第9話 かく乱
かく乱
「大丈夫~? あの火球、火力高くて~、水じゃあ消せそうにないね~」
思わず目をつぶってしまった、死んだんだろうなー。とか考えていたのに、武備さんの声が聞こえる。瞼を開けると、鉄の塊でできた巨大な手が、私を守ってくれていた。ペガサスも回避しようとしてくれていたようで、急上昇を開始した。
「ペガサスありがとう。でも少し遅かったね。それに、武備さんありがとう。このゴーレムの腕、さっき武備さんが作ってたものだよね?」
そうさっき武備さんが作ってたゴーレムの左手だった。それが僕の前にあって守ってくれていた。って、武備さんの後ろの方から、武備さんに向かって、弓を引き絞っている敵兵がいる! 何とかしないと! 水のサモンエッグは全部使ってしまってまだ戻ってきてないし、火はすぐ消えちゃうし、何か使えるものは……そうだ!
「ごめん、武備さん。ゴーレムの左手使うよ!」
ゴーレムの左手に金のサモンエッグを投げて、それがそのまま武備さんの後ろへと落ちる。床に着く前に召喚が開始され、金の羊が現れた。兵士はその羊に驚いて、矢を放った。しかし、いくら魔術で強化されていても、魔術生物にの体を貫通することはできず、羊の毛の中に矢は吸い込まれただけだった。
「武備さん! これ渡しとくね」
木のサモンエッグを武備さん目掛けて投げる。それをうまくキャッチしてくれて、
「ありがとう! これで、防御すればいいのね~」
敵は連携を取りつつこちらの後ろに回り込もうとしているようで、武備さんの視界に入らない場所である、柱の裏に、一人いるのが自分の能力で分かる。だから、
「武備さん、4時の方向にある、柱の後ろ!」
「りょうか~い」
武備さんは振り返り、そちらの方向を見つめると、素早く、柱の後ろへと体を移動させた。確かにそちらの方向には誰もいない。大丈夫だと思う。そう判断した僕は、鬼を見る。今は、敵の半数が戦っているようで、ヴィーナスさんもそちらにいる。大丈夫そうだ。よし、それなら、僕は兵士を狙おう。戻ってきた、水のサモンエッグを落とし、水魚を召喚して、誰も後ろを取ってない柱の裏に隠れ、ペガサスから降りる。サモンエッグで召喚をしたら場所はバレるだろうけど、しょうがない。最初の一手は読まれないはずだ。
「くそ、またこの魚か! ぐぎゃあ!」
「どうした! 0346番って、こっちにも魚が!」
よしよし、混乱している。そろそろこっちバレるよね? 移動しようっと。ペガサスに乗り違う柱の裏に陣取ってから、周りを確認。ヴィーナスさんは、機械の破片で敵の矢から身を守りながら、鬼を拘束しようとしている。武備さんはさっきの狙撃しようとしていた敵の頭を鷲掴みにして恐らく金属化した手から、炎が出ているように見える。なら僕は、兵士を倒していけばいいかな? じゃあ、風を起こして、渦巻かせ、そこに、風のサモンエッグを投げ込む。ペガサスを十頭召喚してかく乱するt前に皆、バラバラにそして、敵の矢が当たらないように、飛び回ってもらう。その隙をついて、いつの間にか、木の盾を持っている、武備さんが、一人、また一人と倒していく。僕も負けじと、こそこそと水魚をだして、攻撃させる。そして、兵士たちは鬼に潰され、武備さんに焼かれ、鬼の炎に焼かれ、水魚に噛まれて一人また一人と倒れていく。
「よし、後は、あそこで震えている兵士と、鬼だけだね!」
「そうだね~。まず鬼かな?」
3人で、鬼を囲む、それでも、鬼は恐れることなく、というかこの隊格差で恐れるわけがなく、火の球を投げつけてきた。
「僕に任せて!」
それだけ言うと、僕は前に出て、火のサモンエッグを投げる。火のサモンエッグと火の球がぶつかり、サラマンダーが現れたが、下の水によって消火され、消えてしまった。
「おとなしく消されてよ!」
鬼がキレれているけど、おとなしく消される道理なんてない! 僕は刀を構え、斬りかかろうと、
「三人ともストップだ!」
「アミ! 君もだよ」
そんな声が上から聞こえてきた。見上げると、ほぼ落ちてきたであろうスピードで飯野さんと忍びの女の子が抱えられて、降ってきた。そのまま着地、スピードを殺してうまく着地したようだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます