3話 勝てばいいんだ

勝てばいいんだ




「監視カメラが上の方から順に破壊されています」


「し、侵入者か!? わ、儂の所には、こんだろうな!」


「大丈夫です。今から護送する囚人共を狙っているのでしょう。なのでここには来ないでしょう。マーキュリー狙いでない限りですが」


「な、なら、大丈夫だな! ガッハッハッハ」




ビルの上から監視カメラと監視カメラ付きドローンを破壊していると、スピーカーから、ピンポンパンポーンと鳴った後、


「裁判の為に護送する囚人、ネット・ホーネット、ワーク・ホーネット。今日、刑を執行予定の……」


業務連絡みたいだ。なら関係ないね。人の名前だけに耳を傾けつつ、次々に関しカメラを破壊していく。もう、全部破壊すると、光たちに送ったので、行く道を送らずに、少しづつ、牢獄塔に近づいていく。行っていい範囲だけは送っているので、見つかる心配もない。そして僕は今、刀を抜いている。だから僕は見えないはずだ。そう考え、どんどん視線を気にせず破壊していく。


「お、おい、お前! さっきから監視カメラを破壊しまくって、何のつもりだ! って、お前は、昨日、皆を殺した奴か! 此処であったが100年目! 此処の牢獄に投獄してやる!」


「いや初めて会ったのが昨日だから! ああ、昨日の端っこで怯えていた子か。ってなんで僕が見えるんだい?」


「僕には見えないものが見えるんだ。生まれつきね!」


その言葉とともに槍を突き刺そうと、前に突いてくる。僕はそれをすんでの所で回避に成功。


「ちょっと、危ないじゃないか!」


「それは、そうだろう! お前は敵なのだから、倒さなくてはならない!」


「いや、話し合いで解決しようよ!」


槍の攻撃を回避しつつ、何とか話し合いをしようと頑張ってみる。


「僕は、ここの警備に左遷されたんだ。昨日あの戦いが終わった後、ここで休養するようにって言われてしまったんだ! だからお前を倒して、ここで手柄を立てるんだ!」


「それなら、休養しておいてよ!」


「だから、休んでいる暇なんてないんだ! 侵入者を倒して、手柄を立ててあの部隊に戻るんだ!」


「あ、侵入者ってこともばれているんだ」


「問答無用! ここで倒す!」


ああ、もう話通じない! それにイライラしてきた! こっちが攻撃してないのに、向こうだけ攻撃してきて! もういい攻撃する!


「この分からず屋! そんなに戦闘が好みなら、僕も戦ってあげるよ!」


刀を構えなおし、間合いを取る。けど、いいことを思いついた。これなら、相手の鼻を明かせる。刀を振り上げつつ、そこで毒の泡を生成する魔術を使い、毒の泡を作成、毒のサモンエッグを投げて、それにぶつけると、毒蜘蛛を召喚。その50㎝ぐらいありそうな蜘蛛は糸を吐き、敵の男の動きを止める。


「な、ズルいぞ! 正々堂々と戦え!」


「ヤダよ。正々堂々戦うなんて、今時戦闘狂か、騎士道バカしかいないよ」


「騎士道の何が悪い!」


「悪いとは言わないけど、このご時世、勝てば官軍だよ」


「くっ! くそー!」


そんな言葉を後ろに僕はその場を離れ、今度は一直線に塔への道にある監視カメラを破壊した。そして、皆と合流して、鞘に刀を戻す。


「あ、奈波。少しここでやりたいことがあるから~、少し明透を貸して~」


「うん、いいよ。で、何をするんだい?」


「知り合いがいるから、少し会ってくるよ~」

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