追放される貴族の三男ですが、家族が……


「エドワード、お前を我が一族から追放する」


 ニールソン辺境伯の屋敷にて。

 当主であるロベルト・ニールソンは三男エドワード・ニールソンに冷めた声音で告げた。


 理由は先日、竜の討伐に失敗し、近隣領地に甚大な被害をもたらしたことだ。

 エドワードに冷たい視線を向け、ロベルトは呟く。


「まったく我が家名に泥を塗りおって。所詮は平民の子か……」


 ロベルトが吐き捨てるように言った。

 事実、エドワードには平民の血が流れている。


「おまけにロクに魔術も使えない……私は常々、貴様のような者はニールソン家に相応しくないと考えていた」


 父より淡々と告げられる言葉にエドワードは項垂れる。

 元より、魔導の名門ニールソン家。その中で魔術の素養のないのは致命的であった。


 事実を指摘され、俯くエドワード。

 ロベルトはそんな息子を一瞥し――




「だが……そんなお前が大好きだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」




 ――もう無理! 限界! 我慢できない!


 そう言わんばかりに、今までの態度を一転。思いのたけをぶちまけた。


「なんでじゃあああああ! なんで、かわいい我が子を追放なんかせにゃならんのじゃああああああ!? ふざけんなよ! ちくしょおおおおおおがああああああ‼」

「ち、父上、落ち着いてください。仕方ないじゃないですか。私には魔術の才能がないんですから!」

「それ以上に剣術の才能はあるじゃん! 超あるじゃん!」


 押さえつけていた感情を制御できずにいる父をエドワードが宥める。

 だが、ロベルトは止まらず、泣き叫ぶ。


「って言うかさ! お前さ! 魔術必要ないじゃん! ほとんど剣術で代用できるじゃん!」

「まぁ、そうですが……」


 “天才剣士”“剣聖”“剣魔”“剣王”“剣の神”――

 巷でそう囁かれるほど、エドワードの剣の腕は見事なものだった。

 斬撃で数メートル離れた巨石を切り裂くのは序の口。

 剣を振るう速度を調整して炎や冷気、果ては雷撃などを生み出し、遂には先日、次元さえを切り裂いた。

 最早、魔術なんて必要ない。なに、この子怖い。超怖い。


「もう剣の神に愛されているってレベルじゃないよ! ヤンデレレベルで愛されて夜も眠れないレベルだよ!」

「しかし、私は平民の子ですし……」

「父親が平民にして将軍まで上り詰めた男だけどね! 叩き上げだからね!?」


 そう、エドワードはロベルトの戦友の子だ。

 平民初の将軍であったエドワードの実父は、彼を快く思わない貴族一派の謀略により亡くなり、母も流行り病でこの世を去った。

 天涯孤独になったエドワードを養子として迎え入れたのがロベルトだったりする。


「大体さぁ! ドラゴン討伐が失敗したのエドワード悪くないじゃん! あのバカ王子が悪いんじゃん!」

「あの父上、いくらなんでも王家にそんな口を叩くのは……」

「大丈夫! 元から敬ってないもん! 国王の肖像画、ダーツの的にしてるもん!」

「ダメだよ!? それは!」


 しかし、ロベルトの言うことも事実である。

 実は今回のドラゴン退治、元々はエドワードたちだけで事足りた。

 それをこの国の王子が横やりを入れてきたから、さあ大変。

 元より無能だ、馬鹿だと揶揄されるくらいアレな王子は、無茶苦茶な作戦を立案。

 それに対し苦言を申し立てたエドワードを拘束し、ドラゴン狩りを続行したのが運の尽き。

 ドラゴンを逆上させ、部隊を壊滅に追い込んだ。

 要するに大体王家の所為である。


 エドワードが拘束を脱し、逃げ出した王子に代わって部隊を立て直さなければ、被害はさらに甚大になっていただろう。

 幸いエドワード復帰後は新たな死傷者を出すこともなく、竜も撃退できた。


 ……にも関わらず、面の皮の厚い王子は全ての責任をエドワードに擦り付けやがった。

 国王も我が子可愛さに話を鵜呑みにし、結果としてニールソン家は御家断絶・領地没収の危機に追い込まれた。


 ロベルトは苦悩の末、エドワードを廃嫡することで難を逃れることにし、現在に至ると言う訳である。しかし……



「もういっそ、反乱起こしちゃおっかな……?」

「ダメですよ!? 散々言ったじゃないですか! 私一人が泥を被れば丸く収まると!」

「泥を被らせるにはもったいないだろうがっ! お主と言う存在は!」


 剣の才に溢れ、優秀な将軍の血を引き、負け戦も上手い。

 そんな自慢の息子を切り捨てる判断を下した王家に、ロベルトは最早、愛想が尽きていた。


「なにより! お前は私の大事な家族だ! 父として守るべき存在なのだ!」


 それにエドワードを大切に思ってるのは自分だけではない。

 妻も我が子同然に愛して、兄弟たちとの関係も良好。領民たちも気さくな人柄を慕う者が多い。

 ぶっちゃけ家臣として残ってくれれば、と強く思う。

 って言うか、残ってくれ! 頼む! この通りだ! マジで頼む! この通りだ! 一生のお願いだから!


「しかし、私がここにいては迷惑がかかります。王家の覚えも悪くなりますし……」


 確かに最近の王族の専横ぶりは酷いの一言だ。

 魔王討伐にかこつけた増税。それにより私腹を肥やす貴族たち。

 善良な民は飢え、悪しき者がはびこり始めている。

 このままでは魔王を討伐したところで、国は滅んでしまう。

 それが、今の我が国の現状である。

 せめてもう一人の王子がこの国を継いでくれればと思うのだが、それも望めまい。


 だが、表立って反抗するのは不味い。

 味方してくれる寄り子の貴族は少ないし、他の大貴族とは領地が分断されているので連絡も取りづらい。


「流石に王家と対立するのは不味いですよ。我が辺境伯領だけで王国に叶うだけの戦力はありませんし……」

「ぐぬぬ……所詮、戦いは数か……」


 現実の非情さを改めて知り、ロベルトは項垂れる。


「……とにかく、早まらないでください。私は大丈夫ですから」

「そうか……ちなみに、当てはあるのか?」

「一応ですが、冒険者でもやろうかと思っております。士官先はないでしょうしね……」

「苦労をかけるな……母さんたちには別れは告げたか?」

「いえ……特にキャロルには泣かれそうで……このまま誰にも告げず去ろうかと……」

「……そうか。あの娘はお前に懐いてたからな」


 エドワードにとっては義理の妹にあたる末娘の姿を思い浮かべ、ロベルトは寂し気に笑う。


「この家も、静かになるな……グスッ……」

「義父上……今までありがとうございました……!」


 嗚咽を堪え、別れを告げ、エドワードは今まで暮らしていた屋敷を後にした。




「……すいません、父上」

「なんだ?」

「これ……なんですか?」


 屋敷の外に用意していた愛馬を引き取りに来たエドワード。

 だが、そこにいたのは共に領地を駆け回った愛馬ではなく……


「ひひん」

「もう一度聞きます。なんですか? これ!?」

「知らない! 分かんない! なにこれ!? 新種のモンスター!?」


 そう。そこにいたのはエドワードの愛馬ではなく、未知の生物であった。

 子供の落書きが立体化したかのような間抜けなフォルム。

「ミカン」と書かれた胴体に、明らかに前と後ろの動きが合ってない足。

 そして……


「ひひん」

「鳴いた」

「怖い」


 凄く聞き覚えのある鳴き声。


 って言うか、これもしかして……


「……なにをやっているんですか? 義母上?」

「ひひん」

「誤魔化さないでください」

「……やはり息子であるあなたの目は誤魔化せませんか」

「あたりまえでしょ。むしろ誤魔化せられたら困ります」


 幼稚園の学芸会の方がまだクオリティが高い、下手な変装を見抜かれた馬(らしい)は正体を現した。


 ……案の定、正体はエドワードの義母でロベルトの妻・ルクレツィアだった。


「……で、母上、どうしてこんなことを?」

「うぅ……実の息子同然に育てたアナタと今日限りでお別れと思うと居ても立っても居られず……」

「義母上……」

「考えた末、国境付近までは一緒にいこうかと……」

「だとしてもこれはないわ」


 胴体段ボールだよ?

 あと、国境までどんだけあると思ってんの?

 仮に国境まで行けても、警備の人に捕まるよ?


 ケンタウロス状態でさめざめと泣く母にいろいろツッコミたいエドワード。

 すると、今度は胴体部分を担当していた人物が顔を出した。


「まぁまぁ、エドワード。母上もお前を思っての事なんだから気持ちは分かってやれよ」

「いたのか、義兄上」


 エドワードを宥めるのは義理の兄で、この家の嫡男・アルベルトだった。


「しかし、いいなぁ。追放されたら実質自由の身じゃん。やりたい放題じゃん。これなら俺も追放されたかったよ」

「アンタ、事の重要さと言葉の意味と自分の立場分かってんのか?」


 貴族の嫡男とは思えない台詞である。


 まぁ、場合によっては、沈みかけの船に乗らなければならない貴族の世知辛さを理解してるため、エドワードは何とも言えない表情になる。


「まぁ、お前ならどこに行ってもなんとかやれるだろ。こっちのことは親父に任せておけばいいから、安心しろ」

「流石義兄上、ちゃっかり自分の仕事、親に押し付ける気満々ですね」


 義父が心労で倒れやしないか心配になってきた。


「あ、あと、ロクサーヌがお別れパーティーの準備してるから、そろそろいこうぜ」

「だから揃いも揃って、追放処分をなんだと思ってるんだ!?」


 ――そしてなぜ、ここまで情報が漏れてるんだ?


 すっかりぐだぐだな空気になってしまい、エドワードは仕方なく、義姉・ロクサーヌの待つ屋敷へと戻っていった。締まらないことこの上なかった。




「戦じゃあ! 戦に備えるのじゃあ‼」

「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼」」」




「……義兄上」

「なんだ?」

「これのどこがお別れパーティー?」

「知らね」

「いや、知らねぇじゃないよ!?」


 案内されたところで目にしたのは、サーベルを携え、完全武装した義姉ロクサーヌと、これまた重火器で武装した使用人・領民たちの姿であった。


「おぉ! エドワード! 来たのか!」

「来たのかじゃないですよ! 義姉上! なにやってるんですか!? って言うか、なにこれ!? あんた、お別れ会の準備してたんじゃないの!?」


 普段男勝りと評判な義姉。しかし、これは男勝りですまされない。狂戦士の奇行である。

 そんな彼女にツッコみまくるエドワード。すると、ロクサーヌは天使のような笑みを浮かべ一言。


「あぁ、これから王国との戦争お別れ会を開くんだ」

「それ私が一番、必死になって回避しようとしてたこと!」


「戦争」と書いて「パーティー」と読む、蛮族的発想だった。


「ダメです‼ 相手は王国ですよ!? 何考えてるんですか!?」

「カワイイ義弟に無実の罪を着せた腐れ王族をいかに惨たらしく殺すか考えてる!」

「愛が重い!」


 完全にプッツンしてるロクサーヌ。

 彼女はエドワードのことを溺愛していた。故に追放の事を知れば、烈火のごとく怒り狂うとは思っていた為、秘密にしていたのだが……

 まさかここまで過激な発想に至るとは、正直、見誤っていた。


 ――いかん! このままではマジで内乱直行コースだ!


 焦るエドワードはロクサーヌを必死に説得する。しかし……


「寄り子の貴族をかき集めても王国との兵力に差があり過ぎるんですよ!? 早まらないでください!」

「大丈夫だ。ゲリラ戦に持ち込んで戦況を泥沼化。その間、少数精鋭で王城に乗り込めば勝ち目はある」

「! その手があったか!」

「その手があったかじゃない! せっかく、義父上が思いとどまってくれたのに、もう一回火を点けてどうするんですか!?」


 藪蛇気味に父親が食いついてきた。

 これは予想外。

 ならば情に訴えるかと思い「義姉上に何かあったらどうするんですか!?」と言うと、ロクサーヌは不敵に笑いながら、エドワードの肩にポンと手を置き一言。


「大丈夫だ。最悪、大将と相打ちに持ち込んで見せるから」

「それ、本当の最悪ですが!?」





「……いくらなんでも、ここまでぐだぐだになるとは思いもよりませんでした」

「本当にね。まったくもう、ロクサーヌったら、お転婆なんだから……」

「義母上、お転婆と野蛮を一緒にしたらいけません」


 おっとりとした義母にツッコミを入れ、ため息を吐くエドワード。


 ……その後、聞く耳もたない義姉をなんとか宥め「はい、みんなも解散! 解散! もう解散!」と使用人や領民を解散させた。

 ぶーぶー文句を言う領民・使用人たちを追い返した頃には既にお昼を回っており、その頃にはエドワードの表情には疲労感が滲んでいたそうな……


「朝のうちに出ていきたかったんだけどなぁ……でないと、昼に関所までつけない」

「じゃあ、もう一泊してから追放されろよ」

「それは名案ね」

「なんなら一週間くらい泊って行ってもいいぞ」

「そうだな。籍だけは抜いてあるんだから何とかなるだろ」

「アンタらは国外追放をなんだと思ってるんだ!?」

「ふん、なんだ、エドワード、まだいたのか……」


 あまりにものほほんとした家族の考えにツッコミを入れるエドワード。その前に一人の義兄が姿を現した。


「ザック義兄さん……」

「エドワード、お前はこのニールソン家の恥さらしだ。この家にいる資格はない。とっとと出ていきたまえ」


 刺々しい態度で、冷たく言い放つザック。その視線を受け、エドワードの表情も曇る。


「え? なに? お前ら喧嘩してんの?」

「喧嘩は良くないわ。ザック、エドワードに謝りなさい」

「いや、あの母上、申し訳ないが口挟まないで……」


 だが、ニールソン家にかかれば一行、持たないうちにシリアスな空気は霧散する。


「大体、喧嘩の原因はなんなんだ?」

「そうだ。お義姉ちゃんに言ってみろ」

「言わなくていいですよ。エドワード」

「実は先週【自家発電中】に部屋に入って以降気まずくて」

「言わなくて良いと言ってるだろう!」


 顔を真っ赤にして怒鳴るザック。

 そう。エドワードの言う通り、先週所用でザックの部屋に入ったのだが、ノックしなかったのが不味かった。

 不運なことに、中でエロ本片手に【自家発電中】のザックとエンカウント。

 それ以降、ギクシャクした空気になってしまったのだ。


「あー……それはいかんは……」

「デリケートな問題だよなぁ……」

「ザック、エドワードも反省しておりますので、許してあげなさい……」

「キモい」

「だから言いたくなかったのに!」


 そして、ロクサーヌ。いくら何でも言ってやるな!


「とにかく、エドワード! お前はもう! 追放されてるんだ! それをいつまでも屋敷に留まってるんじゃない!」

「そうだよなぁ。普通、追放されたら出ていかなきゃダメなんだよなぁ……なのになんで、私は屋敷に普通に戻ってるんだろう?」

「知らんわ!」


 ここまでの経緯を思い出し、途方に暮れるエドワードだった。


「いいから、さっさと出ていけ! 既にお前の荷物はまとめてやっている! あと、転移魔術で最寄りの町まで送ってってやるから、さっさと旅立つ準備をしろ!」

「あ、ありがとう……」

「あと、これは護身用の鋼の剣と路銀の千ドールゴだ! 道具袋には回復ポーションと非常食と毒消し草も入ってるからな! ちゃんと持って行けよ!」

「わぁ、手厚い」

「ふん、別にお前のためにやったわけじゃない。平民とは言え、野垂れ死にされると目覚めは悪いからな。精々元気にやるといいさ。」


 序盤の国王よりも手厚いサービスに、エドワードは素直に礼をいう。

 ザック・ニールソン。所謂、ツンデレであった。


「……と言う訳で、準備に関してはザック義兄さんがやってくれたので、今日中にこの家を立ちます」

「「「「え~」」」」

「『え~』じゃありません。このままダラダラいたら、別れが辛くなっちゃうでしょ!」


 もう、完全に追放の件をなぁなぁにする方向で動いていたザックを除く家族に背を向け、エドワードは荷物を手に取り、旅立とうとする。が……


「……ザック義兄さん」

「なんだ?」

「この箱なんですか?」


 荷物に交じって、なんか変な箱が置いてあった。

 ちょうど人一人入れるくらいの、ご丁寧に背負い紐までついている。

 なにこれ? 鬼の子でも入ってるの?


 嫌な予感がしつつ、恐る恐る蓋を開けてみると……


「お義兄さま! 出て行っちゃいやです!」

「箱の中に妹が入ってる方がやだよ!」


 案の定、いた。

 ニールソン家末娘のキャロル・ニールソンが入っていた。


「お義兄様! いかないでください! いくなら私も連れてってください!」


 泣きながら勢いよく箱から飛び出し、キャロルはガシッとエドワードに抱き着いた。

 こうなると思ってたから、隠してたのに、いったいいつバレてたのやら……

 しかし、義妹を無碍には扱えない。仕方なく


「キャロル、よく聞いて。私がこれ以上、この家にいると迷惑がかかるんです。私もみんなと別れるのは嫌ですが、仕方ない事なんです。分かってくれますね……」


 元より聡明な子だ。

 ちゃんと話せば分かってくれる。

 想いが通じたのか、キャロルは「お義兄様……」と涙を拭い……


「抱いてください……」

「なにいってんの!?」


 話せば分かってくれる。そう思っていた時期が私にもありました。結果はこのざまだよ。


「嫁入りどころか十歳になったばかりの子供がなにいってんですか!?」

「キャロルはもう、なにもいりません……ただ、思い出だけください」

「どこから覚えた! そんな台詞!」

「ザックお兄様の部屋です! ベッドの下にあった本に書かれてました!」

「ザック義兄さん!」

「とばっちりだ!」


 その後、愛しの義兄を行かせまいと大しゅきホールドしてきたブラコン娘を無理やりひっぺ返し、即座に転移魔法で転移。


 こうして愛する家族に別れを告げて、エドワードは住み慣れた屋敷を後にした。

 その後、エドワードは冒険者に身を落とすことになるのだが……


「エドワード、すまん……お前を追放することになった」

「なんで!?」


 半年経ったある日、組んでいたパーティーのリーダーからこんなことを告げられた。


「な、なぜですか!? 私がなにをしたと!?」

「いや、お前は何もしていない。実は……」


 リーダーは顔を引きつらせながら、苦々しく語り始めた。


「実は……お前の祖国で革命が起こったらしくてな……」

「え?」

「第二王子が反乱起こしたらしくてな、魔王を倒した勇者パーティーを取り込んで、国王軍は敗退。国王と第一王子を処刑して乗っ取ったらしい」

「えぇ!?」

「んで、その戦いにお前の実家も参加してて、恩賞として『お前の追放を取り消してもらった』らしいんだ。それでギルドも承諾した」

「えぇぇ!? それで……」

「実はもう来てるんだ」

「ゑ?」


「「「「「久しぶり!」」」」」

「やっぱりね!」


 既に部屋に潜んでいたニールソン家と半年ぶりのご対面を果たす羽目になった。


 こうしてエドワードは国に帰り、元の鞘に収まったとさ。



「――と言う訳で、お義兄様、私とご結婚を!」

「事案が発生しそうなので謹んでお断りします!」

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