13話 共同戦線

共同戦線




「助かったよ。ありがとう」


皐文が頭を下げている! 何事?


「いいわよ。貴女たちのおかげで、助けが間に合ったんだし」


え、というかなんでここに皐文がいるの? 今の会話から察すると、ここで皐文も戦ってたみたいだけど……。


「それより、珠樹さんに合わせてよ~!」


光? いきなり何を? と思ったけど、少し黙って見ていようかな?


「それなんだけど、御免! 珠樹をこっちの世界に来てもらうには、やっぱり、エルピスの助けが必要なんだ」


「成程、何もない世界に入れられたのでござるな。ならば、サンを除いたすべてのエルピスがそろえば、元に戻すことができるでござるな」


ムーンの察しが良すぎるよ。でも僕たちが向こうの世界に行くのはどうなんだろう? そして、アミがムーンの事をじっと見ているね。誰だろう? って感じかな? それに気づいたムーンが、


「拙者はムーン・エルピスでござる。宜しくお頼み申す」

 

「私は、アミ、アミ・ホーネットよ。よろしく」


挨拶は済んだみたい。ならさっきの疑問を、


「じゃあ話を戻すけど、私たちが、そっちの世界に行くっていうのは?」


ぶつけてみた。


「良いのだけれども、でもそれだと、あっちの世界にいる人全員、後2年ぐらいかしら? で消えるわよ」


マーキュリーも来たんだ。というかそんな話聞いたことなかった!


「え、そうなのかい? けど、確かにあり得るのか」


皐文も知らないことだったんだ! じゃあ急がないと!


「ちょ、どういう事なのかな、もしかして私たちも消える可能性があるって事?」


アミが驚いている。え、って事は、アミもあっちの世界の住人って事?


「あそこの世界は、消去前のデータが集まる場所なのよ。だから、定期的にデータを消されるのよ」


「じゃ、じゃあ僕たち頑張らないといけないんだ!」


「そして、紀光も、メインサーバーともいえる神奈は、何もない世界にいるんだ」


「他の紀光は?」


紀光って確か、神奈とか、文たちの事だよね? 式たちは紀光を探している?


「生きていて、敵でないのは、陽、夜永、文、弥生、令華だね。後は全滅か、ゴトについて、消息不明かだね。まあ令華は少し疑わしい動きをしているから要注意だね」


すると、皐月が顔を真っ青にして、


「ちょっと待って、希和は、希和は死んでいるのかい?」


「最後のログまで確認してないから分からないけど、多分死んでると思う」


「そんな!」


皐月が泣きくずれた。希和って人がとても大切だったみたいだね。それは辛いだろうな……。


「この流れで悪いんだが、自分の話を聞いてくれ。まずこれからどうするかだ。自分は、できれば機械世界の実権を握ったという、円卓機工を討伐したい」


「何でそう思うのよ」


式は少しイライラしているみたいだね、まあ気持ちはわかるかも? でも飯野さんの言葉も解る。あいつらは許せない。でも、僕たちに何ができるんだろう?


「簡単な話だ。あいつらは、エルピスと太陽神だからだ。だが今戦っても勝てる見込みは少ない。だから、丁度一か月、一か月後に此処にいる皆で攻め込もう」


「うん、僕はいいよ。師匠の事だから、何か考えがあるんだよね」


少し不安だけど、師匠ならいい考えがあると思うんだ。


「ああ、未来演算機が出していた結果によると、その時になると、総力を上げて、魔法世界と戦争を始める。そこが狙いめだな」


「成程、その兵が少ない隙に、攻撃するのね。で、戻ってきたところをどうするのよ?」


「そこは、奈波君たちの出番だ。姿を隠して、周りの敵を暗殺、ショートカットを使って、接近捕縛して逃げる。それでいいと思うがどうだ?」


「そんな作戦で行けるのかしら?」


「いや、作戦は今から考える。未来演算機と、紀光と話し合ってな」


「乗ってやろうじゃない。で私たちは一か月の間に私は、太陽神を一人仲間にしておくわ」


「なら、最良世界の太陽神を仲間にしておいてくれ。ただ、最良世界は、15日後に攻められる。だから、時間制限付きになるな」


「いいわよ。頑張ってやって見せるわ」


「で、皐文は参戦するとして、君はどうする?」


師匠は、アミに聞く。彼女は戦うんだと思うけど、意識を聞いときたいのかな?


「私は参戦するよ。恨みもあるし、それに、私は生きたい」


「わかった。では、次は一か月後だ」


皐文は消えた、多分転移したんだと思う。その場に紙を残して。

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