13話 艦上戦
13話 艦上戦
乗り込んで、敵船の乗組員に対峙すると、皆無気力な目をしていて、それでも、生き残るためなのかな、ナイフを構えていた。
「悪いが、生き残るためだ、死んでくれ」
やっぱりそうだね、そして構えたまま、こちらに突っ込んでくる。上段に構えていたナイフを、振り下ろしてきた。それに、金のサモンエッグをぶつけて、金羊を召喚。無力化するために、
「絡みついて」
と命令。男は絡まれて動けなくなった。
「わぁ! こ、殺さないでくれ! 僕たちはあいつに言われて仕方なく!」
「君たち、囚人なんだよね。それなら、大なり小なり罪を犯しているんだよね?」
「それは、違う。僕は、いや僕たちは、そこまでの罪を犯していない! ただ、子供を育てただけなんだ!」
「そんなことで罪になるはずないよ」
「ううん~。その人の言っていることは本当だよ~。この世界では~、悪魔憑きの子を育てるのは大罪なんだ~。そして~、嘘を言っていないって、あたしの能力が告げているよ~」
「え、じゃあ、この人たちは、僕的には罪を犯していない判定なんだけど、そして、兵士でもないなら、殺しちゃだめだね」
「そうだね~。だから、親玉、看守だけ倒すよ~。おそらく、艦橋にいるだろうから、行くよ~」
「うん」
「それはいいんだけど、相手は武器を持っているのよ。そして襲ってくる。それだけで、殺す理由にはなるわよ」
あー確かに、マーキュリーさんのいう事も一理ありそう。でも、
「そうなんだろうけど、僕は嫌かな。もし相手のほうが強いとかなったら、それも選択肢に入れないといけないけど、でも今は、殺さない選択肢を取りたいし」
「……分かったわよ。でも危なくなったら、殺してでも生き残りなさいね」
「うん」
「分かったよ~」
甲板をペガサスが走りだす。襲ってくる人もいるけど、皆持っているのはナイフ。あれ? この世界は、最良のはずだから、魔術とかも使ってくると思ったんだけどな。でも、これなら、まだ安全。サモンエッグから風鳥や、サラマンダー、ナイフを投げてきたら、それに金のサモンエッグをぶつけて、金羊を召喚しつつ突破していく。僕と、光の間にマーキュリーは入り、ちまちまと水をぶつけてくれている。そして、艦橋に着いた。
「飛んでいくわよ!」
「うん」
垂直上昇を開始する。そして、ガラス部分に到着すると、光が、手を鋼鉄化、巨大化させて、思いっきり殴った。簡単に吹き飛ぶガラスって、そんなに強いの? 光のパンチ。そして侵入、皆うつ伏せになっていて、侵入は楽だった。しかし、
「貴様ら、何者だーい? お子様が来ていい場所じゃないのはわかっている……ってお前は、マーキュリー? ちょうどいいね~。吾輩にすべてを寄越しなさーい!」
そう言うと、立ち上がった博士のような白衣を着た男が銃を取り出した。そして、マーキュリーさんに向かって構えた。
「さあ、さあ、さあ! 今すぐ、寄越しなさーい!」
「渡すものですか!」
「そうですか。では、此処でお死になさーい!」
僕たちは白衣の男とマーキュリーの間に割って入る。怖いけど立ち向かう時だと言い聞かせて。
「さっきも言ったでしょー。お子様は帰りなさーい」
「僕たちはマーキュリーさんの護衛だよ。それより、君も看守に従わされているのかな?」
違うだろう。そう思いながら聞く。だって銃持っているし。銃を持っているって事は、遠距離からの攻撃ができる。という事は、上の地位、または、看守だろう。囚人にナイフを持たせているなら、それぐらいの武装はしているだろう。そして、遠くから囚人を殺すために持つだろうし、囚人に持たせたら、逆に殺される可能性があるから持たせるわけがない。
「吾輩が囚人に見えるか? 見えたんだよねー。じゃあ死ね!」
引き金に手をかけたところで、光の手が鋼鉄化、巨大化。僕の前に出てくれる。そして、男は引き金を引いた。弾は鋼鉄の手に跳ね返された。
「くっ!」
「このまま~、捕まえて、握りつぶすよ~!」
光は手をそのまま前に出して、博士風の男を捕まえた。
「ま、まて、吾輩を殺したら、囚人共の首輪が爆発して、この船ごと沈むぞ!」
「え、ど、どうしよう?」
「いや、そんな大きな爆発はしないわよ。だって爆発なんてしたら接近して殺そうとしてきた囚人がいた場合、自身が爆発に巻き込まれてしまうもの」
「あ、そっか。じゃあ、方法は、レーザーによる斬首か、首を焼き切る程度の爆発、又は毒って所かな?」
「あとは電気ショックだね~」
「自分で言っていおいてなんだけど、かなり怖いね!」
「此方も話が付いたわ。二人とも、その馬鹿を離してあげなさい」
「え、なんで~。こいつ握り潰したほうが~」
「まあまあ、もしそいつの言っていることが、囚人が死ぬのが本当だとしたら?」
「あ~、そうだね~。たしかにそれは本当みたい~。でも~、こいつ銃持っているよ~?」
そう、銃を持っている。アレは簡単に人の命を奪える、本当に危ないものだ。そんなものを持っている敵を開放するわけにはいかない。
「まあそこも私を信じなさい。というか、ヴィーナスを信じなさい」
「え、それって」
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