いざ、出発

 二人に手を引かれるがままに、俺は車に乗せられる。五人乗りの乗車、その後部座席に里香と翔子に挟まれる形で席に着く。

「お、おい。お前らこれ、どーゆう事だよ!」

 今だ混乱の中にいる俺は両サイドに問いかける。正直状況に、全く脳が追いつけていなかった。

「うーん。まぁあれだね。私達同じ高校に通うんだよ」

「もちろんここからじゃ通えないから、三人で協力してこれから向かう物件で生活しながら、ね!」


 俺の問いかけに対して、二人は息の合った返答を返してくる。

 楽しくてたまらないと言わんばかりの二人の態度に、俺は思わず声を上げた。 

「はぁ!? いや、そんなのダメだろ! 年頃の男女が!」

「大丈夫だよ〜 亮平なら!」

「うんうん! お父さんとお母さんからもオッケーもらえたし!」


 なんですと!? 驚きのあまり、少しでも情報を得ようと母さんの姿を探すと、丁度門扉の所で屈強な体付きの男とおっとりとした女性が母さんと話しているのが目に入る。

 

「あれって……里香の両親、だよな……」

「そうだよ! 可愛い娘の新しい門出だからね! 今日は一緒について行くって!」

 

 マジで冗談じゃないのかと、愕然とする俺に見られている事に気づいた里香の父親が親指を立てたサムズアップ。めっちゃ笑顔なんだが……

 

「私の所は残念ながら仕事で都合がつかないって言われちゃったから、今日は来れないけど、親同士で話はついてるみたいよ?」

 残念の言葉とは裏腹に、あまり気にしていなさそうな翔子の態度と進む周囲の状況が、否応無くこれが事実である事を伝えてくる。


「お待たせ〜。それじゃー早速向かいましょうか! 大野家の車も後ろからついて来てくれるみたいだがら何かあったら、里香ちゃん橋渡しお願いね」

「はーい。いざとなったらお母さんに電話するから安心して下さい」

「ありがとう。じゃあ出るよ。亮平もしばしお別れの我が家に挨拶してね!」


 そんな母さんの軽口に対応する元気も無く、俺はこれからの日々を思い、重いため息をついた。


 そこから三時間。俺は母さん含め三人の女性相手に幾度となく話を振られて、クタクタになったのは言うまでもない。

 まさに姦しいだ。


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 お知らせ

 始まったばかりで申し訳ありませんが、どーしても書きたい物語があり、同時進行で執筆させてもらってます。

 もしよろしければそちらもご覧ください。

 ジャンルも作風も違うので、良し悪し有れば教えてくださるとうれしいです。 

 今度ともよろしくお願い致します。

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