作麼生、説破


「いらっしゃいませ、ジークレット様。お待ちしておりました」

「ごきげんよう、ヴィジリオ様」


 今日の私は外行きのジータちゃんである。濃紺のワンピースに革のポシェット、いつも脇に抱えている画板も今日はお留守番だ。

 黄土色の髪の毛をびしっとオールバックにまとめ、質の良い生地で仕立てた服を身にまとう店主、ヴィジリオ。セルモンドでもっとも大きなジュエリーショップを営む傍ら、宝石彫刻師としても名高い。ちなみに、探検家組合に所属する宝石ハンターの妹を持つ。


 店内のガラスケースの中に鎮座するのは、美しくカットされた宝石とアクセサリーたち。貴族や富裕層御用達の宝石店に薄汚れた格好で足を運ぶわけにはいかない。

 カウンターの向こう側で営業スマイルを浮かべるヴィジリオに近づくと、パーテーションの裏から人の声が聞こえた。どうやらご婦人との商談が行われているらしい。

 通常のアクセサリーであればこのカウンターで売買するが、常連客や高額な商談はパーテーションの裏に通され、丁寧な接客を受ける。かくいう私も、早々にパーテーション裏の仲間入りを果たした。


「どうぞ、こちらへ」


 ありがとう存じます、と頷いて、ご婦人がいるパーテーションとは離れた位置の応接スペースに案内される。腰かけると同時に、ローテーブルに紅茶のカップが置かれた。お茶請け付きの好待遇に、背中がぞわぞわした。甘味が貴重な国だ。このひと口サイズの菓子ひとつで、ここの安いイヤリングがふたつ買えてしまう。

 高級ジュエリーショップなんて、前世でも数えるほどしか入ったことがないのだ。何度来ても慣れるわけがない。うぅ、クッキーうまい……


「さっそくご覧になりますか?」

「はい、お願いいたします」


 向かいに座ったヴィジリオが近くに立っていた少年に小声で囁くと、足音を立てずに下がっていった。この店には何名もの年若い少年少女が店員として勤めている。宝石商候補なのか、宝石彫刻師候補なのかは分からないが、彼らがヴィジリオに師事する見習いであることは間違いない。

 なかでも、先ほど下がっていった少年は有望株らしく、来店するたびに顔を合わせている。ヴィジリオから直接指示を出されることも多く、もうしばらくしたらひとりで接客を任されるようになるのだろう。


「お待たせいたしました」

「うん、ご苦労。下がってください」


 胸に手を当て無言で礼をすると、見習の彼は忍者かと見紛うほどの身のこなしで壁際に沈黙した。

 白い手袋をはめ、ヴィジリオがトレーにかかった布を取り払う。現れたのは淡いイエローの台座に置かれた、紫の光を散りばめた石。カットの施されていない、素のままの石だ。


「こちらがお約束の紫炎石しえんせきにございます。どうぞ、手に取ってご覧くださいませ」

「ありがとう存じます」

「透明度が高い結晶の中に、紫色の炎が揺らめいているように見えるのが特徴です。美しい石なのですが、どうにも脆く、アクセサリー加工には向きません」


 私が石を眺めていると、ヴィジリオの宝石ウンチクが始まる。いつものことであるが、興味深いことも確かなので、ひとまず黙って聞いている。


 そう、私がヴィジリオのジュエリーショップに足を運ぶのは、けしてアクセサリー目当てではない。石だ。私が欲しいのは石。

 何に使うかってそりゃ、もちろん顔料にするためである。首都ランにいる父、コルシーニに手紙を飛ばして、鉱物や宝石を買い集めても良いか尋ねたところ、このヴィジリオの店を紹介された。使用用途を訊かれるかと思っていたのだが、とくに反対されることもなく紹介状だけが届いた。

 この紹介状のお陰で、宝石代は実家に請求が行き、私自身はびた一文も支払っていない。愛情を感じたことは未だないが、これに関しては心からコルシーニに感謝した。


 光の加減で、紫の炎がちろちろと揺らめく。本当に、延々と眺めていられそうなほど美しい石だ。手に持った感覚ではそこまで硬度が低いような印象はないのだが、モース硬度に当てはめるとどのくらいになるのだろう。宝石はあまり詳しくないため、考えてみたところで分からなかった。


「ひとつ、頂いていきます」

「ありがとうございます、すぐにお包みいたしましょう」


 ヴィジリオが右手を上げると、忍者の少年がスッと隣に現れる。会うたびに忍者度が増しているのは気のせいではないだろう。

 今日買った紫炎石がどれほどの値段なのか、私は知らない。そもそもこの店に置いてあるアクセサリーには値札が付いていない。聞けばもちろん教えてくれるだろうが、怖くて聞けないでいる。


 紫炎石が上手いこと紫の顔料になってくれたら追加で購入するつもりだ。紫系の顔料が欲しくて、これで通算四つ目の挑戦になる。植物顔料で綺麗な紫をつくるのは諦めた。

 ヴィジリオから包みを受け取り、ついでに次の鉱石をお願いする。試してみたい鉱石はたくさんあるが、いかんせん天然物である。こればかりはご縁がありますように、とタルクウィニアに祈るほかあるまい。


 緊張で息が詰まりそうになる宝石屋を後にして、私は家に帰るまでのあいだずっと、紫色について考えていた。



〇●〇●〇●〇



 家中が花で溢れる環境を、私はどこか疎ましく思っていた面がある。嫌いなわけではないし、どちらかと言えば花を好む嗜好も持ち合わせている。それでも、どこを歩いても花が活けてある景色は、私が望んだものではない。


 好きかと問われて好きだと答えたが、ここまでではない。ということだ。


 しかし、今ではこの環境に、恐ろしいまでに感謝していた。

 だって、どこを歩いても顔料が転がっているのだ。もちろん花の色がそのまま発色されるわけではない。加工しているうちに変質し、思っていた色どころか、濁った汚い色になることも多い。

 だが、得られた色の数を思えば、そんなことは大したことではなかった。花屋敷になってしまったのは、顔料のためにタルクウィニアが整えてくれた環境とすら思っている。ありがとう、タルクウィニア様。ありがとう、ハルクレッド先生。ありがとう、カルロッタ。


 『情熱』という花言葉なだけあって、まるで血のような赤色だな、とか。『澄んだ心』のわりに汚い茶色だな、とか。顔料探しに伴う、そういった試行錯誤もまた楽しいものだった。


 植物から色素を抽出する実験は、初めのほうは非常に難航した。乾燥させたり、煮だしたり、発酵させたりといろいろやらかした結果、屋敷中がすごい臭いになったりもした。みんな笑って許してくれたので、これに関しては良しとする。みんなで実験、楽しかったね……臭かったけど……

 しかしどう実験したところで、染液の色素を保ったまま粉末化することは出来なかった。化学が苦手分野だったことを、私はとっとと思い出すべきであった。


 そしてなにより、魔法があることを忘れるべきではなかった。


 レーナに提案を受けるまで、粉末化に白石粉を利用するなど考えてもいなかったのだ。仕方ない。私は魔法を使えないし、前世の記憶を含めても魔法に馴染みがないのだから。白石粉が万能の粉だということが、頭の中からすっかり抜け落ちていた。

 植物で作った染液に白石粉と水を投入し、これを鍋でかき混ぜながら“火魔法”で直接、じわじわと水分を飛ばす。ここにきて、火魔法である。けして、鍋を火にかけてはいけない。火魔法を介さないと白石粉に色素が定着しないどころか、さらさらの粉末にならない。

 土魔法と火魔法、万歳。ただし私は自力で作れないため、この粉末化の作業だけは使用人たちにお願いしている。



 鉱物と花を使った色づくり、新しい顔料を試したくて描いたたくさんの花。ときおりやってくるソルマト木工房のお弟子さんたちとの仕事。ナーシャやレーナをモデルにしたデッサンとクロッキー。

 デルフィナにはいくつかの案ができたら教えてくれと言われていた。白石のパン皿に絵を描くという大仕事の話だ。一応、それらしいものを三つほど描いてみたし、デルフィナからも可をもらっている。優ではなく、あくまでも可。

これだ、というような案も思いつかないまま半年。必要なことだから、と顔料作りに逃げ続け、なんと半年。


 もう冬。


 春の洗礼式を終え、夏を超え、もう冬が目の前に迫ってきている。日本と違い四季の気温差がそこまで大きくないこの国は、冬の寒さもそこまで厳しくはない。その代わりに、一年の半分近くを占める冬は、その別名を雨季という。そう、ランドウルフの長い冬は雨が降るのだ。この国で雪が降るのは、最北のサゼロ領だけ。

 気温が下がりきらなくとも、じめじめと降り続ける雨は確実に体温を奪う。外に出るのが億劫になる季節だ。


 お仕事の締め切りまで、残り半年。


 紫炎石で作った顔料を試すために描いている明け方の街並み。紫炎石はとても澄んだ青紫になった。まさに夜空が徐々に明るくなってくる、いわゆるブルーアワーというのだろう。石の状態だと赤みがかった紫に見えていたが、粉末にしてみたところ青みが強く出た。

 描きかけのそれを放置して、デッサン用の画板を片手に今日は教会に足を運んでいた。いい加減、パン皿用の絵を考えなければいけない。

 考え事をするのなら、この静謐な聖堂が一番だ。


「おや!ジークレット様ではないですか」

「ごきげんよう、ハルクレッド先生」


 白々しい。おや!なんて驚いた顔を作っているが、どうせ私がここにいることを他の神官に聞いたに違いない。三日に一度は教会に足を運んでいるため、多くの神官と顔見知りになってしまった。


「今日も主との逢引ですかな?」

「ふふ、先生のご冗談は今日も絶好調ですね」


 ハルクレッドの神に対する不敬な発言に、思わず笑ってしまった。聖職者にあるまじき冗談を、神聖な聖堂で口にするのだから、ダルドの父親なだけある。貴族宅に半裸で訪ねて来る男の父親だもの。普通のお爺ちゃんなわけがなかった。


 曖昧な返事を残して見上げた先にあるのは、今日も変わらずに美しいタルクウィニア像。手元にあるのは、まだ何も描かれていない真っ新な画板。

 デルフィナの白石粉を下地剤にした画板はさらりと心地よい触り心地だが、やはりタルクウィニア像の質感とは比べ物にならない。デルフィナの白石粉は煙が立つほどの粒度である。それ以上のきめ細かさとなると、もはやウイルスレベルだったのではと疑ってしまう。

 彫刻師たちの神、タマーラとボニートがどれほど素晴らしい技術を持っていたのか。私には、想像することすら難しい。


「デルフィナとの仕事は順調ですかな」

「順調かと問われたら順調なのでしょうが、満足かと問われたら不満ですね……」

「ほう……」


 真っ新な画板。半年後に迫った締め切り。新たな色を試すのが楽しいというのももちろんだが、なによりも描きたいと思うものが思いつかないのだ。花を描くのも、風景を描くのも、デッサンもクロッキーも楽しい。けれど、パン皿に描く絵は、そう、わくわくしない。

 すでに描いている下書きのどれも、悪くないように思える。だが、あくまで悪くないだけ。突き詰めてしまえば、“筆が乗らない”のである。


 だから、楽しいほうに逃げてしまう。


「ジークレット様が今描きたいと思うものは何でしょう」

「三年前から変わらず、ナーシャやレーナ……それと、やはりこのタルクウィニア様です」

「ならば、それで良いのでは?」


 それで良い、とは。


 贈答品になる皿に、私の愛しの従者を描くわけにはいかないだろう。ならば、タルクウィニアということか。

 この国の皿や器、食器に施される装飾は、そのほとんどがトスカ・サリエラを題材にしたものだ。ツタを持ち、芋を掲げる髭のオッサン。腹が減ったのなら芋を食え、食べ方は教えてやる、と村人に演説をかました神話の有名なシーンだ。


 主神であるタルクウィニアを堂々と中心に描いた皿など見たことがない。


「デルフィナは昔からよく笑う子でした」


 目元の笑いジワを深めたハルクレッドが、おもむろに口を開いた。


「口を大きくあけて豪快に笑う顔も好きですがね、私はそれよりも彫刻をしているときの夢中になっている笑顔に惚れ込んだのです」


 なんと、突然の惚気話。しかし、惚気話なのにどこか寂しそうな、故人の話をしているような表情だった。デルフィナ様はまだ生きていらっしゃいますよ、という冗談は空気が読めなさすぎるのでやめた。とりあえず黙って聞く。


「結婚して、ダルドが正式にソルマト家の弟子になって、ダルドの世話をしながら白石彫刻の修業をして……ダルドがソルマト木工房を継いだあたりでしょうかなぁ。そういえばデルフィナの夢中になった笑顔を見ていないと気づいたのは」


 ハルクレッドの口調は、配偶者について語るものというより、なんとなく父親のようだった。デルフィナはいったいいくつなのだろう。やはり、ハルクレッドと歳が離れているのだろうか。


 聖堂で騒ぐ者はいない。静かに祈りを捧げる者、掃除をする神官、小さな声で会話をする街の人間。人の気配がありながら、静かで落ち着いた空気が私は好きだった。

 ハルクレッドの渋い声質に、この空間はよく似合う。


「突然できた息子との折り合いや、慣れない子育てが忙しいからだろうなんて、そう思っておりました。デルフィナもダルドも健康だし、楽しければ笑うし、見習いが粗相すれば叱る。あの子と私の生活はいつも通りで変わりなく、私はいつしか違和感なんてものを忘れていたのです」


 突然できた息子?少しどころではなく気になる単語が転がっていたのだが、雰囲気的に突っ込んで訊ける様子もない。ディープな家庭事情を、まるで常識みたいな顔をしてぶち込むのはやめてほしい。


 さて、ジークレット様。とハルクレッドは笑う。私の先生であるこの人は、時折こうして私になにかを問いかける。

 迷っているとき、疑問に思ったとき、ハルクレッドは、自分で答えを導きだしてみろ、と言うように、何かを問いかけ、何かを見せる。ヒントは彼のどうでもいいような世間話のなかや、まったく関係ないような話のなかに散らばっていた。


 ダルドの木工房に連れて行ってもらったときもそうだろう。実際に彫刻が行われている場を見せて、魔法で創る芸術を教えた。そこに、ハルクレッドの模範解答などなかった。あるのは問いかけだ。

 ジークレット様はどうお思いですかな。ジークレット様は如何様に考えますかな。


「貴女の、今描きたいと思うものは何ですかな」

「描きたいと、思うもの……」

「ジークレット様のやりたいことは、何ですかな」


 私の疑問はなんだった?私の迷いはなんだった?それはけして、ソルマト一家の家庭事情ではない。

 デルフィナとの仕事が、順風満帆とは言い難いこと。いつものように楽しい方ばかりへ、逃げてしまっていること。


 大仕事に胸を膨らませた。だけど筆が乗らないのは、お仕事だから?私のなかに燻るこれは、本当にいつもの『やるべきことをやらない病』なのか。


「私は悔しかったのです、ジークレット様。デルフィナは今、結婚した以前のように笑っております。それはそれは楽しそうに、石と戯れている。塗料と戯れているジークレット様とそっくりな顔ですよ」

「た、戯れているって」

「ふはは!とっても楽しい、とお見受けしております」


 ハルクレッドはやはり笑う。人のことを試すように、禅問答の僧が作麼生そもさんと突き付けるように。さぁ、いかがかな?と。


 仕事は楽しくないものだ。だから私は、いつもそれから逃げてきた。

 やらねばならないことは楽しくないものだ。だから私は、いつもそれから逃げてきた。

 私は、デルフィナとの仕事で、いったい何を描きたいのだろう。


「デルフィナに昔の笑顔を取り戻させたのは貴女です、ジークレット様。デルフィナをふたたび夢中にさせたのは貴女です、ジークレット様。私はデルフィナに、こう問いかけるべきでした。君が今、作りたいものは何かな、と」


 デルフィナはなんと言っていた?

 あぁ、そうだ、彫刻をやりながら違和感があったと語っていた。彫刻は好きだけれど、それは本当にやりたい彫刻ではなかったと。

 誰よりも間近にデルフィナを見ていたハルクレッドは、彼女の感じていた違和感になんとなく気づいていたのだろう。



 やりたいことを、やりたいように、ただあるがままに。それは、なんて難しいことなのだろう。



「うむ、そうですな。セルモンド伯の愛娘、エルネスタ様が洗礼式のときに座る席に案内いたしましょう」


 私が座るこの長椅子は前から六列目。三年前の洗礼式で座った場所だ。他の席でデッサンすることもあるが、やはりここが一番落ち着くのだ。

 すたすたと歩くハルクレッドに続いて最前の列、その中心へ。


「我がセルモンドでもっとも身分の高い方のご息女ですからな。特等席であります」


 いわゆる最前ドセンというやつ。目の前に講壇、絶対にウトウトできない位置だった。

 どうぞ、と促されるままに座る。いつものくせで、タルクウィニア像を見上げた。


「あぁ……」

「タマーラは、この位置から見上げることを想定して、タルクウィニア像を作ったとも言われております」


「微笑んでいらしたのですね」


 見上げる位置によって表情をかえるタルクウィニア像。喜びも、悲しみも、怒りも、すべてを内包する先に待っていたのは、なによりも穏やかな微笑みだった。

 恋の寿命は三年などと言うが、こうして新たに魅了され続けていたら、三年の賞味期限なんて簡単に更新される。時を忘れるほどに魅入り、餓死する者がいた。そんな伝承が本当のことだったのだと思ってしまうくらいに。


「良いのでしょうか。私の描きたいものを描いても。父親が娘に贈る愛に、私の我がままを乗せてしまっても……良いのでしょうか」


 禅問答の僧の顔をした、私の師が笑う。


 迷いを見せることも、悩みを打ち明けることも嫌いだった。心内を誰かに明かすなんて、ひどく恥ずかしいことだと思っていた。

 実の親にも、兄妹にも、友人にも。価値のないプライドを振りかざして、悩みも望みも、私は全部ぜんぶ隠してきた。ヘラヘラ笑うばかりの、クズのくせに。


「ふはは!良いに決まっておりますとも!セルモンド伯の注文をこっそり捻じ曲げて皿なんぞ作ろうとしているデルフィナこそ、一番この仕事に我がままを乗せているのです。ジークレット様ひとりが便乗したところで、主は怒りませぬ。責任を持つのはデルフィナですから」


 ハルクレッドは唯一の教師だった。前世でも会うことのなかった、私の初めての師。けして、手取り足取り教えてくれるわけではない。いかがかな、と問いかけ、ただ考えさせる。



 作麼生そもさん


「主の寵愛を受けし、誇り高き落とし子よ。して、貴女が今、描きたいものは何ですかな」


 説破せっぱ


「やりたいことを、やりたいように。ただ、あるがままに……」



 それでいい、とやはりハルクレッドは笑った。

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