第21話 訪問許可
サラが、エルフの王女様の顔をじっと見て。
蒼白になっているエルゥを見て。
ひたすら無表情の俺の顔を見て。
再び王女様の顔を見て。
「王女様・・・?」
かすれた声で、サラが訪ねる。
「申し遅れました。リフィア=マリア=シス=エルブン。エルブン王国の第一王女です」
リフィアは第一王女だった。
リフィアが微笑み、
「此度の件、宜しく御願いしますね」
そう告げる。
「だ・・・駄目です駄目です駄目です駄目ですうううううう??!おね・・・お姉ちゃああああああん?!」
サラが涙目で叫ぶ。
「ほら、リフィア様、サラ様も駄目だと仰っている。お帰り下さい」
「なっ・・・サラ様?!言われた事を違われるのですか?!」
「ご・・・ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!でも、駄目です!」
サラが土下座して頭を擦り付ける。
「サ・・・サラ様、その様な事はなされないで下さい」
エルゥが慌ててサラを押しとどめる。
「そうですよ、サラ様。大丈夫です。私が此処に残れば良いだけ」
「駄目ですからね、リフィア様?!」
エルゥがリフィアをがっしりと掴む。
「リフィア様。此処は人間の国。そもそも、貴方様がお越しになってはならない場所です」
俺は、ぽつり、と語り出す。
「いえ、これからの時代、種族間の違いで区別するのはあってはならない事です。エルフと人間は、もっと交流すべきなんです!」
リフィアが叫ぶ。
あのなあ・・・
「リフィア様・・・貴方様がこの城に留まったとして・・・それで何かあれば、どうなりますか?」
俺は、低く、淡々と尋ねる。
「それは、此処に留まった私の責任。誰の責任も問いません」
リフィアが胸を張って言う。
俺は、続ける。
「それで、それを容認したエルゥは、どの様な処罰を・・・いえ、それ以前に、どの様なお気持ちになられるか分からない訳ではないですよね?」
「・・・」
リフィアが俯く。
「そして、その咎はまた、サラ様も──いえ、人間全てが背負う事になります。貴方の国は、我が国を、いえ、人間を許しますか?」
「それは・・・」
リフィアが呻く。
「どうかお帰り下さい、リフィア様。エルゥ様お付きのメイドは、皆、無事に帰るべきです」
俺は、リフィアに向けて微笑むと、
「そして、今回、またお会いできて、大変光栄でした。また、貴方様にお会いする為、貴方様の国を訪れる事を、許可願えますか?」
「──は、はい!是非、お越し下さい。お待ちしております!」
リフィアが、満面の笑みで言う。
絶対に行かないけどな。
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「・・・疲れた・・・」
「同じく・・・」
夜会が終わり、帰宅。
俺が疲れているのは分かるが、何故セライアが疲れているのか。
「まさか、エルフの姫さんが此処まで来るとは・・・」
「というかキミさ。エルフとの出会いとかあったなら、教えて欲しかったんだけど?!エルゥ姫騎士の名前聞いた瞬間、気付けた筈だよね」
「無茶言うな。同名の別人としか思わねえよ。そっちこそ、エルブン王国がエルフの国だって一言言ってくれれば・・・」
「むむ・・・確かに。それは私の落ち度だ」
エルフ=エルブンとか、普通は結びつかない。
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