12話 敵戦艦に突入
12話 敵戦艦に突入
水上では戦いが始まった。僕たちの味方の艦隊は、敵の進路を遮るように海を走っている。それに対して、敵は単縦陣。一列で縦に並び、進んでいた。そして僕たちの潜水艦はその一番後ろの船の真後ろに着けている。
「じゃあ、浮上するわよ。皆座っているわね?」
「奈波大丈夫だよ」
「光はOKだよ~」
「ヴィーナス、着席しているわ」
「サターンも大丈夫だ」
『長宗我部、って俺だけなんでこんな場所なんだ!』
「すまないが、魚雷の装填をお前に任せる。まあ、機械がほぼやってくれるし、そこに人員を割く必要はないかもなんだがな」
『じゃあなんでだ!』
「いや、席が足りなくてさ」
『はぁー、分かった。じゃあここで我慢しといてやる。魚雷のほうも何かあったら面倒見てやるさ』
「ああ頼むわよ。で、皆席に着いているのねじゃあ、浮上開始!」
その掛け声とともに潜水艦が上に向かって動き出した。というか、
「なんで、マーキュリーさんはヴィーナスさんの隣の台に座っているのかな? 危なくない?」
「いや、他に席がないからよ」
「せっかく、ヴィーナス様の隣の席なのに、なんで汝がそんな所に……」
「ほら、サターンさんも怒ってますし」
「けど、席がないんだったらしょうがないよね~」
「だが、ヴィーナス様と我の間に入るのは、普通なら万死に値するんだ」
「まあ、儂はどっちでもいいけど、そろそろ皆戦闘態勢に入りなさい、っと、敵に見つかったわよ!」
「敵は、私たちの味方の艦隊に気を取られていたはずだから、こっちに砲を向ける暇も、機雷もないはず、浮上するのはこの瞬間。逃せないわ」
「分かったわ! つまり今なら安全ってことね」
「そうよ。そろそろ浮上完了するから、光、奈波は、いつでも出れるようにしときなさい」
「へ? なんで?」
「あなたたちが、乗り込む作戦だからよ。ヴィーナスは、リソースのために必要。サターンは水上では基本役立たず」
「まあ島が有れば別なんだがな」
「私は、ついて行くけど、此処に置いていく水分身の操作に少し脳を使っているから、戦力としては弱い。つまり、あなたたちが作戦の要よ」
全然聞いてなかった。すごい責任重大だよ。
「わ、分かったよ。じゃあ乗り込むのは、僕と光とマーキュリーだね」
「ええ、そうよ。護衛宜しくね」
「うん!」
「よし! 何とか攻撃を開始される前に海上に出たわ。3人とも甲板に出て、飛び移る準備を!」
「わかったよ」
「りょ~か~い」
甲板に出ると、味方の艦隊の反対側に出ていることが確認できたよ。まあ少し離れているけど、でも、ペガサスなら全然飛んでいけるはず。そして、砲の回転も間に合っていない。高角砲と機銃だけがこちらを向いている様だけど、高さが合っていない。これなら、下のほうから飛んだら、狙えない! 魔術で発生させた風を風のサモンエッグに当て、ペガサスを召喚してっと、
「行くよ! 光、マーキュリーさん」
「OKだよ~」
「あ、私にもペガサス出して」
「あ、はい」
同じ要領で、ペガサスを召喚。3人で戦艦に乗り込んだ。
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