第4話 公園で
公園で
よし、時間通りに公園に着いた。それにしても、あの人たちは何だったんだろう。けど、飯野さんたちの事をよく思っている人がいてうれしいな。っと、そんな事より、師匠だ、師匠に稽古をつけてもらわないと。
「来たよ、師匠。今日もよろしくね」
軍服を身にまとった青年、飯野師匠は、僕を見て、舌打ちをした。
「師匠、なんで今舌打ちしたの!」
「いや、厄介な奴が来たなと思っただけだ」
「僕厄介!?」
「とりあえず破壊しておこう」
そう言うと、僕の頭を目掛けて手をかざした。
「よしこれでいいだろう。で、奈波。どうした?」
「あれ、僕のことじゃなかったんだ。でもそれだったら何をしたんだい?」
「君の頭に、偵察用の使い魔が乗っていたから魔弾を当てただけだ」
「え、そんなの感知できなかったけど」
僕だって魔術の心得はある。だから、この世界の魔術師のレベルなら多分わかると思うんだけど。
「あの方の魔術は分からんだろうさ。例え一流の魔術師でもな。奈波、ヴィーナス・エルピスと名乗る人物に会わなかったか?」
たしか、ベランダから入ってきた二人組の、黒髪で黄色っぽい和服の女性がそう名乗っていたような。
「うん、会ったよ」
「自分を探してなかったか? 彼女は相性が悪いから苦手なんだ」
「ううん、貴方の妹の話ならされたけど、師匠の話は出なかったかな。で、今日はどんな修行かな?」
「あー今日は修行では……」
そこまで言うと、師匠は、金魚のように口をパクパクさせて、声を発しなくなり、息も苦しそうにしている。
「ど、どうしたのかな? 師匠。何でこっちを睨んでいるの?」
腰に付けている、ナイフホルダーからナイフ取り出したし! 何事? これって此方に向かって投げるんじゃ、そう考えると、このまま立ってたら危ないんじゃ!
「うわぁあ!」
僕は、この人から習った障壁作成を作りつつ、その場から、左側に飛び退く。受け身を取ったから、手が痛いだけで済んだけど、
「何するんだよ!」
しかし、その言葉には返事がなく、
「久しぶりね。
「周りに風の壁を作って、岩の足枷を作り、逃げられなくするとは。やはり、無音透明の希望。ヴィーナス・エルピス。やはりかなわないな。ああ確かに自爆した人間はいた。だが自分ではない。あれは、紀光シリーズの一人、閏だ。いわゆる影武者だ」
いつの間にか、師匠の後ろに立っていた、ヴィーナスさんは師匠の首に刀の刃を当てており、師匠は両手を上げて拘束されていた。あの師匠を一瞬でしかも、罠にかからず、拘束するなんて、どんな人なんだよ!
「それで、目的はなんだ? ヴィーナス。自分が何をした?」
「いや、逃げようとしたのと攻撃もしてきたからつい。というのと、あの後から姿が見えない、儂の元部下がどこに行ったのかという話を聞きに来たのよ。あの後お主は追いかけたのでしょう?」
「あ、貴方は、あの時の嘘つきの人~! かしら~? もう12年前になるからわからないわ~」
息の一つも切らさないで、武備さんが来た。すごいな、多分僕の家から走ってきたんだよね。あれ? 武備さんも、師匠と面識あるの?
「嘘つきの人ってことは、ああ、あの時の妹が救った子か。なるほど……なら少し情報交換するか」
やっとヴィーナスさんは刀を収め、
「あら、話が分かるわね。じゃあまず、儂の元部下のたか……いや、サターンは何処にいるのかしら?」
「ああ、あの方なら、海の中」
あ、ヴィーナスさんまた刀抜いた。
「ま、まて、海の中の神殿に自分から封印されたんだ!」
「成程ね、なら死んではいないのね。安心したわ」
あ、また納刀した。どんだけせっかちなんだろう?
「だが、危険な状態だ。仲間の情報によると、最良の世界の軍に場所がばれたそうだ。そこに軍を派遣するだろう。だから、今日は此奴とそこに行って、救出する予定だったのだが」
と僕の肩に手を置く、へ、なんで僕の肩に?
「なら儂らも行っていいかしら? 丁度、光の修行になりそうだし。それにサターンに会うのも、この世界に来た理由だからね」
「ああ、解った。では今すぐ行こう」
なんか僕も行く話だこれ。
「あたしたちが話しに加わる前に行く話になったね」
「うん」
「それにしても、この嘘つきの人が師匠ってことは、犬飼さんも、戦えるの~?」
目を輝かせ、武備さんが詰め寄る。
「うん、何度か、魔女狩りで来た人を倒したこともあるよ。その度に師匠が、ごまかしてくれたんだけどね」
「うん、うん! じゃあ戦えるんだね! あたしたちは貴女のような人を探していたんだよ~。良ければ、あたしたちと一緒に飯野さんたちを助ける旅に出ようよ~!」
「う、うん。考えとく」
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