悪魔との戦い
逃げた少女と悪魔との戦い
「何? あのあからさまな罠。又は取ってくださいって感じなのかな?」
箱の蓋を取りたい。そう思わせるような微妙にずれた蓋が置かれているね。
飯野さんにあっちの世界に行かせてもらおうとしていた子が、コッソリと上に登って行ったのが、能力で分かった。どうしてそんな所に行くんだろう? と考えていると、
「まだ開けちゃダメなんだよね」
「え、ええそのはずよ」
あれ、皆が、アホを見る目で、此方を見てきているよ。あ、僕話聞いてなかったのか。
「そういえば、君たちの目的は何なんだい?」
そういえば聞いてなかったなと思って、式たちに聞いてみる。
「私たちは、紀光 文に、太陽神を集めてくるように言われて、探しに来たのよ」
「あ、文さんの知り合いなんだね。僕たちはその文さんに、エルピスを集めるよう言われたんだ」
「そうなのね、でもそんなに強い人たちを集めて、どうするつもりなのかしら?」
「僕たちは、ある人を助けるためなんだけど……っと、完成したみたいだよ」
何が出来上がったのか、僕はわかってないけど、飯野さんがこっちに来たから何かが終わったことが分かった。
「忘れていた。そういえば、この箱窪みがあるだろう?」
「ええ、そうね。確かにあるわ」
「そこに、セクーンと呼ばれるアイテムをはめ込むと開くのだが、その方法以外だと、皐文の助けがいるんだったな。悪い、夜まで待ってもらって……」
「なんで、開かないのかしら」
「それが、魔力による施錠がされてあるんだ」
「それなら」
何か、苦無を取り出して、それを箱にぶつける。ん? 上のほうで、さっきの子と、上から来ていた、複数人が合流した? え、さっきの子が死んだっぽい? それで……あれ生き返った? 隣をふと見ると、光もなにか
変な物を感じ取っているみたいで、震えている。僕の人の位置を知る能力と同じで、光も、嘘を暴く能力で、嘘を感じ取っているという事なのかな?
「……奈波! 召喚だ!」
「え、あ、うん行くよ! 光」
「う、うん。分かったよ~」
危ない危ない、全然聞いてなかったけど、とりあえず、召喚だね。だってなんか悪そうな人がいっぱいいるからね。とりあえず風の魔術を出すよ。光は雷の魔術を使っているね。そしてそこに、サモンエッグを投げ込んだ。よし、召喚成功。サンダーバードとペガサスが4匹ずつ、レールガンとブーメランを一個ずつ召喚できたよ。
「いっくっよー!」
「お~!」
悪魔と言えども偽物なら、本物の幻獣には敵わないよね。サンダーバードが、悪魔をついばみ、ペガサスが吹き飛ばす。硬い鎧を着た敵は、光がレールガンで貫く。僕は、光が出してくれたブーメランで、飛行しているペガサスとサンダーバードが討ち漏らした敵を落としていく。ようしこれなら、勝てるかも!
「腹減ったな。よし、お前ら食べるわ」
「な、お頭! や、やめてくれぇ」
え、何。黒いやつが、周りの悪魔を食べ始めた! でも黒いやつも悪魔だよね? なんでそんな事を! その隙に式が何処からか(恐らく、さっき皐月が使っていた、機工っていうやつから)戦車を出してきて、砲撃したけど、あいつ食べるのをやめない!
「なんで、砲が通らないのよ!」
「なんか、食べた分だけ強くなってないかい?」
「そんな気が……」
「当たりっぽいよ。アレ、かなり強い!」
「戦闘狂の雛が言うなら間違いなさそうね」
やっぱり、六角形の機械に吸い込まれたから、機工から出た戦車なんだね。それにしても、敵から血の匂いすごくするよ。気持ち悪くなるなぁ。そして何より、あの骨でできたような大剣、めちゃくちゃ怖い!
「グッハッハ、お前ら、俺の飯になりに来たのか? 殊勝なこった、今から食べてやるから安心しなぁ!」
その言葉とともに大剣を横薙ぎにしてくる。式と皐月はしゃがんで、僕たちはジャンプして回避した。長すぎるよ、あの大剣!
「束になっても勝てるのかしら?」
「とりあえず、あの箱を再度開けるところからか」
そう言えば、箱が閉じているね。で、悪魔が前に立っているよ。
「確かに閉まっているわね。あいつが閉めたのかしら?」
「ああ、そうだろうな。あの中には最後に希望が残るって相場が決まっているんだ。だから、その希望を起こせばいいんだ」
ん? 皐月と式が何か以心伝心しているみたい。見合って頷いている。それを見た、雛も動き出す。
「じゃ、私たちで、箱を開けるわ」
「任せたよ。皐月! 式!」
「ええ。その間、相手を任せたわよ」
次に雛にもアイコンタクトを送って、雛も頷いて合図を送っている。
「じゃあ、行くわよ!」
「丸聞こえなんだよなぁ!」
やっぱり、悪魔は式たちを狙うよね。なら、あの悪魔を止めないと! 一度みんなが、大剣の範囲外に逃げて、接近をしようとするけど、式の前には虎型の炎が来ている。皐月の方は炎の巨大蠅、そして、僕たちは接近に成功したけど、大剣を僕が明透で、僕が投げたブーメランを拾った光が鍔迫り合いに持って行っている。
「まだまだ!」
式の不屈さがすごい! 後ろで、声が聞こえるよ。コッソリと雛が、敵の背後に回って、
「開いたよ!」
箱を開けた。その中からは、甲冑に身を包んだ武者が現れた。
「拙者を起こしたでござるな。ぐふぉ!」
え、一薙ぎで壁まで吹っ飛んで行ったよ! もしかして、このエルピス弱すぎ?
「まだまだ!」
けど、やる気はあるみたいだね。立ち上がったけど、刀を抜かずに突撃していったよ。あれ、今度は、大剣を回避したよ。あれ、でも火の巨大蝿に阻まれて、燃えちゃった。でもまだ立ち上がる? 丈夫なのが取りえなのかな?
「これぐらいで許しといてやる」
「あきらめる気!?」
「ガッハッハッハ。お前ごときが俺様にかなうはずないだろうが!」
「ん? いや、これぐらいで」
武者が刀を抜いて、戦いを挑みだした。でもまた飛ばされるんじゃ……! ああ、大剣を正面から受け止めたら、また飛ばされちゃう。そう思っていた時期が僕にもありました。つまり、飛ばされず。
「対等以上に戦える」
エルピスが、対等に戦っているよ。それどころか、悪魔が押されている? 悪魔が鍔迫り合いで、負けて、2度3度刃同士がぶつかると、大剣のほうがはじかれているよ! そして、4撃目で、大剣は横に引き落とされて、
「うわ、こっちに当たるところじゃないの!」
「ああ申し訳ござらぬ。だがこれで」
真っ二つに砕いた。その砕けた破片がこっちに飛んできたよ。凄く強いね。けど、それなら、なんで飛ばされたりしたんだろう?
「なかなかやるな! ガッハッハッハ! ならば、これはどうだ!」
「ねえ、あの悪魔なんで優位だと思っているの? 絶対不利じゃん。あの大剣破壊したのよ」
火の虎が24体、巨大蠅が大量に現れた。困ったな。これは、悪魔が優位だと思うのも無理はないね。
「行くわよ!機工展開」
「分かったよ、僕も戦うよ! 機工一部展開」
「あたしも行くよ! 機工装着!」
3人は機工を発動させて、戦っている。恐らく、皐月の能力で、蠅たちを地上に落として、雛と式で掃討してくれているから、僕たちも、
「僕たちも行くよ。光!」
「そうだね~。行こうよ。奈波ちゃん」
「「サモン!」」
よしこれで、人魚を出せた。その人魚が波を起こして、虎を退治してくれている。そして、光は、水のナイフで、虎を退治してくれているよ。でも、まだ、9匹虎が残ってしまっているね。
「あとは任せるでござる。現れろ尼子十勇士!」
柱の陰や、暗くて見えないところから、ぞろぞろと9人の武者の影法師が現れて、刀を構えている。
「戦闘開始でござる!」
虎と武者が戦い始めて、エルピスが悪魔と戦っている。やっぱり、武器を持っているかもっていないかの差は大きい。すぐに切り伏せた。
「なぜだ! なぜ俺様が負ける……」
「ふんっ、7度の苦難を乗り越えた拙者にお主など敵ではないでござる」
やっぱり、エルピスってすごいなぁ。ってそんなことを思っている場合じゃない! 柱の裏に、大量の『人』がいる?
「まだでござる。そこの柱の裏に潜むもの、今すぐ出てこい!」
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