みんなの歴史 別冊~栄華のランドウルフと落とし子たち~

【みんなの歴史 別冊~栄華のランドウルフと落とし子たち~】



はじめに


 タルキス一五六九年~一七三一年。魔法文化の発達位から衰退までという長い歴史のなかで、もっとも輝かしい発展を遂げたおよそ一六〇年間。

 独自の魔法文化を築いたランドウルフ王国は、現在にも多くの歴史的遺産を残している。ランドウルフが歴史から名前を消してから千年以上の時が経つ今でも、文化や建築、そして芸術の分野において影響を与え続ける。


 かつてのドウルフ王宮跡やハラナ遺跡のほかにも、芸術の都セルモンドなどは当時の様相をそのまま残し、いかに魔法技術が優れていたのかを物語る。歴史学者や芸術家たちのあこがれの地だ。

 現代技術を駆使しても再現が叶わない魔法の研究は未だ盛んであり、この三つの遺産は研究の中心でもある。


 セルモンドに遺るジェラスティーナ大教会はタルクウィニア教の本部であり、信徒たちの聖地だ。大聖堂に座すタルクウィニアの白石彫像は、修繕が加えられることもなくかつての姿を保つ。白く巨大なその像は、輝かしい時代の象徴とも言えよう。


 タルクウィニア教。世界中に多くの信徒を抱え、人々の拠り所となる主神タルクウィニア。大陸と海を越えた先にも、魔法神ダルウィンシアや断貝氏金剛之巫女だんかいうじこんごうのみこなど、名や在り方の近しい神が存在する。そのどれも、かつて魔法技術を持った地で唱えられており、同一神ではないかという説も有力だ。


 ドウルフ時代からランドウルフ時代の偉人たちは皆、タルクウィニアの落とし子と呼ばれ、神から知恵や力を授かった者とされた。戦争や害獣退治に貢献した英雄や、文化・文明の発展に貢献した賢人、芸術家などが多い。

 中でも、現代に続く高度な知識や技術を持った落とし子は、未来からタイムスリップしてきたという考え方も存在し、落とし子三大タイムスリッパーなどと呼ばれたりもする。


 時代に大きく貢献した落とし子は、たとえ存在した記録が残ろうとも、タルクウィニア教の一神として数えられる。当時の人々をもってすれば、落とし子とは神よりも近しい現人神であったのかもしれない。


 多くの英雄を生み、芸術の土台を築いたランドウルフ王国とはどのような国だったのか。その時代を生きた落とし子たちは、どのような生活を送ったのか。


 本書ではドウルフ時代からランドウルフ時代に生きた偉人たちと、その遺産を紹介する。



―――みんなの歴史 別冊~栄華のランドウルフと落とし子たち~―――



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