戦士ですが、ダメです。元いた場所に追放してきなさい。


「勇者、そいつを追放しろ!」

「! そ、そんな! ひどい……!」

「仕方ないだろ! 俺たちの旅に足手まといは必要ない!」

「そ、それでも、彼は僕の大切な仲間なんだ!」

「……そう言うのはいいから、さっさと元居た場所に追放してきなさい」

「だ、だって……仕方ないじゃないか……」


 そう言ってショボンと項垂れる我らが勇者様を見て、戦士はため息を吐く。

 彼の背後には一匹の仔犬が状況を同じようにショボンとしている。

 はい。そうです。いわゆる子供が捨て犬拾ってきちゃった問題です。


「うぅ……戦士ぃ……やっぱり、追放しなきゃダメか?」

「ダメ。って言うかなにパーティーメンバー追放するみたいなノリで話進めてんの? ダメだから。魔王討伐にペット連れてけないから」


「メッ!」と戦士は勇者を叱責。

 それでも未練がましそうな顔をする勇者を見て、ため息を吐いた。

 我らが勇者様は御年一一歳。史上最年少で選抜された神童である。

 しかし、同年代にしては大人びてはいるものの所詮は子供というべきか。

 雨の中捨てられていた仔犬を無断で拾ってきて、パーティーに加えると言い始め、現在に至る訳だ。


「ちゃんと散歩にも連れてくし、躾もするから! だから、頼むよ!」

「そう言うやつに限って結局、世話しないから。それに、魔王討伐は危険なんだよ。仔犬なんて連れていける訳ないだろ」


 今日だって、四天王の守るレアアイテム『真実の鏡』を入手するため、武闘家たちがダンジョンに潜っているのだ。


 それに犬を飼う大変さは愛犬家である自分がよく知ってる。

 今だって故郷に置いてきたジョン(ゴールデンレトリバー・五歳・メス)のこと思い出してしゃあないのだ。

 故に心を鬼にして断固拒否。

 泣きそうな顔をする勇者をジッと見下ろす。


「まぁまぁ、戦士さん、そう頭ごなしに叱りつけてはいけませんよ?」

「聖女さん、しかしだなぁ……」


 そんな勇者に助け船を出すかの如く、修道院から派遣された聖女が戦士を宥める。


「戦士さん、勇者様は寂しいのだと思います。いくら神童とは言え、勇者様はまだ子供。年の近い友達もおらず、周囲には大人しかおりませんし……」

「たしかにこのパーティー、勇者以外は年上だが……」

「それに私は命の大切さを学ぶためにも、この子を飼ってもよいと考えておりますよ」

「学ぶも何も命のやり取りしてるだろ。魔王軍と」


 昨日だって、ゴブリンたち相手に無双プレイしてきたばっかりだろうが。

 ジェノサイドしてきたばっかりだろうが。

 しかし、聖女の言うことにも一理ある。


「仕方ない、じゃあ、他の連中の意見も聞いてみて決めよう。みんながOK出したら俺も飼うのを認めるよ」

「! 本当!?」

「あぁ、男に二言はない。多数決には従うさ」


 その言葉を聞き、ぱぁっと笑顔を浮かべる勇者。

 それを見て戦士は「ホントにしょうがねぇなぁ……」と呟きつつ、仲間をどう説得しようか考え始めた。


「ただいま」


 と、話をすれば武闘家たちが帰ってきた。


「おう、おかえり。『真実の鏡』は見つかったか?」

「ばっちり」


 道具袋から古ぼけた鏡を取り出し、武闘家はVサインをする。

 賢者も盗賊も商人も怪我らしい怪我もない。ミッションは大成功といったところか。


「よし、これで次の敵である死霊将軍の実態を捉えることができるな」


 情報によれば死霊将軍の身体は霊体。物理攻撃は勿論、魔法すら無効化する。

 しかし『真実の鏡』は映したものの本来の姿を映し出し、嘘偽りを見破ると言われている。

 これがあれば、勝てるだろう。そう考えた矢先……


「あれ? この鏡、なにかに反応してるぞ?」

「へ?」


 突如、鏡が光を放ったかと思えば、犬に命中。

 そのまま、今度は犬が輝きだした。そして……


「「「「「…………」」」」」

「し、しまった! バレた!」


 そこにいたのは可愛らしい仔犬ではなく、魔族の女性だった。

 頭から犬耳がぴょこんと顔を出し、豊満な肉体を誇示するかのような露出の多い服。

 艶やかな黒髪と鋭い目つきの彼女は魔王軍四天王の紅一点・魔狼将軍、その人であった。


「えええええええええ!?」

「お、お前、四天王じゃねぇか‼」

「仔犬に化けて俺らをだまし討ちする気だったのか!?」


 突然の事にパニックになりながらも臨戦態勢をとる勇者パーティー。

 対して魔狼将軍は、両手を上げてホールドアップ。


「待て! こちらに戦う意思はない! 投降したいだけなんだ‼ とにかく話を聞いてくれ!」


 などと供述し、あっさり降伏宣言。さらに……


「頼む! 他に行くところがないんだ! なにも言わずここに置いてください‼」


 戦場での傲慢な態度はどこへやら、そのまま見事なまでの土下座を披露。

 デコと胸を床にこすりつけながら懇願する魔狼将軍に戦士たちは唖然とするしかなかった。




「……で、つまり俺たちに敗北を重ねた責任を取らされて、一族ごと魔王軍から追放されたと」

「はい……おまけに魔王軍の庇護を失った一族を野盗や他の魔族に襲われ、散り散りになってしまいました。私自身も魔力が底を尽いたため、回復するまでやむを得ず仔犬に化けていたのですが……」

「勇者に拾われ現在に至ると言う訳か……」


 落ち着きを取り戻した魔狼将軍から事情を聞き、戦士はなんとも言えない顔をする。


「お願いです! 私、他に行く場所がないんです! 雑用でもなんでもするから、ここに置かせてください!」

「分かった! いいよ!」

「ねぇよ! 魔王軍に元居た場所に追放してきなさい戻してきなさい!」


 OKをだすお人好しな勇者に、「NO!」と戦士は反対する。

 そりゃそうだ。『真実の鏡』で彼女の話に嘘はないことは確認済みだが、仮にも敵対勢力に属していた女。そう簡単に入れる訳にはいかないのである。


「だいたいお前、キャラ変わってんじゃん! そんなしおらしい態度してなかったじゃん!」


 初めて対峙したときは傲慢を絵にかいたような態度で「愚かな人間どもよ!」とか言って、勇ましく戦っていたのに、今ではすっかり大人しいお姉さんだ。

 あまりの変わり映えに、胡散臭さを感じる。


「だって、それは敵でしたし……その……私、一応魔狼族の長だからそれっぽい態度を取らないと、同僚から下に見られちゃうんです……」

「なるほど、つまりそっちが素か」

「ギャップ萌えだな」

「黙れ」


 盗賊と賢者のたわ言を斬捨てる戦士。

 話を元に戻そう。


「とにかく俺は反対だ。いかなる事情があろうとも、魔族を迎え入れるなんてリスクが大きい。ただでさえ最近は勇者への評価は厳しいんだから」

「だ、だけど、彼女はもう悪事を働かないと言ってるじゃないか!」

「だから? 俺たちが良くても周りから見たら『裏切り者の魔族』だろ? 簡単には信じてくれねぇぞ?」

「う……でも……」


 昨今、勇者業界は腐敗し暗黒期と言われるくらい民衆から信頼を失いつつある。

 うちは史上最年少勇者率いるパーティーということもあり、周囲からの評価は一層厳しい。

 そこに魔族なんて加えてみろ。下手したら社会的に抹殺されかねない。

 現実的な戦士の意見に反論できず、幼き勇者は黙り込んでしまう。

 すると聖女も戦士の意見に同意し始めた。


「そうですよ! そんな格好の女を入れて勇者様が変な性癖を拗らせたらどうする気ですか!?」

「拗らせてんのお前じゃねぇの?」

「だいたい、なんですか!? そのおっぱいがほとんど見えてるような恰好は! それで勇者様を誘惑するきですか!? なら、私だって先日買った『マジ危ねぇ水着』を――」

「破ッ!」

「ひでぶ!」


 興奮する聖女に、武闘家が鳩尾に一撃叩き込み黙らせる。

 ともあれ、これで話は終わり。魔狼将軍は可愛そうだが出て行ってもらう。

 そう結論付けたその時、武闘家が手を上げてこう言った。


「私は勇者が言うなら賛成」

「はぁ!? お前なに言ってんの!?」


 思わぬ意見に戦士が驚くも武闘家は淡々と意見を述べる。


「彼女は元四天王、色々有益な情報を持ってる。それに『魔族だから』と言う意見も魔王を倒せばいくらでも覆せる。要は結果を出してしまえばいい」

「いや、そう言われてもなぁ。今は大丈夫でも、この先裏切るかもしれねぇだろ?」


 一度裏切りを行った者をもう一度信じるのは勇気のいることだ。

 しかし、武闘家は「それに関しては大丈夫!」と自信満々に言う。


「その根拠は?」

これで語り合った仲だから」

「まさかの脳筋理論!?」


 そんな番長みたいな豪快なノリで信じられるわけないだろう。

 しかし、武闘家は「分かってないなぁ、この人」と見下すような視線を向けてくる。腹立つ。


「私クラスの武闘家になると、拳を通して相手の心を読めるようになる。だから最初に戦ったころからこいつが悪い奴じゃないと分かっていた」

「えー……マジで……?」

「ホント。だから真実の鏡の在処も分かってたし、ダンジョンの入り口に落とし穴があるのも分かってたし、四天王の剛力将軍が膝に爆弾抱えてたのも分かってた」

「えぇぇぇぇ!? マジでぇぇぇぇぇ!?」


 衝撃の事実に百八十度違う反応返す戦士。それって盗賊や商人や賢者が前もって調べてたんじゃなかったのか!?


「そうですか。道理でスムーズにダンジョン攻略できたと思ったんですよ~」

「入口の落とし穴も全然、俺気づかなかったわ」

「まぁ、おかげで隠し宝箱の位置もスムーズに見つかってボロ儲けだったわ」

「仕事しろよ、お前ら‼ って言うか、剛力将軍、膝に爆弾抱えてたの!? なにその中年みたいな弱点!?」

「え? えぇ、剛力将軍最近、しゃがむの辛いって言ってましたから」

「そう言えば、あの時、集中的に膝を攻撃してたよな」

「鬼かお前は」


 曰く、膝にローキックを叩き込みまくって沈黙させたらしい。敵ながら哀れである。


「ちなみに『晩ごはんはカレーにしよう』とも考えてもいた」

「そんなどうでもいい情報まで読み取れんの!?」

「だから、私もその日はカレーを期待してた。だけど出てきたのはモヤシ炒めだった」

「いや、関係ないだろ」

「モヤシ炒めだった……」

「……」

「モヤシ炒めだった……「分かったよ、今日カレーにするよ!」


「分かればよろしい」と頷く武闘家であった。


「しかし、だからと言って、簡単に入れる訳には……」

「じゃあ、多数決。魔狼将軍がパーティーに入るのに賛成の人」


 そう言って手を上げる武闘家に続き、勇者も「はい!」と手を上げる。

 さらに盗賊、賢者、商人も手を上げた。


「はい、賛成多数で私たちの勝ち。ようこそ勇者パーティーへ」

「あ、ありがとうございます!」

「いや、ちょっと待てぇぇぇぇぇ‼ お前ら、賛成だったの!?」


 今までほとんど台詞なかったのにこれはズルい! まるでこっちが悪者じゃないか!


「ち、ちなみに理由は!? 俺たちを納得させる理由があるんだよな!?」

「理由、ね……強いていうなら勇者を信じようと思ったからかな?」


 そう言って盗賊はニヒルに笑う。


「こいつは盗賊で、しかも前科持ちの俺を仲間に入れようなんて酔狂な野郎だ。そんなコイツを信じてやろうと思っただけさ」

「と、盗賊……!」

「まぁ、お前の言ってることも一理あるからな。しばらくは俺が責任をもって監視するさ。怪しい動きをしたら……容赦はしねぇ」

「うわぁ、カッコいい……」


 そういえばコイツ、悪徳貴族専門の盗賊で恩赦と引き換えに仲間になったんだわ。

 基本、困った相手を見捨てられなかったわ。

 つまり、最初から勇者の味方だったわ。


「賢者、商人、お前らも同じか?」

「まぁ、そうね~」

「えぇ、それに私は彼女が裏切らないと確証を持って言えますしねぇ」


 賢者は眼鏡をキランと光らせ自身の意見を述べる。


「そもそも魔狼族は群れを大事にし、裏切りを嫌う誇り高き種族です。ですので再度裏切る確率は低いでしょう。さらに我々と対峙する魔王はかつて魔狼族を虐げた過去があります。彼女ほどの実力者が追放されたのもそれが原因でしょう」

「え? そうなの?」

「えぇ……我が部族はかつて魔王軍に侵略され、敗北、軍門に下りました」


 その後、奴隷同然の扱いを受け、迫害され、今では同族は百匹しかいないそうだ。


「百匹の狼……彼女を入れて一〇一匹……一〇一わん「こらこら、それ以上は言うな」

「続けますよ。故にこのまま魔王軍を放置しておいても彼女たちの立ち位置は変わることはないでしょう。即ち、裏切るメリットが少ないと判断します」

「そうねぇ。むしろ私たちにもメリットがあるしねぇ」

「? メリット?」


 ニヤリと笑う商人に戦士が尋ねる。すると、商人は「ニシシ」と笑い言った。


「今、私の所属する商会では魔族絡みのビジネスを始めたのよ」

「魔族絡みのビジネス?」

「そうよ~魔族の中には私ら人間よりも遥かに発達した技術を持ってる種族がいる。そいつらの技術を提供してもらおうってわけ」


 時代はラブ&ピース! 戦争なんて腹が減るだけだという。


「特に魔狼族なんて希少な一族、コネがあるに越したことはないわ。技術が失伝してても彼女たちの屈強さなら護衛や冒険者、狩人にレンジャーとして引手数多。そう言う訳で、私たちのもうけ話のために賛成ってわけ」

「な、なるほど……」


 各自、ちゃんとした理由で賛成したわけか。


「だけどなぁ……それでも俺は反対だ……」

「なんで? 戦士も雌犬飼ってるじゃない」

「言い方!」


 それだと鬼畜なド変態になるじゃないか!


「それでも民衆は魔族が勇者パーティーに加わることにいい感情は向けないだろ? 盗賊が入る時も、相当もめたし」

「確かにそうだけど」

「……一応、国王に報告して、指示を仰ごう。許可が取れれば俺もこれ以上は言わないよ」


 だが、十中八九、許可はでないだろう。なんせ相手は敵国の将だ。

 拷問し情報を引き出そうとするかもしれないし、最悪、その場で処刑もあり得る。

 そうならないよう説得はするつもりだが、自分のような平民の意見など聞いてくれるだろうか?

 重い気分のまま、戦士は王国との通信用水晶を起動させた。



『構わん、許す!』

「国王陛下――ッ!?」


 まさかの速攻OKであった。


「いいんですか!? 彼女は魔王軍の四天王ですよ!?」

『だからどうした? むしろ四天王に選抜されるほど有能ならば心強い!』

「いやいや……それでも、即断過ぎでしょう……もう少し慎重に考えても良いのでは?」

『今回の魔王討伐は急務だ。多少のリスクは承知の上、現場の判断に任せる。心配するな、責任はワシが取る』

「か、かっこいい……‼」


 なんというホワイト上司。

 はっきりと断言する国王に戦士の胸は思わずときめいてしまう。


「しかし、民意と言うものがありますし……」

『ふっ……未来ある子供と若者に魔王討伐と言う重荷を背負わせておるのだ……ワシ一人の首、どうと言うことはないッ!』

「かっこよすぎる……‼」

『しかし、そうなると、これは好機やもしれん……大臣! 至急、“賢者ゴリ”“シスター・クロ”“増毛のハエール”のパーティーを援軍に送れッ! 魔狼将軍の情報の真偽を確かめ次第、魔王を討つぞ‼』

『ハッ‼』

『宰相! “冥王”に使者を送り、同盟を結ぶぞ。彼は人間に友好的な魔王だ‼ 必ず答えてくれるだろう‼』

『既に手筈は整えております』

『それから戦士よ、彼女の一族に関しては“人魔教団”なる団体を頼れと伝えよ。人間と魔族の共存共栄を目指す団体だ。生き残りを見つけ次第保護してくれるだろう!』

「頼りになるッ‼」


 アフターフォローまで万全なんて、なんて頼れるのだ。


『陛下! 王子が隣国で婚約破棄をされた辺境伯令嬢と婚約したいと言っておりますが!』

『件の令嬢か……我が息子ながら見る目がある……その手を絶対に離すなと伝えておけ』

『国王! 某国の王が無断で勇者召喚を行おうとしてる情報を入手しました!』

『至急“ゴブリンスナイパー”に連絡を取れ。標的ターゲットは国王! 報酬は言い値で払う。任務完了次第イスス銀行に振り込んでおけ』

『陛下! “勇者アムゥロ”と“魔王ラキマヤト”の連合軍が邪神・女神の眷属と交戦を開始! “合体巨人エクスカイザー”が苦戦してます! いかがなさいますか!?』

『“キングインパクト”出撃準備! ナツセ将軍、主に預ける! 必ずや生きて帰ってこい‼』

『“暗黒大陸”より侵略艦隊がこちらに向かっております! 迎撃のための編成を!』

『数は?』

『一万!』

『少ないな。ワシ一人で十分だ。なに、全滅させてもいいのだろう?』

『おう、グランアステリア王! 今、暇か?』

『ヒュウガ王か。どうした?』

『いや~、今、超巨大隕石が迫っててさぁ、斬撃で半分くらい破壊したんだけど、ちょっと間に合いそうにねぇわ。手ぇ貸して』

『よかろう。どちらが先に破壊できるか競争だ!』

「頼りになりしゅぎりゅうううううう‼」


 なんか片手間で色々な危機を解決してるっ!

「もうあんたが魔王倒せよ」と言わんばかりの活躍だ。


『そう言う訳だ! 戦士よ! 武運を祈るッ‼』


 それだけ言って国王は通信を遮断した。


「……仲間に入れて飼ってもいいってさ」

「「「「「やったー‼」」」」」


 こうして、魔狼将軍は勇者パーティーに加入することになった。

 みんな和気藹々と喜ぶ。しかし……


「ちょっと待ってください! 私は認めませんよ‼」


 復活した聖女が猛反発。

 ブーブーと文句を垂れ始めた。


「勇者様! 目を覚ましてください! 相手は魔族ですよ!? 絶対に裏切るに決まってます!? それとも洗脳でもされたんですか!? なんて卑劣な‼ 今から私が神の奇跡で目を覚まさせて――」

「そう言えば、聖女。殴った時、昨日勇者の歯ブラシしゃぶってた記憶が見えたんだけど、アレ、なに?」

「……」


 武闘家の質問に目を逸らす聖女。さらに……


「なぁ、真実の鏡に聖女が勇者のパンツの匂い嗅いでる映像映ってんだけど……」

「……てへ☆」


 可愛く笑ってごまかす聖女。そんな彼女に冷たい視線を向ける一同。

 すると勇者がこう尋ねた。


「ねぇ、戦士、こう言う時どうすればいいのかな?」


 戦士は天井を仰ぎながらこう答えた。


修道院に元いた場所にブチこんでおけ追放してきなさい



 こうして悪は滅んだ。

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