関係性
一定のリズムで寝息を立てる二人に挟まれながら、俺は寝れない夜を過ごしていた。
時刻は午前二時。
布団に入ったのが夜十時だったと記憶しているから、おおよそ四時間。この状況を過ごしている事になる。
左右でどちらかが寝返りを打つ度に、俺は毎度二人の事を意識してしまっていた。
熱いシャワーのお湯と共に、邪な気分も洗い流した気になっていたが、どうやら健全な男子である俺には、そのレベルでは足りなかったらしい。
右向きに寝ても、左向きに寝ても。
そこにいるのは美少女。
しかも二人が寝息を立て始めてから気がついた事なのだが。
この二人、おそらくブラジャーをつけていない。
体をすっぽりと覆う動物パジャマの為、色々と見えてしまう事は無い。
その代わり彼女らが寝返りをうち、俺の方へと体が寄ってくる度に、その柔らかい感触が、腕や肩から伝わってくる。
いや、女性によっては着けていると苦しかったりするらしく、無しで寝る人も多いと聞くけども……
明後日には4月になろうという中、緊張で火照るからと、半袖のシャツを着てしまった自分を呪う。
せめて、パジャマのスウェット上下を着ていれば、多少は感触を誤魔化せたかもしれないが……
ちゃんと着たのはズボンのみ。
今更着込んだ所で、意識し始めてしまった現状、もう意味がないだろう。
隣に同世代の男が寝てるんですが。
これは試されているのでしょうか。
教えてください神様。
そんな悶々とした感情を滅却しようと、出来るだけ五感を殺しながら、思考の中に入り込む。
考えるのは、寝てる二人とのこれまでの事。
そして、これからの事。
俺は、こいつら二人にも。その両親にも。どの様な形かはさておき、好かれているのだと思う。
それはこれまでの、日々の積み重ね。
幼少期から多くの苦楽を共にしてきたからこそ、今の立ち位置が許されているのだろう。
俺達の住んでいた所は、先祖代々同じ土地で生きてきて、建物や生活習慣は違えど、ずっと隣同士で住んできた。
だから爺ちゃん達の世代も、父さん達の世代も。
世代同士は幼馴染みだ。
それだけ長い付き合いがあるからこそ、その子供である俺達三人は。まるできょうだいの様な育てられ方をされてきた。
だから、こうして異性として意識しているのは、俺だけなのかもしれない。
両親達も、きょうだいの様な関係性を望んでいるのかもしれない。
だから今の俺に出来るのは、どんな関係性になったとしても、二人を支えられる男になる事。
本当は一人離れて、成長した所を見せたかったけど。
こうなったからには仕方がない。
少なくとも二人が楽しい高校生活を送れる様にしてやろう。
それが兄代わりの俺の役目なのだろうと思うから。
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