14話 決着と戦後処理と次の旅
決着と戦後処理と次の旅
周りに倒れている人たちの首輪、なんか溶け出していっているみたいだね。
「ど、どういう事? まるで鉄を操っているように見えるけど、ていうか、爆発タイプじゃなくてよかったね」
「うん~。爆発の所は嘘だって反応出てたからね~」
いや知っているなら、教えてよ。という言葉を呑み込みながら、
「じゃあ、解放しても問題ないんだね、光、お願い」
「分かったよ~。じゃあ~放すよ」
捕まり肺を圧迫されていたようで、
「げほっ、はあはあ」
咳の後、息を整えているみたい。そこに、マーキュリーさんは喉に軍刀を突きつけて、
「ひぃぃ!」
「で、あなたは、私にこの船たちを返すつもりはあるのかしら?」
「あ、ああ返す。返すから! い命だけーは!」
「分かったわ。ああ、その言葉だけで、私の元には帰ってきたので安心しなさい」
と軍刀を後ろを向きつつ鞘に納めようとした。すると男は、服の胸ポケットから注射器を取り出して、あ、あの注射器を落とさないと! あのまま、首を刺す気だ!
「やっぱり、生かしてあげれないわね」
そう言うと、マーキュリーさんはそのまま敵の首を落とした。
「え、あ、でも、マーキュリーさんを殺そうとしたから、殺したってことだよね」
「そうよ。じゃあ、この艦隊に乗っている囚人たちと会話するわよ」
「うん」
「分かったよ~」
そして僕たちは乗っていた人たちと会話して、皆帰る事ができない事実を知った。帰ったところで、また捕まるだろうし、今度は脱獄の罪に問われることも。そこでマーキュリーさんが、皆を集め、
「皆は私たちが面倒みる! もちろん、この船で仕事はしてもらうけど、自由時間あり、拘束はなし、逃げたければ逃げていい。どうかしら」
「え、ええ。私たちはあなたたちに付いて行くわ。もうこんな生活まっぴらだもの」
「俺もだ!」
とみんな了承してくれた。
数日、戦後の船の損傷具合の確認や、皆のメンタルケアなどに時間を取られ、少し落ち着いた夜ご飯の時、
「そういえば、なんで船1隻ずつに看守がいなかったんだろう?」
皆で、カレーを食べているとふと思い出して聞いてみた。
「え、私たちのいた船にはいたわよ」
「俺の所もだ」
「私の所もよ」
「誰か倒したのかな?」
皆が首を横に振る。あれ、
「じゃあ、倒してないのね」
とヴィーナスさんが隣で少し悩みながら確認する。
「となると、逃げたのかな?」
「まあ、儂が機械類は破壊したから、皆が殺されることはないでしょうけど。となると、移動系の能力持ちがいたんでしょうね」
「それはそうと~艦橋にあった、死体はだれが片付けたの~?」
これも誰もが首を横に振った。
「どういう事? 死体を持って行ったのかしら?」
「皆、研究者だったから、何かの研究に使うのかも知れませんね」
と元囚人の一人が言う。でも、何に使うんだろう。そんな事を考えていると、サターンさんが来て、
「ヴィーナス様、連絡でございます」
と通信機をヴィーナスさんに渡した。
「ありがとう。っと飯野からね」
と通信を開始。
「ええ、儂よ。フムフム、成程。じゃあ二人を寄越せばいいのかしら? ええ、分かったわ」
通信終了したみたい。で、こちらに振り返って、
「次は、両立世界よ。と言っても私たちは行かないけど、行くのは、光、奈波あなたたちに任せるわ」
「え」
「あたしたち二人だけ?」
「いや、あっちには、飯野もいるから大丈夫よ」
「「うん」」
次の目的が決まった。両立世界、どんな世界かは知らない。でも、光と一緒なら何とかなる。そんな気がしている。
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