第37話 えぴろーぐ
少し落ち着いたら、日課にしているSNS、さえずったーを覗く。
実際には1日も開いていないのだが。
随分久しぶりのログイン。
[あー、やっと終わった・・・]
ネットの親友、はとりが呟いている。
はとりも、何か大仕事終えた後なのか。
はとりは、数少ない友人の1人。
以前、ソーシャルゲームでフレンドとなって以来の友人だ。
そのソーシャルゲーム自体は、既にサービス終了してしまったけれど。
この友人との関係自体は続いている。
[ お疲れ様ー]
はとりの呟きに、返信する形で発言。
[おう、たなか。何とか終わったよ。]
はとりからの返信。
なお、俺のネット上の名前は、たなか。
本来の読みは『たな』、だが、それを『たなか』にするという、完璧な偽装っぷりだ。
多分、新作ゲームの開発とかだろうな。
ハンドルネームが、はとり@神プログラマーだし。
[俺も、丁度大仕事終えたところだぜ。]
[お前も、お疲れさん。]
ネットで、リアルの詳細を話すのは、馬鹿がする事だ。
だが、荒唐無稽な話なら、別に構わないだろう。
というか、普通に考えたらゲームの話ととるよな。
[疲れたぞ。何せ、世界を救ったんだからな。]
[疲れたのか?難易度高かったのか?]
[難易度は・・・ゲームバランスは崩壊してたかな。あと、設定が良く分からなかった。何だよ下着って。]
[あれ、お前、下着とガチャが好きだよな?]
何で?!
はとりの無茶振り。
下着興味無いですけど?!
中身の方が好きですけど?!
・・・
セライアの事が浮かび、頭を振って振り払う。
[なんでだよ。]
[いや、だって。お前、下着画像ばっかり拡散するじゃないか。モロ画像とかは一切拡散しないのに。あと、色々なゲームのガチャ結果ばかり呟いてるし。]
[・・・いや、モロ画像は好きだが、他の人の目に触れるのは避けた方が良いかと思って拡散してないだけだ。そっとブックマークしているぞ。ガチャ結果は・・・色々手を出した結果、ガチャしかしなくなったゲームが増えているだけだ。後、現役プレーヤーを煽れるのが楽しいしな。]
[ふむ・・・下着が好きなんだと思ってたが・・・誤解だったか。許せ。]
いや、許すもなにも、誤解されてたところでどうでも良い話だ。
[はとりは、バランスちゃんと作ったのか?]
ネットで、自分の作品名を話すのはタブーだ。
守秘義務やら、リアルバレやら、色々と理由はあるが。
だから、詳しくは聞かないが。
[いやあ・・・既に複数担当している所に急に担当にされてな。とにかく早めに終わらせる為に、ガチャからほぼSSRしか出ないようにしたり、色々ぬるくしたんだが。]
いや、早々のサービス終了狙うなよ。
[楽々クリアできるのに、全然クリアしてくれなくて、すげー時間かかった・・・]
逆に楽しかったんじゃね?
[世界を救ったと聞いて。]
会話に割り込んでくる他のユーザ。
こちらも、俺が良く話す親友のリン。
リンとは、半年ほどの付き合いだが、もう何年来の友人という気がする。
リンと会ったのは半年前。
不意に話しかけられたのだ。
こっちに来た直後で良く分からないから色々教えて欲しいと言われ。
恐らく、別SNSからささやいたーに来たんだと思ったんだが。
案外、留学で日本に来たとかかも知れない。
海外在住どころか、地球在住かどうか怪しい受け答えもあったが。
色々教えると、嬉しそうに聞いてくれるから、気持ちが良い。
[ああ、世界は救ったが・・・残念ながら、
[なら、たなかの家に行くよ。そこで教えて欲しい。]
食いついてきた?!
まあ・・・正直、リンとは会っても良い気がする。
大切な友人だし、信頼できる。
ネットの知り合いと会うのは、十分に気をつけた方が良いが・・・
俺はリンを信じる。
丁度、明日から休み、土日だしな。
・・・誰かと話でもしていないと、セライアを思い出して泣き暮らしそうだ。
リンに、ダイレクトメッセージでうちの住所を教える。
[たな、ちゃんとコンビニで必要な物は買っていくから安心して欲しい。]
ダイレクトメッセージで返信が来る。
何を買ってくるつもりだ。
本当に大丈夫だろうか。
俺、ちゃんと男だと言ってるんだけどなあ・・・
まあ、何にせよ。
俺の特別は、終わった。
異世界に行く前と、何一つ変わらない。
当然、俺にはスキルも無いし、ステータスも表示されない。
そして──俺の傍らには、セライアがいない。
下着はいらないから、愛しい人に会いたい。
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お付き合い下さり、有り難うございました。
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