10話 潜水艦
10話 潜水艦
「ここは、潜水艦の中かな?」
「そうよ。今潜水中。耳がキーンとなるから、耳抜きしなさい」
「わかった~」
僕たちは、鼻をつまみ、鼻に空気を送る。あ、耳が戻ったよ。
「で、これからどうするのかな?」
「まずは、奪われた船に乗り込むわよ。そして、指揮を執っている人物から、指揮権を切り離すわ。切り離すのは私がやるから、あなたたちは、そこまでの道を開いて頂戴」
「分かったけどさ、その船に乗り込むのはどうするんだい?」
「近くで浮上するまでよ」
沈黙、その後皆が口をそろえて。
「アホなの?」
そりゃそうだ。あほだと思う。だっていきなり浮上してきた船を撃たないわけがない。それに、浮上中バレなかったとしても、浮上した瞬間にバレる。
「ならば、ばれないように、ドンパチしててもらえばいいのよ」
「は?」
「私の艦隊を相手の目の前に召喚、そして、召喚した艦隊で攻撃。その隙に浮上よ。それならおそらく見つからない」
「味方の砲撃に当たる可能性は?」
そのサターンの言葉にマーキュリーが首を振る。
「私が、動かしているから、攻撃位置はわかっているわ。そして、この潜水艦と私が操っている艦隊で相手を挟む。だから、この船に当たる前に先に、敵の軍艦に当たるってわけ」
「それでも怖いよ。でも原理はわかったよ」
「あたしも理解したよ~」
「じゃあ、この作戦でいくかしら。補給は儂に任せてね」
ヴィーナスさんがそういうけど、補給ってどうするんだろう? ワームホールで、何処かから運んでくるのかな? 少し悩んでいると、光が、
「ヴィーナスさんは~変換能力を持っているんだ~。金を他のリソースに変えることができるんだよ~まあ、リソースで作った武器は本人が使えないっていうデメリット付きだけどね~」」
とこっそり教えてくれた。
「リソースって何?」
「う~ん、資源の事なんだけど、例えばこの場合だと~、魚雷、味方の船の砲弾、燃料かな~?」
「へー、ってじゃあ、ヴィーナスさんとマーキュリーさんって、能力的には相性すごくいいよね」
「まあそうだね~」
「で、あなたたち聴いていたかしら? 聴いてなかったわよね?」
「「ご、ごめんなさい」」
マーキュリーさんに怒られた。いや、ちゃんと必要な話していたつもりなんだけどね。
「まあ、いいわ。じゃあ艦隊を召喚するわよ。出なさい。扶桑型、伊勢型!」
しかし何も起きなかった。
「ね、ねえ、失敗した?」
「しっ、黙ってて! 今指令を出しているんだから」
「へ?」
マーキュリーは目をつぶり、何か念じている。
「え、てことは、もう召喚されているのかな?」
僕がそう言うと、サターンさんが手招きをした。そこにあったのは、上へとつながる筒で、双眼鏡のような物が下に付いている。
「これって?」
「潜望鏡だ。これで、外の様子を見るんだ」
「へー、見ていいのかな?」
「いいが、攻撃がこちらに向かってきたら、知らせるんだぞ」
「うん」
潜望鏡をのぞき込むと、そこには、島があった。
「ねえ、前方に島が有るんだけど、このまま行くと、ぶつかるよ!」
「あ、もうそんな距離ね。サターン、潜望鏡を格納して、ヴィーナスはソナーを確認。ヘルメットと、小娘二人は、椅子に座ってて」
「分かったよ」
「了解」
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