13話 姉貴
姉貴
「やっと、着いたよ! 僕たちは、式を追いかけるよ。君たちはどうするんだい」
「僕たちは、魔法少女たちと合流するよ」
「分かったよ。武運を祈るよ」
「そちらこそ」
空を飛んで魔法少女たちに合流しようと、風鳥の座標へ向かって飛んでいると、
「雷雲?」
雲が分厚く重なっている。その下に、風鳥と魔法少女がいるのが分かる。雲の下に入ると、魔法少女たちが敵と戦っていた。
「ああもう! なんでここだけ雷が鳴っているのですか! 雨は降っていないから! まだ戦いやすいですが!」
何か土が盛り上がっていて、その上に鉄塔があるのが分かる。そこに雷が落ちているけど、敵もうまく行動していて、落ちて来た氷を操作して、落雷の位置を操作しているみたい。なので5人は鉄塔のギリギリ電流が当たるか当たらない位置にいて逃げ回っているみたい。
「今助けるよ!」
とりあえず、風のサモンエッグを放り投げ、風鳥を召喚。それらに攻撃命令を送り、僕も接近する。風鳥たちは、すぐ雷でかき消されてしまったけど、僕に当たりそうなのは、雷のサモンエッグで雷犬の召喚素材にした。
「くそっ、俺に接近してくるとは、かなり戦いなれているんだな」
「うん、普通に、その戦闘スタイルなら、接近戦は苦手だよね」
そう、接近さえしてしまえば、僕に対して雷は落とせないよね。そう考えていると、敵は両手をあげて、
「降参だ。 接近されては、勝ち目がない。煮るなり焼くなり好きにしろ」
「いや、そこまでしないよ。とりあえず、円卓機工から抜けてくれれば、今回は見逃すよ」
「いや、そうはいかない」
「え、どうしてだい?」
「俺たちは、機工を使って平和な世界を作るんだ。だから、だから!」
「けど、君たちが戦争するから、世界は混乱しているんだよ!」
思わず胸ぐらを掴んでしまう。
「それでも、俺たちがやらないと! 不平等な世界のままだ! そんなの許せない」
「不平等なんて当たり前だよ。頑張ったら頑張っただけの報酬がもらえる。そうしないと人間、ひいては国は成長しない!」
「それでも、どうしようもない不平等はある! だからこそこの力で皆が均等に力を持てば、不平等はなくなる!」
「そんな訳ないよ! 機工自体強さの違いが色々あるでしょ! それをどう平等にするつもりなんだ!」
「そのために、ゴト様や太陽神、エルピスの力を借りるんだ! あの方たちに選定してもらう予定なんだ! 職も、武力も!」
「単に上位存在に頼る世界じゃないか! それじゃあ、成長を望めないよ! 能力にあった職だけがすべてじゃないよ! 誰にでも好きな夢を見れた方がいいに決まっている!」
「不平等で夢を見る暇もない者もいるんだ! だから、だから!」
「なら、その不平等だけを是正するべきだよ! すべての不平等を是正しようなんて、無理だよ! 最初の話に戻るけど、そんな事したら、人類が成長しなくなる! それに、僕の故郷を焼いたこと、どう説明するんだい。君たちがやった事はただただ怨みの火をつけるだけだよ!」
「あ、ああ、ああああああああ! なら、俺はどうすればいいんだ! どうすれば、どうすればこの世界を変えられるんだ! やはりみんなの言う通り、世界を破壊して、新しい世界を作るしかないのか!」
「破壊はダメだよ! 君たちのやっていることは怨嗟の円環を作っているだけだよ。だから、此処からやり直そ?」
「なんで、そんな言葉が出てくる。俺は、俺はお前の住んでいた町を焼いたんだろ? なんでそんな人間にやさしい言葉をかけれるんだ」
そりゃ憎い、たしかに憎い、殺したいほど憎い、でもさ、そんな事したら、こいつらと同じになる。その一心で説得しているんだ。と言いかけて、思い留まった。そして、本心の次、偽心でもないぐらいの言葉を述べる。
「いや、仕返しはしたいよ。でもさ、それって、怨みを怨みで返すだけだよね。なら、断ち切れそうな此処で断ち切るのが一番じゃないかなって思ったんだ」
まあ、親族友達が死んでないから吐ける言葉なんだけど、
「あ、姉貴って呼んでいいか?」
「え、いやだけど」
そんなこんなで、舎弟が出来ました。
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