日曜日は遊びに――え? ①

「今日こそ有意義に一日を過ごそう!」

「「意義なーし」」

 リビングに集まるは俺と里香そして翔子の三人。

 時刻は朝の九時をなろうかという所。

 窓から差し込む朝日は眩しく、外からは小鳥の『チュンチュン』という鳴き声が聞こえてきそうな陽気。

 絶好のお出かけ日和。

 強いて不安材料があるとすれば、昨日のお昼寝が原因であまり――どころか殆ど睡眠が取れていない事だが、まぁ些末な問題だろう。


「よーしこれから何処に出かけるか三人で検討を――」

「する前に洗濯をしないとね! 昨日誰かさんが起きるのを待ってから動こうとしていたから、殆ど何も出来てないし」

 なん……だと……!?

「あ、後買い出しにもいかないと。昨日で冷蔵庫の中身ほとんど全部使っちゃったし」

 おやおや? これは嫌な予感が。


「そういえばこの一週間部屋の掃除もしてないよね。やっぱり小まめに掃除はしないとね!」

 うーん。なるほどなるほど。

「遊びに行けないじゃん!」

「そもそも亮平が昨日寝ていたから色々予定が狂ったんだけどね……」

 土曜日の汚点がまさか翌日にまで影響されるとは……迂闊!


 って事で始まった家事だけども――

「なんか意外と充実してるな」

「やり始めるとなんか達成感があるよね」

 翔子と共に洗濯物を干しながら、俺は何とも言えない高揚感を味わっていた。

 因みに里香は座りながら乾いていた洗濯物を畳んでおり。

「各自畳んどいたから自分の部屋に運んでおいてね~」

「「はーい」」

 しっかりと役割分担をしつつ、皆で何かをやるってのは、どんな事でも楽しめるのかもしれない。


「そういえば、俺普通にお前たちの下着とか干しちゃってるけど、よかったの?」

「「それはだめ!?」」

 まぁ手出しをしてはいけない分野もあるようだが……




 洗濯が一段落し、続いて取りかかるのは――

「掃除か……」

 基本的に個人の部屋は当人達が掃除をする事にはなっているが、まずは共用スペース。リビングの片づけである。

 と、言っても引っ越しの時の二人を見ているとなぁ……。

「二人共、ちなみに部屋の掃除とかはどうなってます?」

「まかせて! 完璧よ!」

 自信満々に胸を叩いて誇張する里香と。

「ぼちぼちかな。うんぼちぼち」

 視線を反らしながら、自信無さげに呟く翔子。


「あ、はい。察しました」

 そもそも里香には期待してないので、恐らく四角い部屋を丸く掃除して、掃除をした気になっているだけだろう。彼女はそういうタイプだ。

 翔子に至っては、その反応から部屋の惨状など想像に難くない。

 まぁ昔から彼女等の部屋の掃除とか、俺がやってたしなぁ。そしてその度、下着やらポエム帳やらを見つけてしまい、何故か怒られるという理不尽な目に遭ってきたものだ。

 

「リビングは俺がやるから、二人は何か適当にやっててくれ……」

 こうして俺は一人リビングの掃除を始めた。

 なんやかんや掃除自体は苦にならない人間なので、左程一人でやる事に不満も覚えず、なんなら高揚した気分の元、ウキウキで手を動かしている。


「私たちはどうしようか?」

「うーん。取りあえず出来る所からやってこうか~」

 

 だから、掃除に夢中で二人の様子を見ていなかったのが悪かったのだろう。

 二人が相談して向かった先が、バスルームだった事を知るのは、それから暫く経ってからの事だった――。

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